ニコマートFT2とニッコールH・C50mmF2で小石川散歩

 またカメラネタです。今回は昨年修理・点検に出して戻ってきたニコマートFT2 と、最近入手した標準レンズ Nikon Nikkor-H・C 50mmF2 の試写を兼ねて、小石川周辺をぶらぶら歩きました。

 ニコマートFT2が昨年9月に入院したことは本ブログにも書きました。入院先は東京都調布市にある機械式カメラの修理店・調布カメラサービスさん。多摩地区にあるということと(多摩ファンである私の中では重要なポイント)、ブログを拝見してお仕事が丁寧そうな印象を受けたこと、さらにブログにカメラ関連の記事ばかりでなく「調布」という地元に関するカテゴリが立っていたこと(これも多摩ファンポイント高い!)から、こちらにお願いすることにしました。
 仕事が立て込んでいたのか修理期間は約3ヶ月と思ったよりかかりましたが、終始丁寧に対応していただき、露出計も順調に機能するようになり大変満足しています。露出計以外の部分も点検していただいたので、安心して撮影できます。

 ところでこのニコマートFT2というカメラはレンズ交換のたびに「ガチャガチャ(露出計にレンズの解放絞り値をセットする手順)」が必要で、そのためには交換レンズにカメラの露出計連動ピンをつかむための通称「カニの爪」と呼ばれる露出計連動爪が必要です。ところが私の持っているレンズの中でたった一本、焦点距離50mmのいわゆる標準レンズだけには連動爪がついていませんでした。
 その標準レンズ Ai Nikkor 50mmF1.8S は1982年ごろニコンEMとセットで購入したもので、ガチャガチャが不要なAi方式を採用した小型軽量一眼レフのニコンEM(通称:リトルニコン)に合わせて薄型化されており、Ai方式では必要のない連動爪は最初から付いていません。ところがニコマートFT2はAi化以前のカメラなので、この連動爪のないレンズは絞込み測光でしか使えず不便です。そこでニコマートFT2用にヤフオクでAi化以前の標準レンズを物色し、Nikkor-H・C50mmF2 を数千円で落札しました。もちろん中古で、外観に手ずれなどの使用感はあるもののレンズそのものに大きな傷やカビ、クモリ等は見られず、しかも落札したときには気づいていなかったのですがフード付き。これはありがたい。

標準レンズ2本標準レンズ2本(横から)<左の写真は2本の標準レンズを上から、右の写真は横から撮っています。それぞれの写真で左にいるのがFT2用のH・C50mmF2、右にいるのがAi 50mmF1.8S。上から見るとF1.8Sには連動爪がなく、横から見ると薄く作られていることがわかります。>

標準レンズつきFT2<左はH・C50mmF2を装着したFT2。連動爪がしっかりと連動ピンをつかみ、フードもついてます。
ところでレンズ名の Nikkor-H・C の H は Hexa(6)の頭文字でこのレンズが6枚構成であることを、C は多層膜コーティングが施されていることを表します。その後ろの Auto は完全自動絞り(シャッターを切る前は設定値に関わらず常に絞りが開放になっており、シャッターを切ると設定した絞りまで絞られ、撮影が終わると再び絞り開放に戻る)の意味で、オートフォーカスだったりはしません。>

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| 写真とカメラ | 21:58 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ペトリカラー35をリバーサルでテスト

 またまたペトリカラー35ネタです。ネガカラーで撮影したものをデジタル化してPCのディスプレイで見る限り撮影結果が非常に良好なので、実際の発色や露出の傾向、さらにもともとは1.3Vの水銀電池(現在は製造中止)用の露出計を1.5Vのアルカリ電池LR44で動かしていることによる電圧の差の影響を見るため、リバーサルフィルムでの撮影を試みました。リバーサルフィルムは見た色の補色が記録されるネガフィルムと違って見た色が記録され、しかもネガフィルムよりラチチュード(露光寛容度)が狭いので、レンズの発色や露出計の測光精度を直接目で見てシビアに確認できます。

 今回使ったフィルムは富士フィルムのプロビア100F(RDPIII)。このフィルムは私がリバーサルを使って写真を撮り始めた頃に常用していたフジクローム(RD)、フジクロームプロフェッショナル(RDP)の子孫で、私が一番信頼しているフィルムです(ちなみにRDとRDPは乳剤は同じでフィルムベースがクリア(RD)かグレー(RDP)かの違いだったと記憶しています。グレーベースのRDPの方が色に深みが出たようでした)。
 これをペトリカラー35に詰め、同じカットをシャッタースピードを変えて「露出計ドンピシャ」「1段(=1絞り)プラス」「1段マイナス」の3通り撮って結果を比べます。絞りでなくシャッタースピードで露光を変えたのは、絞りを変えると被写界深度(ピントが合う奥行き)が変わって絵柄が変わるので、比較しにくくなったら嫌だな、と思ったから。
 さあ〜て、どんな具合かな〜。

