自分が出た演奏会:東京プロムナード・フィルハーモニカー第10回定期演奏会
 2月には2週連続で関東甲信地方に大雪を降らせた寒い冬もようやく過ぎて、暖かく晴れた弥生3月の日曜日の午後、東京プロムナード・フィルハーモニカーの第10回定期演奏会が行われました。このオーケストラには第1回の演奏会から参加していますが、いつのまにか10回を数えるまでになりました。

東京プロムナード・フィルハーモニカー 第10回定期演奏会
日時:2014年3月16日(日)14時開演
場所:かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール(東京都葛飾区)
曲目:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」序曲(ワーグナー)
   クラリネット協奏曲(モーツァルト)
     協奏曲のアンコール
   クラリネットと弦楽五部のためのアダージョ(ハインリヒ・ベールマン)
   交響組曲「シェエラザード」(リムスキー・コルサコフ)
     アンコール
   ワルツ「天体の音楽」(ヨーゼフ・シュトラウス)
   ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウスI世)
独奏:荻原清次(クラリネット)
指揮:佐藤 迪

クリックで拡大<左は今回の演奏会のプログラム表紙。>
 
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リヒャルト・シュトラウスのオペラ全集を聞く:1.グントラム
グントラムCD と解説書  先日購入したリヒャルト・シュトラウスのオペラ全集。手始めに彼の最初のオペラ「グントラム」を聞きました。ところがこの「グントラム」、本件のベースノートに書いた通り libretto(台本)が容易に入手できません。しかもこのオペラ、ただ聞いてみた感じでは正直それほど大した作品ではないように感じるのですが、少なくともリヒャルト・シュトラウス自身にとってはなかなか重要な意味を持つ作品のようで、関連資料を読むのにも時間がかかったという・・・まあ読んだ資料が英語だったせいもありますが。

<写真はCDセットの解説書と「グントラム」のCD。CDそのものは紙のジャケットに1枚ずつぽんと入っているだけで、ジャケットにも大した情報は載っていません。まあ1枚あたり300円ですからあまり贅沢は言えない。CD番号が19と20になっているのは、この全集の配列がベースノートに書いた通り「オペラのタイトル中の初出の名詞のアルファベット順」になっているせいです。>

 とりあえず作品の大まかなプロフィールをまとめておきましょう。

グントラム 作品25
全三幕のオペラ
台本:リヒャルト・シュトラウス(作曲者自身)
作曲年:1892(または1888)-1893(初版)
    1934-1939(改訂版)
初演:1894年5月10日 ヴァイマール宮廷歌劇場 作曲者自身の指揮(初版)
   1940年10月29日 ヴァイマール パウル・ジクスト指揮(改訂版)

 上記はCDセット付属の解説書とIMSLPのデータによっています。ここで気になるのはIMSLPのデータで1934年から1939年にかけて改訂が行われたとされている点ですが、改訂の具体的な内容についてはIMSLPにも情報はなく、CDセットの解説書に至っては改訂されたという記述そのものがありません。幸いIMSLPには1903年出版、すなわち改訂前の初稿に基づくスコア(Adolf Fürstner, Berlin)がアップされているので、これを眺めながらCDを聞いてみました。言うまでもなく初見でシュトラウスのスコアを読み取ってCDとの差異を細かく拾い出すなんてことは到底私の手には負えませんが、それでもこのCDの演奏が初版のスコアどおりでないことははっきりわかりました。
 たとえば第一幕では湖に身を投げようとしてグントラムに救われたフライヒルトとグントラムがその直後に交わす会話、第二幕では序曲の後半からそれに続く道化師とロベルトとの会話(スコアではここにリュートが使われている)、グントラムが自らの宗教的心情を切々と訴えて満座を感動させる場面、誤ってロベルトを殺してしまったグントラムが捕えられた後のフライヒルトのモノローグの後半、第三幕では修道僧の聖歌の後半とそれに続くグントラムのモノローグ、結社の規則に従うよう説得するフリートホルトとグントラムの会話のかなりの部分、それに続くフライヒルトに別れを告げるグントラムのモノローグの前半など、舞台上のアクションが少なく歌ばかり延々と続いているであろう箇所を中心に、それぞれ数十小節以上に及ぶ大規模なカットがいくつも加えられていて、第二幕などは目の子ですが半分近くまで刈り込まれているのではないかと思われるほどです。
 また一部のオーケストレーションが変更されている(最もはっきりわかるのは第三幕冒頭の修道僧の聖歌の伴奏のうちティンパニのロール以外の削除)ことも確認できました。歌劇の上演においては特定のナンバーなど一部がカットされることはままありますが、本CDで行われているカットは全体で優に数百小節に及ぶと思われる大規模なものですし、オーケストレーションの変更も作曲者以外にはなかなかやりにくいことであろうと思われます。今のところ私はこの大規模なカットと一部のオーケストレーション変更が1934年から1939年にかけて行われた改訂の内容だと断定できる資料は持っていませんが、少なくとも今回聞いた演奏が1894年初演・1903年出版の初版どおりの演奏ではないことは確かです。この辺の事情はCDまたは解説書にクレジットしておくべきなんじゃないでしょうかね、Deutsche Grammophonさん!

