先日購入したペトリカラー35について「ぜひローライ35と実写で比較してみたいところです」と書きましたが、とりあえずペトリカラー35単体での試写をしてみました。使用フィルムはコダックの SUPER GOLD 400(GC 400)の24枚撮りです。
現像が上がってきたネガフィルムを見てまず気づいたのは、最初の数コマの間隔が広かったり狭かったりして不均等なこと。4コマ目くらいからはほぼ一定するのでフィルムの詰め方やたるみの取り方の加減かとも思います(何せ初めてのカメラなもので ^^;;)が、同じようなフィルム装填方法(底板と一体になっている裏蓋を下側へスライドしながら外し、本体側にヒンジで固定された圧版を開いてフィルムを通し、圧版と裏蓋を戻し固定する)を採っているローライ35もコマ間隔が不均等になる傾向があるので、今後注意していきたいところです。
さて、実写例を2点紹介してみます。いずれもフィルムからCDに焼いてもらったのをノートリミングで出しています。
まずはこちら。会社の近くの公園のあずまやから右手奥の注連縄のある石碑までパンフォーカスで撮ってみた絵です。色調は多少補正しましたが、この日は曇りで気温も低く、寒々しい雰囲気は出てますね(笑)。見たところ周辺の光量落ちも感じられず、左下のベンチの像を見ても大きくくずれてはいないし、落ち葉なんかもそこそこ解像していて、まずはなかなかしっかりした絵を撮るレンズだなという印象です。
次にこちら。同じく会社近くの公園の横の林の中にある、木を模したコンクリート柱の囲みの中の高さ40cmくらいの石像です。先ほどと同じ曇りの日の林の中で暗いので、絞りを開けて撮っているため遠景はボケてます。
この写真、石像と背景のつながりが何か不思議で、まるで背景の絵の上に石像の写真を切り抜いたものを置いて撮ったみたいな感じがしませんか?他のレンズで撮ってもこの絵柄ならこういうふうに写るのかもしれませんが、この微妙な立体感がこのレンズの特色なのかも知れません。これからも引き続き注意してみたいです。
大きくしてみると石像の肌のざらざらした感じも出ているし、遠景のボケも若干二線ボケっぽい感じもあるようですがそれほどうるさくはなく、まあまあいいレンズなんじゃないかと思えてきました。小さいカメラなので頻繁に持ち出して、あれこれ撮って楽しんでいきたいと思います。
私が高校生のときにペトリV6IIという一眼レフカメラを愛用していたことは以前書きましたが、その後ペトリカメラが倒産してしまったこともあって、同社製品との縁は永久に切れたものと思っていました。ところが最近また別のペトリのカメラを入手しました。
それはペトリカラー35(Petri Color 35)というカメラで、発売は1968年。35mmフィルムカメラです。40mmf2.8の明るいレンズを持ったレンズシャッター機で、露出計内蔵、ピント合わせは目測でゾーンフォーカスの目安あり、シャッタースピードはBと1/15から1/250まで。露出計用に1.3Vの水銀電池(現在は製造中止)を使用しますが、カメラ自体は全手動機械式カメラですから、電池がなくても露出計が動かないだけで撮影には差支えありません。
<写真左がペトリカラー35、右はローライ35S。。なぜローライ35と並べたかというと、両者は同じ高級コンパクトカメラカテゴリーに属し、大きさ・性能ともほぼ互角なのです。でもデザインや使い勝手はけっこう違っているので、これから両者を比較しながら、このペトリカラー35というカメラを紹介していこうと企んでおります。>
こんな面白いレンズが発売されていたなんて知りませんでした(2012年10月発売)。オリンパス製のマイクロフォーサーズマウント用レンズで、BCL-1580 15mmf8.0というレンズです。商品名というか通称は「ボディキャップレンズ」。ボディキャップとはレンズ交換のできるカメラにレンズを装着していないときに、中に異物が入ったりするのを防ぐために着けるフタのことで、基本的には円盤状のプラスチック板にレンズと同じマウントが切ってあるだけのもの。ただ全くの薄い円盤だと付けたり外したりするときに回転させることが難しいので、つまんで回せるように縁を曲げて多少厚みを持たせてあります。BCL-1580はこのボディキャップ並に薄いレンズなのです。一般に同じ性能の他のレンズに比べて薄く作られたレンズを「パンケーキレンズ」と呼び、例えばニコンFM3A用の標準レンズとしてリリースされたAi Nikkor 45mmf2.8Pというレンズは厚さわずか17mm。ところがBCL-1580は厚さわずか9mm!桁が違うがな桁が。しかもニコンFシリーズ用のボディキャップの厚さが約8mmですから、厚さ9mmのBCL-1580はまさにボディキャップレンズと呼ぶにふさわしい厚さ(薄さ)なわけです。だいたいこの型番からして、B(ody) C(ap) L(ens) - 15(mm)(f)8(.)0という、まあ「名は体を表す」を地で行ってますね。
