最近読んだ本:『近代日本思想案内』(鹿野政直 1999 岩波文庫別冊14)
 岩波文庫別冊ということで、読む前には「どうせ岩波文庫からの引用をつなぎ合わせた販促モノであろうよ」と正直ナメていましたが、実際に読んてみるとどうしてどうしてそんなものではありませんでした。「幕末維新から戦後まで、近代日本百年の間に日本人によって生みだされた思想とそれを担った思想家について簡潔に記した近代日本思想入門。」というカバー見返しの惹句どおりの内容で、ほぼ時間軸に沿いながら、目次からわかるとおり主な思想を網羅的に扱い、それぞれの代表的な著作を引用を交えて紹介しています。著作や引用は岩波文庫・岩波出版物に限らず公平に(笑)選ばれていて、ただし岩波文庫に収められている書目には「*」が付けられています。

<カバーカットは福沢諭吉「世界国尽」からのもの。真ん中にユーラシア大陸がどんと置かれ、日本は右隅に追いやられています。「イヤ世界は広いナァ」と思わせる絵柄です。しかしよく見ると、沖縄や佐渡は縮尺の関係でまあ我慢するとしても、四国が描かれてない!まあ台湾もないから、いいか・・・って、そういう問題かい!世界に目を奪われる前に、まず日本のことをちゃんとしたいです。>
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最近読んだ本:『死角 巨大事故の現場』(柳田邦男 昭和60 新潮社 / 昭和63 新潮文庫)
 柳田邦男氏の多くの著作の中で、私はこれまで主に『マッハの恐怖』正・続『航空事故』『恐怖の2時間18分』など航空事故関係のものを読んできました。本書は昭和53(1978)年から昭和60(1985)年にかけて、防災専門誌『セキュリティ』を中心に『土木学会誌』「建設業界』といった専門誌から一般週刊誌・新聞等に発表された論説をもとに編まれたもので、取り上げられた事例はやはり航空事故が多いのですが、そればかりではなく鉄道事故、原発事故、火災、商品事故、風水害など多岐にわたっています。しかし「一つ一つの事故・災害の形態は違っていても、事故原因を構成する諸要因とその連鎖関係という本質的な部分においては、普遍的とさえいえる共通項がある」(「あとがき」p.327)という指摘どおり、ほとんどの事故や災害においてはそれがたった一つの原因で起きることはまれで、多くの場合は複数の諸要因の連鎖が最終的に事故や災害に至るのであって、したがってこれらの連鎖のどれか一つでも断ち切ることができていれば事故や災害という破局に立ち至るのを防ぐことができたはずであり、そのためには問題となった事故や災害に関するあらゆる諸要因を拾い出し、それらの連鎖関係を時系列に沿って樹形図状に整理して原因を究明するとともに、大事故や災害(アクシデント)にまで至らなかった小事故(インシデント)から教訓を引き出すことが大切である、という著者の主張は明快で力強いものです。
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| 本のこと | 09:49 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
メニューインのバッハ
 先月(2015年8月22日)のことですが、土浦音楽院楽友会の演奏会でバッハの管弦楽組曲第2番を演奏する機会がありました。実はこの曲は私にとって個人的に思い出深い曲なのです。
 まず小学校の5年生の頃、岡山県倉敷市の小学校の合奏部で、第2曲の「ロンドー」と第6曲の「メヌエット」を演奏しました。私がフルートを始めたのがこの合奏部でのことなので、この曲もフルートで吹いたように思っていましたが、この時吹いたのはアルトリコーダーだったかも知れません。いずれにしてもこれがこの組曲との出会いでした。
 その後私は倉敷から転校して名古屋市の中学校で2年生になりました。ところがさらに東京に転校することになり、そのときに私がフルートを吹くことをご存知だった先生が「みんなの前で何か一曲吹いてくれ」とおっしゃったので、第3曲の「サラバンド」を伴奏なしで吹きました。40年前のこの中学校には吹奏楽部や器楽部などがなく、フルートを吹く生徒はあまりいなかったのです。

 このバッハの管弦楽組曲第2番を、子供の頃の私はユーディ・メニューイン Yehudi Menuhin 指揮のバース音楽祭管弦楽団 Bath Festival Orchestra、エレーヌ・シェーファー  Elaine Shaffer のフルートによる演奏で聞いていました。それはこのLP(カップリングは第3番)が当時のお小遣いの範囲で手が届くものだったという、いささか消極的な理由によるもので、特にこの演奏を選んだわけではありません。このLPは中学生の頃まではよく聞きましたが、その後めっきり聞かなくなり、今は処分してしまったか実家にあるかどうかすらわからなくなってしまいました。
 ところが最近になって、メニューインが指揮・演奏したバッハの管弦楽組曲全曲、ブランデンブルク協奏曲全曲、「音楽の捧げもの」、チェンバロ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲などを収めたCD7枚組のセットをネットの通販で廉価で入手し、思い出の管弦楽組曲第2番を、おそらく30年ぶりくらいに聞くことができました。また付属の簡略な解説書により、バース音楽祭管弦楽団やフルーティストのエレーヌ・シェーファーについても新たな知見を得ることができました。
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| オーケストラ活動と音楽のこと | 14:52 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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