 ・・・しかし初版のスコアと演奏を見比べながら聞く作業はおそろしく疲れました。「あッ今飛んだ!どこどこ、次どこッ!?」って、予告もなくしかも何回もですからねぇ。飛んだことはすぐわかりますが、問題は飛んだ先を見つけることで、かろうじて聞き取った歌詞やオーケストラの特徴的な音型をもとにPC上に映したIMSLPのPDFファイルのスコアをマウスをぐりぐりしながら探す(もったいないのでプリントアウトはしていない)のですが、半日もこれやってると気力・体力とも消耗します。第三幕の最後の方は集中が切れ、一番最後のカットの飛んだ先なんてもうどうでもよくなっちゃって、あらかじめPC上のスコアをCDの最終トラックの始まる所(各トラックの冒頭の歌詞は解説書でわかるので)まで送っといて、音を聞きながら「あ、やっと来た来た♪」なんて具合で・・・はぁ・・・
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| リヒャルト・シュトラウスのオペラ全集を聞く | 16:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
自分が出た演奏会:つちうら混声合唱団 創立15周年記念コンサート
 土浦市を拠点に活動している合唱団の「つちうら混声合唱団」さんの創立15周年記念コンサートが3月2日(日)につくば市のノバホールで開かれました。このコンサートは二部構成で、第一部はピアノ伴奏とアカペラ、第二部は土浦交響楽団がご一緒してモーツァルトの「レクイエム」全曲を歌いました。私は土浦交響楽団のメンバーとして、第二部に参加しました。
 当日は寒い雨模様の一日でしたが、おそらく700名を超えるお客様に来ていただいたと思います。

つちうら混声合唱団 創立15周年記念コンサート
日時:2014年3月2日(日) 午後2時開演
場所:ノバホール(茨城県つくば市)
曲目:第一部
    混声合唱のための唱歌メドレー「ふるさとの四季」(編曲:源田俊一郎)
    春に(詞:谷河俊太郎 曲:木下牧子)
    夢みたものは(詞:立原道造 曲:木下牧子)
    いっしょに(詞:工藤直子 曲:木下牧子)
    鴎(詞:三好達治 曲:木下牧子)
第二部
    レクイエム(モーツァルト)
演奏:第一部
    指揮:大門康彦 ピアノ:鈴木理恵
第二部
    指揮:田崎瑞博 合唱指導:大門康彦
    佐竹由美(ソプラノ) 志田理早(アルト)
    辻裕久(テノール) 大門康彦(バリトン)
    管弦楽:土浦交響楽団