<左:ボディキャップを着けた状態のNikomat FT2。レンズがはまるべきマウントにはまってるフタがボディキャップです。そうそう、このFT2は9月初めに調整に出したのですが、12月初めに戻ってきたんですよ。調整に出すときも(レンズは不要なので)この状態で出しました。>
<右:BCL-1580(左側)とNikomat FT2に着いていたボディキャップ(右側)。ご覧のとおり厚さはほとんど変わりません。
なおこの状態ではレンズ(中心部のひとみ状の部分)保護用のバリアが閉じていて、本当にレンズキャップとして機能します。前面の円周上にあるフォーカシングノブを右へ動かすとバリアが開き、レンズになります。>
古いカメラの内蔵露出計が不調なのはよくあることで、そうしたカメラを露出計の機能を殺して(露出計用の電池を入れないで)使うのもまたよくあることなのです。カメラ本体ではなく大型のフォトミックファインダーに露出計を組み込んであるニコンFやF2の場合など、どうせ露出計があてにならないのならいっそ最初からない方がさっぱりしていいと、露出計のないコンパクトなアイレベルファインダー付きモデルの方が人気があるくらいです。
しかしニコマートの場合は、上級機のニコンF / F2が実現していない「本体に露出計内蔵でTTL測光」が大きなセールスポイントだったのだし、私がニコンに憧れるきっかけとなった「ガチャガチャ」(露出計にレンズの解放絞り値をセットする手順)も露出計が死んでいるのでは意味がないわけで、歴史的な意義から言っても個人的な思い入れから言っても、露出計こそニコマートのキモなわけです。というわけで、何とかなるものなら何とかしたい。
これはたぶん15年くらい前に仙台に行った際、たまたまのぞいた地元の中古カメラ店で買ったものです。このカメラのよさ、特にレンズの優秀さについては先行機種のGR1(1996年発売)の頃から聞いていましたが、新品定価で95,000円という価格のため、購入するつもりはまったくありませんでした。ところが店頭に程度のよさそうな中古品がその半額程度で出ていたのでつい手にとったのが運の尽き、完動品であることを確かめ、店の6ヶ月保証付きで買いました。
先日見に行った今和次郎採集講義展の会場パナソニック汐留ミュージアムのあるパナソニック東京汐留ビル(東京・汐留)のすぐ隣に、日本で最初の鉄道駅である旧・新橋停車場が復元されています。それでまずはここで撮影を試み、そこから三越前駅近くの奈良まほろば館を訪れ、その翌朝につくば市内の近くの公園で撮影しました。撮影したフィルムは写真店で現像後CDにしてもらいました。
ニコンF3HPという一眼レフを持っていました。F3は1980年代のニコンの最高級機で、HPというのはメガネをかけていても画面全体を見渡せるハイアイポイント(HP)ファインダーを載せているタイプです。ところがこのカメラがいつの間にか故障して、電源が入らなくなってしまいました。ニコンF3のシャッターは電子制御シャッターなので、電源が入らないと写真が撮れません。
本来は修理に出すところですが、実は私はこのカメラと何となくそりが合わず、これまでもあまり使ってこなかったので、いっそ手離してどこかの誰かに有効に使ってもらった方がいいかも知れないと思い、近くのカメラ店に持ち込んで、普通なら1万以上の値がつくところを故障品ゆえ3千円で買い取ってもらいました。
しかし相手がキカイとは言え、しっかり使い込んでいい関係を結ぶまでに至らないまま、しかも故障したまま手離してしまうのは、何だか心が痛みます。中古で入手したので私のところに来る前はどうだったのかわかりませんが、ひょっとして幸薄い星の下に生まれたやつだったのかも・・・許せF3、お互い精一杯幸せになろうな!
私の手元にはもう一台、20数年使い続けているニコンFEという一眼レフがあるので、交換レンズなどの資産はF3HPがなくなっても無駄にはなりません。しかしFEもやはり電子制御シャッターの絞り優先AE機なので、その中の電子部品が逝ってしまったらF3HP同様カメラの機能は失われます。35年前に設計されたFE用の電子部品なんて今では製造されてませんから、壊れたら他のニコンFEから移植するしかありません。そこでにわかに「壊れても修理可能な機械式のニコン一眼レフが欲しいぞ!」という物欲が目覚めてきました。軍資金はニコンF3HPの売却代金3千円です。俺、きっと幸せになるよ、F3!
