実は先日ちょっと大きな買い物をしました。リヒャルト・シュトラウスのオペラ全集のCDです。写真のようにごろっとしたボックスケースに全168ページの解説(英・独・仏)と紙ジャケット入りのCDが33枚(うち1枚はオーケストラ伴奏による歌曲集)のセットで、これが何と1万円をほんの少し切るお値段(新品ですよ)。CD1枚当たり約300円です。「ダナエの愛 Die Liebe der Danae」(クレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィル 1952年のザルツブルク音楽祭のライブ録音)と「無口な女 Die schweigsame Frau」(カール・ベーム指揮ウィーン・フィル 1959年のザルツブルク音楽祭のライブ録音)だけはモノラル、それ以外は全てステレオで、ドイツ・グラモフォンとデッカ(一部ドイツ放送、ソニー・ミュージック、ワーナー・クラシック・ミュージック)が擁する原盤からのチョイスです。CDには1から33まで通し番号が振ってあるので、その順に収録曲と指揮者などを紹介しますと;
1. Arabella アラベラ 作品79
ヨーゼフ・カイルベルト指揮バイエルン国立管弦楽団(1963ライブ)
2. Ariadne auf Naxos ナクソス島のアリアドネ 作品60
ジュゼッペ・シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2000)
3. Capriccio カプリチオ 作品85
カール・ベーム指揮バイエルン放送交響楽団(1971)
4. Daphne ダフネ 作品82
カール・ベーム指揮ウィーン交響楽団(1964ライブ)
5. Elaktra エレクトラ 作品58
ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1967)
6. Feuersnot 火の危機(火の消えた町) 作品50
エーリヒ・ラインスドルフ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団(1978ライブ)
7. Die Frau ohne Schatten 影のない女 作品65
ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1989、1991)
8. Die schweigsame Frau 無口な女 作品80
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1959ライブ)
9. Friedenstag 平和の日(講和記念日) 作品81
ジュゼッペ・シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン(1999)
10. Guntram グントラム 作品25
イヴ・ケラー指揮ハンガリー国立管弦楽団(1984)
11. Die ägyptische Helena エジプトのヘレナ 作品75(1928年版)
アンタル・ドラティ指揮デトロイト交響楽団(1979)
12. Intermezzo インテルメッツォ 作品72
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン放送交響楽団(1980)
13. Die Liebe der Danae ダナエの愛 作品83
クレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1952ライブ)
14. Der Rosenkavalier ばらの騎士 作品59
ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1968)
15. Salome サロメ 作品54
ジュゼッペ・シノーポリ指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団(1990)
附録 オーケストラ伴奏による歌曲集(「四つの最後の歌」他全10曲)
ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1982)
演奏者の顔ぶれや録音年代を見わたしてみると、一見して1、2世代前の大物たちの録音を揃えたなという感じがします。しかしベームは2つともライブ(しかもまだ元気な頃の)だし、カイルベルトのライブも楽しみだし、そうかドラティって歌劇の指揮もしてたんだといった発見もあり、減価償却の終わった有名どころの指揮者の録音をお手軽に並べただけの企画モノという感じはあまりしません。
ところで、このオペラの配列順は一体どういうものでしょうか。作品番号からわかるとおり明らかに作曲順ではありませんし、タイトルのABC順かというとそうでもないところがあって、実はけっこう悩んでしまいました。シュトラウスのオペラを聞くという目的からすると全く本質的でない問題のようにも見えますが、ひょっとしたら「寿司は玉(ぎょく)から」的な、ツウのお勧めの聞き順の提案なのではないか、とか思ったりしてですね(笑)。
いろいろ悩んだ結果、この配列は「タイトル中に最初に出てくる名詞のABC順」ではないか、と結論するに至りました。ドイツ語を学んだ方はご存じのとおり、ドイツ語では文中の名詞は必ず大文字で書き始めます。このCDセットのタイトルは全部大文字で書かれているのでぱっと見ではわかりにくかったのですが、上のようにタイトルの初めと名詞だけを大文字で書いて、その大文字だけを拾って見ていくと「タイトル中の初出の名詞のABC順」になっているらしいのがわかります(タイトルの頭の Die や Der も大文字で始まってますが、これらは冠詞で名詞ではないので無視してくださいね)。なーんだ、「ツウはアラベラから」とかじゃないんだ・・・