 まず発色はニュートラルでどちらかというと端麗繊細系かなと。たとえば真っ黄色のものを撮っても油絵の具みたいな感じの色にはなりません。そして露出は露出計ドンピシャでもいいが、露光アンダーに強いリバーサルなら半絞りくらい絞った方が色の乗りが私好みになりそう。1絞りはちょっと絞り過ぎかな、という感じでした。逆に露光オーバー気味が得意なネガカラーは露出計ドンピシャでよさそうです。1.5V用に再調整されている個体なのかもしれません(回路に入っている抵抗を取り替えて調整可能らしい)。

 というわけで、カメラを信頼してどんどん撮ればいいという結論になりました。これからもどんどん活躍してもらいますよ、ペトリカラー35。

| 写真とカメラ | 10:27 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ペトリと散歩 〜東京駅レンガ駅舎と小石川〜

 2月9日の土曜日、小さいのによく写る全手動コンパクトカメラ・ペトリカラー35を携えて、新装成った東京駅周辺と文京区小石川のえんま通り商店街を歩きました。
使用機材:ペトリカラー35(C.C petri 40mmf2.8レンズ固定)
フィルム:Kodak GOLD100(ネガカラー ISO100)

※ なおサムネイルをクリック一回でディスプレイの画面に合わせた大きさで表示される場合は、もう一回クリックすると原寸(1600x1200よりちょっと小さいくらい)になりますのでお試しください。

 東京駅のリニューアルオープンは昨年の10月1日で、もう4ヶ月以上も前のこと。しかも私はそれから何回も東京駅を利用しているにも関わらず、丸の内側の復元されたレンガ駅舎を見るのはこの日が初めて。それというのも私が利用するのは日本橋口と八重洲南口と地下鉄ばかりで、丸の内側には全く用事がなかったのです。
 日本橋口でつくばからの高速バスを降りて丸の内側へ出ると、西から差す夕日が丸ビル他の高いビル群に遮られて、レンガ駅舎のほとんどは日陰に沈んでいました。

丸の内北口 丸の内北口。これまで古い写真や絵でしか見たことのなかったドームが今、目の前に・・・うわ〜かっけえ〜。このドームが自分が生きている間に復元されてその姿をこの目で見ることができるなんて、数年前までは思いもしませんでした。

丸の内中央から北口 中央口から北口まで。駅前ロータリーの反対側から40mmというレンズの画角では、レンガ駅舎の全体を一望のもとに納めるのはちょっと無理。この写真では夕日の当たった後ろの高層ビルはうまい具合に白っぽく飛んで存在感を消し、かえって日陰に沈んだレンガ駅舎の方が重厚な存在感を得ていていい感じになりました。ところで写真でじっくり見ても、既存の2階までと増築した3階部分との違い・継ぎ目がわかりません。この工事の手際のよさ、たいしたもんだ。

丸の内南口 こちらは丸の内南口。私以外にもレンガ駅舎をカメラに収めてる人はけっこういました。入り口付近には修学旅行の生徒らしき人だかり。東京駅らしい光景です。

丸の内南口ドーム 南口ドームの内側。天井を舞う鷲の彫刻、随所に見られる文様やレリーフもさることながら、トップライトの自然光で内側から静かに輝くような壁面と暖かい電灯色の光の窓の対照も美しい。しかし写真を大きくして見ると全面に張られた、おそらく鳩除けのネットが見えてちょっと興ざめ。ペトリ写りすぎだろ〜(笑)。

 さて、レンガ駅舎をざっと見たら地下へ下りて東京メトロ丸の内線でオーケストラの練習場(文京区小石川某所)に向かいます。本当は東京駅をもっと細かく、それに東京ステーションギャラリーも見たかったけど、今日は午後6時から練習があるのでそれはまたの機会に。

富坂下交差点 後楽園駅で降り、東京ドームの反対側の小石川方面へ出るとすぐに国道254号(通称:春日通り)との交差点「富坂下」があります。その名のとおり西側の富坂と東側の真砂坂を下りきった、ちょっとした谷間です。時刻はそろそろ5時を回って日暮れ時、シャッタースピードは遅くなり絞りも開き気味。ISO100のフィルムでは走っている車はブレて近くの人物もボケてきます。