機械式のニコン一眼レフというと、まずは名機ニコンFとその後継機で私がかつて愛用したニコンF2、さらにFEの兄弟分のニコンFMとその後継機FM2/NewFM2、そして機械式と電子式のハイブリッドシャッターを搭載しているニコンFM3A・・・しかしこれらはどれも中古市場ではけっこういい値がついていて、ヤフオクでも完動品はなかなか万を切りません。3千円じゃなぁ・・・と半ば諦めかけていたら、「そうだニコマートがあるじゃないか!」と思いつきました。
<完全にフライングですが、F3と引き換えに入手したニコマートFT2ボディに35mmf2を付けた図。このレンズはAiレンズながら爪が付いていてニコマートでも開放測光可。>
しかし私がペトリ V6II の前に使っていたカメラ、つまり私の人生最初のカメラは一眼レフではなくレンジファインダーのコニカ III でした。そしてペトリ V6II に連なる一眼レフの時代が続く間ずっと意識もされずにほっておかれた私のレンジファインダー機への愛着は、コニカ III を手放してからほぼ四半世紀の時をおいて、コニカ III の五世の孫ともいうべき(?)コニカ HEXAR RF、さらにフォクトレンダー BESSA-R の入手という形を取って、隔世的に表れたのです。一時は虚像式の連動距離計だけが付いていてファインダーのない BESSA-T というモデルに、ロシア製のターレットファインダーを付けてたりもしてました。すぐ止めましたけどね(笑)。
<左が BESSA-T。右がターレットファインダー。左の写真のてっぺんについているファインダーを右のものに換えると私が使っていた姿になります。ターレットファインダーは円盤の部分を回して撮影レンズの焦点距離に見合った視野に切り替えることができるもので、28mm, 35mm, 50mm, 85mm, 135mmといったレンズにこれ一つで対応できるので便利っちゃ便利だし、何といっても見た目のものものしさがなんか武器みたいでかっこいい。もっともファインダーとしての見え味はいまひとつでしたが・・・。
しかしこのカメラは大昔のライカみたいに、ボディ本体でピントを合わせてから一度目を離してファインダーをのぞきなおさなければならず、機能性の面であまり実用的ではありません。後継機が出なかったのもむべなるかな。>
やがて高校に入ると新しい人間関係ができ環境も変わり、私も写真やカメラに関心を持つようになりました。当時私が使っていたカメラは父から譲り受けたコニカ III という古いレンジファインダーカメラでしたが、その頃にはレンズシャッターのシャッター羽根に油が回ってしまい、羽根同士が密着して作動しなくなっていました。そんな折も折、叔父がカメラを買い換えるというので、それまで叔父が使っていたカメラを譲り受けることにしました。そのカメラがあのペトリカメラ製のペトリ V6II という一眼レフだったのです。
<ペトリ V6II の雄姿。写真はネット上にあったものを拝借しました。左の黒いのはソフトケースです。
シャッターは横走り布幕フォーカルプレーンシャッター、シャッタースピードはBと1/2〜1/500で自動露出(AE)はなし。ストロボ同調は1/30と1/60の間に設定されています。露出計は内蔵されていませんが、ボディ前面の巻き上げレバーとシャッターダイヤルのすぐ下あたりに物を引っ掛けられる突起があり、シャッターダイヤル上面の1/500のすぐ横にカップリング用のピンが出ていることから、ここに取り付けられる外光測光式・シャッター速度優先の専用露出計があったと思われます。
シャッターボタンがボディ上部でなく前面に斜めについているのが外見上の大きな特徴で、これは旧東独のペンタコンなんかと同じですね。ニコン F シリーズと共通のかぶせ式ケーブルレリーズが使えます。シャッターストロークは比較的短く反応はシャープだったと思います。その下にタイマーがあり、レバーを巻くと現れる小さなボタンを押してスタートします。ファインダーは一般的なスプリット+マイクロプリズムだったように覚えています。視度調整レンズが付けられたかどうかは記憶にありません。
レンズ交換はレンズをボディに当てて周囲のリングで締め付けるブリーチロック(スピゴット)式で、この方式はボディ側のマウントとレンズのバヨネットが擦れ合わないので磨耗しないのが利点とされていますが、最近のカメラには採用されてませんね。またレンズに Auto という表示がありますが、これは全自動絞り(絞りを設定しても開放のままフレーミングとフォーカシングができ、シャッターを切ると同時に設定した値まで絞り込まれて撮影、撮影後は再び絞り開放に復帰する)の Auto で、自動露出(設定したシャッター速度に対する適正な絞り値を自動で設定する:AE)や自動焦点(オートフォーカス:AF)の Auto ではありません。
何てったって露出は勘で決め、ピントは目で見ながら手で合わせる全手動カメラですから操作は非常にシンプルで、取説なんか無くたってすぐ使えます。実際私はこのカメラの取説を見たことがありません。うぅ〜懐かし楽しい〜>
今朝(2010/11/17)の日経の紙面を見て一瞬「えっ、FEDを量産?何で今どき?誰が使うの?しかも台湾で?」と思ったアナタは、そう、カメラファン以外ではあり得ない(笑)。
FEDってこんなの(右写真:これはFED-2型)。
私は所有してませんが、35mm判レンジファインダー式(いわゆるライカタイプ)のロシアンカメラです。現在のウクライナのハリコフにあった孤児・浮浪者の矯正施設FED(この名前は初代KGB議長であったフェリックス・エドムンドヴィッチ・ジェルジンスキー Feliks Edmundovich Dzerzhinskii の頭文字をとったもの)が1934年にライカII型のデッドコピーの生産を始め、その後FED-5まで西側のそれとは一線を画して独自の発展を遂げたらしい。
ところで今朝の日経のこの記事は、ほんとは電界放出ディスプレイ Field Emission Display についてのもので、ロシアンカメラの量産の予定はないみたいですよ〜。お間違いのないように(…って、ふつう間違えねぇよ…)