つち混15周年記念コンサート<当日のプログラム。表紙・裏表紙あわせて8ページ全部がコート紙でカラー印刷という豪華な造り。記念コンサートらしいなと思いました。>
 
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リヒャルト・シュトラウスのオペラ全集CD
オペラ全集ボックス  実は先日ちょっと大きな買い物をしました。リヒャルト・シュトラウスのオペラ全集のCDです。写真のようにごろっとしたボックスケースに全168ページの解説(英・独・仏)と紙ジャケット入りのCDが33枚(うち1枚はオーケストラ伴奏による歌曲集)のセットで、これが何と1万円をほんの少し切るお値段(新品ですよ)。CD1枚当たり約300円です。「ダナエの愛 Die Liebe der Danae」(クレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィル 1952年のザルツブルク音楽祭のライブ録音)と「無口な女 Die schweigsame Frau」(カール・ベーム指揮ウィーン・フィル 1959年のザルツブルク音楽祭のライブ録音)だけはモノラル、それ以外は全てステレオで、ドイツ・グラモフォンとデッカ(一部ドイツ放送、ソニー・ミュージック、ワーナー・クラシック・ミュージック)が擁する原盤からのチョイスです。CDには1から33まで通し番号が振ってあるので、その順に収録曲と指揮者などを紹介しますと;

1.  Arabella アラベラ 作品79
   ヨーゼフ・カイルベルト指揮バイエルン国立管弦楽団(1963ライブ)
2.  Ariadne auf Naxos ナクソス島のアリアドネ 作品60
   ジュゼッペ・シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン(2000)
3.  Capriccio カプリチオ 作品85
   カール・ベーム指揮バイエルン放送交響楽団(1971)
4.  Daphne ダフネ 作品82
   カール・ベーム指揮ウィーン交響楽団(1964ライブ)
5.  Elaktra エレクトラ 作品58
   ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1967)
6.  Feuersnot 火の危機(火の消えた町) 作品50
   エーリヒ・ラインスドルフ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団(1978ライブ)
7.  Die Frau ohne Schatten 影のない女 作品65
   ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1989、1991)
8.  Die schweigsame Frau 無口な女 作品80
   カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1959ライブ)
9.  Friedenstag 平和の日(講和記念日) 作品81
   ジュゼッペ・シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン(1999)
10. Guntram グントラム 作品25
   イヴ・ケラー指揮ハンガリー国立管弦楽団(1984)
11. Die ägyptische Helena エジプトのヘレナ 作品75(1928年版)
   アンタル・ドラティ指揮デトロイト交響楽団(1979)
12. Intermezzo インテルメッツォ 作品72
   ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン放送交響楽団(1980)
13. Die Liebe der Danae ダナエの愛 作品83
   クレメンス・クラウス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1952ライブ)
14. Der Rosenkavalier ばらの騎士 作品59
   ゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1968)
15. Salome サロメ 作品54
   ジュゼッペ・シノーポリ指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団(1990)
附録 オーケストラ伴奏による歌曲集(「四つの最後の歌」他全10曲)
   ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
   クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(1982)

  演奏者の顔ぶれや録音年代を見わたしてみると、一見して1、2世代前の大物たちの録音を揃えたなという感じがします。しかしベームは2つともライブ(しかもまだ元気な頃の)だし、カイルベルトのライブも楽しみだし、そうかドラティって歌劇の指揮もしてたんだといった発見もあり、減価償却の終わった有名どころの指揮者の録音をお手軽に並べただけの企画モノという感じはあまりしません。

 ところで、このオペラの配列順は一体どういうものでしょうか。作品番号からわかるとおり明らかに作曲順ではありませんし、タイトルのABC順かというとそうでもないところがあって、実はけっこう悩んでしまいました。シュトラウスのオペラを聞くという目的からすると全く本質的でない問題のようにも見えますが、ひょっとしたら「寿司は玉(ぎょく)から」的な、ツウのお勧めの聞き順の提案なのではないか、とか思ったりしてですね(笑)。
 いろいろ悩んだ結果、この配列は「タイトル中に最初に出てくる名詞のABC順」ではないか、と結論するに至りました。ドイツ語を学んだ方はご存じのとおり、ドイツ語では文中の名詞は必ず大文字で書き始めます。このCDセットのタイトルは全部大文字で書かれているのでぱっと見ではわかりにくかったのですが、上のようにタイトルの初めと名詞だけを大文字で書いて、その大文字だけを拾って見ていくと「タイトル中の初出の名詞のABC順」になっているらしいのがわかります(タイトルの頭の Die や Der も大文字で始まってますが、これらは冠詞で名詞ではないので無視してくださいね)。なーんだ、「ツウはアラベラから」とかじゃないんだ・・・
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