大亜堂書店にて富坂下交差点で春日通りを渡って真っ直ぐ進むと「こんにゃくゑんま」として知られる養源寺とそれに続くえんま通り商店街があります。この商店街には銅板を使った震災復興建築(関東大震災の、ですよ)と思しき建物がまだいくつか残っていて、歴史を感じさせます。もっともそうした建物はだんだん取り壊されて、今風のお店になったりマンションになったりしているのですが(その一つの例をこちらでご紹介してます)。
 この大亜堂書店さんは小さな古書店――というより「古本屋」と言った方が似合う――で、この写真ではわかりませんがやはりファサードに銅板が使われているし、店名も右書きだし、店内の佇まいからしても古くからあるお店に違いありません。私もときどきここで本を買います。
 夕闇迫る頃、灯りのともった店頭に積まれた本にふと興味を覚えた子供と「何だよ、お前にはわかんないよ」と言いたげなお父さん。手をつないでいるところがいいですね。薄暮の町が背景にボケて、蛍光灯の青緑と赤っぽい白熱灯(デイライトタイプのフィルムにはこう写る)の色の違いも面白い。シャッタースピードが遅いので人物はブレてるし多少手ブレもしてるみたいですが、背景から浮かび上がったお父さんに立体感が感じられて、自分では気に入ってます、この一枚。デジカメじゃフラッシュ一発、さもなきゃ自動で増感してシャッタースピードを確保した上に手ブレ補正がかかって、おそらくこういう雰囲気の写真にはならないでしょう。
 元のネガを見るとかなり透明に近く、ということはネガフィルムが苦手とする露出アンダーの絵なんですが、それでも画像としてはしぶとく写っているところがさすがにラチチュード(露光寛容度)の広いネガカラーフィルム。フィルムに救われました。

| 写真とカメラ | 19:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
自分が出た演奏会:東京プロムナード・フィルハーモニカー第8回定期演奏会

第8回定期チラシ このところずっとカメラネタが続いていましたが、ひさしぶりの音楽ネタです。好天ながら風の強い一日だった2月11日(月・祝)、東京プロムナード・フィルハーモニカー第8回定期演奏会が行われ出演しました。私にとっては今年最初の本番です。
 今回はオール・ベートーヴェン・プログラム。アマチュアオーケストラを30年やっているおかげでベートーヴェンのオーケストラ作品の主なものは概ね演奏してきました(ちゃんとできた・できなかったは別にして・・・)が、ピアノ協奏曲第4番は今回が初めて。ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では一番好きな曲なので、ようやく弾くことができてうれしかったです。

東京プロムナード・フィルハーモニカー 第8回定期演奏会
日時:2013年2月11日(月・祝) 18:00開演
場所:タワーホール船堀 大ホール(東京都江戸川区)
曲目:歌劇「フィデリオ」序曲(ベートーヴェン)
   ピアノ協奏曲第4番(ベートーヴェン)
    アンコール曲
   ピアノソナタ第21番「ヴァルトシュタイン」第三楽章

   交響曲第5番(ベートーヴェン)
    アンコール曲
   ワルツ「芸術家の生涯」(J.シュトラウスII世)
      ラデツキー行進曲(J.シュトラウスI世)
独奏:大月礼子
指揮:佐藤 迪(すすむ)

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| 自分が出演した演奏会 | 21:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ペトリカラー35礼讃

 先月入手した小さなフィルムカメラのペトリカラー35。このところ「カメラのキ●ム●」でコダックのネガカラーフィルムが安いのでそれを使ってどんどん撮ってみてますが、撮影結果はたいへん良好で、ますます愛着がわいてきました。

 まずレンズがいいです。焦点距離40mmでf2.8というレンズは、ボディがほぼ同じ大きさのローライ35Sに付いている4群5枚のゾナーと同じスペックですが、実は3群4枚のテッサータイプです。私は少ないレンズ構成でめいっぱいがんばるテッサーの、時にカリカリする描写よりも、余裕と落ち着きを感じさせるゾナーのおっとりゆったりたっぷりした風情を愛するのですが、この C.C petri レンズは細かいものまでちゃんと結像する割にはカリカリとうるさくもならず、私好みです。四隅の画像の乱れや光量落ちも気になりませんし、著しい歪曲収差もなく、この大きさのカメラとレンズでこれだけしっかり写れば、私は言うことありません。以下の作例は2回クリックすると大きくなりますのでお試しください。

Burger Kingと東京スカイツリー<左:すみだトリフォニーホールの近くから東京スカイツリーを見通す。遠景のスカイツリーの骨組みも、わりと近くの日陰の人や交通標識もちゃんと写っていてうれしいです。色調をかなり補正しているのですがそれでも日陰がこんなに青いのは、これはコダックのフィルム(Kodak GOLD400使用)ならではの色じゃないかと思います。>

すみだトリフォニーホールにて<右:すみだトリフォニーホールの入り口にて。先日聞きに行った新響の第220回演奏会です。やはりKodak GOLD400で撮ってますが、これは色調補正してません。>


 ペトリは「同じ機能ならニコンの半額」と言われた中級カメラメーカーでしたが、レンズは私が卒業した東京都足立区の中学校のすぐ隣にあった自社工場で研磨していたらしく、カメラ本体よりレンズの方が評判がよかったりします。このカメラのレンズもなかなかの描写力を持っていると見ました。

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| 写真とカメラ | 21:34 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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