「拝啓、ジョン・レノン」を聞いたら

 昨日(6/29)の午後、仕事で車を運転していたら、ラジオから「拝啓、ジョン・レノン」という歌が流れてきました。恥ずかしながら私、この曲のタイトルは聞いたことがあったけど、曲そのものを聞くのは初めて。
 聞いているうちに

「ビートルズを聴かないことで 何か新しいものを探そうとした」

というフレーズが出てきて、それを聞いた途端、私は高校生の頃の気分になりました。

 ビートルズが来日したのは1966年の6月29日だったそうで、一方この「拝啓、ジョン・レノン」は1996年発売の曲。ということは来日から30年経った時点での歌ですね。その間にステータスとして偶像として不動の地位に祭り上げられてしまったビートルズに対する反発が、この「ビートルズを聞かないことで・・・」というフレーズに表れているわけです。

 そういうの、あったよなぁ、と思いました。普通は「○○のために、何々をする」のだけれども、このフレーズのように「○○のために、何々をしない」というのも、あの頃はアリだったな、と。
 定番の「○○のための何々」を疑い、他の大勢が「何々をする」のならそちらは皆さんに任せて、自分は「何々をしない」道を行こうと思った。そうして「何々をしない」で生み出された○○は、その多くがどこかひ弱で歪んでいて、結局モノにならなかったんだけれども、そういうことが許されたし自分でも許せたし、結果につながらなくても「やってみた」ということだけで満足できたんだよなあの頃は。

 今は――

| 聞いて何か感じた曲、CD等 | 21:13 | comments(5) | trackbacks(0) | pookmark |
ねじれてなくてもネジバナ

 今年もまたネジバナの花が咲く季節になりました。去年だか一昨年だかに、これの別名モジズリに引っ掛けて浮かれた駄文を書いたことがありましたが・・・あぁ〜もっと前、3年前でしたね。そういえば昔♪あれは3年前♪なんて歌がありましたが、その歌のことも以前書いたなぁ。
 ところで3年前に書いた中の「我ならなくに」の私解、つまり「我ならぬ+あく(名詞化する造語成分)=我ならなく=我ならぬさま」という解釈は、今読んでもいいんじゃないかと思うんですよね〜。このときは造語成分「あく」による名詞化の例として「曰く(言った内容)」と「老いらく(老いた状態)」を出しましたが、その他に「思へらく(思へる+あく;思われる内容)」「聞けらく(聞ける+あく;聞いた内容)」といった用例もあるし、最近の政治関連のニュースでよく聞く「思惑」という語も、私密かに思へらく (^^) 、これももともとは「思はく(思ふ+あく;思った内容)」で、後にもっともらしく当て字したのではないだろうかと。
 古今集とか百人一首をちゃんと勉強してないのでわかりませんが、きっとこの「我ならぬ+あく」説を提唱している学者さんもいるのではないかと思うがなぁ。実はとっくの昔に提唱されていて、たまたま私が知らないだけかも知れない。いやひょっとするととっくの昔に提唱されたものの、何か致命的な欠点が見つかって既に葬り去られてたりして(^^

ねじれてない ・・・えーと頭から長々と脱線してしまいましたが、今年はネジバナが会社の駐車場のわきの草っぱらにたくさん出て来てて、右巻きのやつ左巻きのやつに混じってストレートに近いのも元気に咲いてるので、せっかくだから写真撮ってやりました。ネジバナという名はもちろんねじれて咲くところから来ていますが、ねじれないで幟(のぼり)みたいな格好で咲いているやつも、実はけっこうあるのです。でも図鑑や写真で見るのはねじれてるやつばかり。ねじれていてもねじれてなくてもネジバナはネジバナなんですがね。
 しかし私ら人間が「なんでネジバナなのにねじれないやつもあるんだろう」なんてぼーっと考えている間にも、やつらはさっさと咲き終わって、知らん顔して朗らかに、その謎を封じ込めた種をせっせとばら撒いているのです。うーむ素敵なやつ!

ねじれてるアップ<せっかくだからねじれてるのも載せておきましょう。ネジバナはエビネとかシンビジウムとかと同じラン科の植物ですが、ランの仲間には珍しく、ほっといても勝手にどんどん生えてくるたくましいやつです。でも一つ一つの花を見てみると、やっぱりランなのだなあと思います。こういうたくましかわいいタイプ、好きです。
ちなみにいまどきのカメラのオートフォーカスは、こういう細いものや小さいものは苦手で、何回トライしても背景にピントが行ってしまうので、結局手でピントを合わせるのが早いしストレスもないのです。ただし三脚を使わず手持ちゆえ、シャープさに欠ける点はご容赦。カメラ:Lumix G1 レンズ:Ai-Nikkor 50/1.8>

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| 身近な自然 | 22:45 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
自分が出た演奏会:茨城大学管弦楽団第36回サマーコンサート
 土浦交響楽団の定演の翌週の土曜日、茨城大学管弦楽団のサマーコンサートにトラで参加しました。

 今回の茨大のサマコン、3月11日の大地震の影響で水戸市内の大学も演奏会場も被害を受け、一度は中止となったのですが、団員の熱意とOB・OGを中心とした関係者の支援により、会場と演奏曲目を変更(本当は前半にもう一曲あったらしい)した上で実施にこぎつけたものです。しかも会場と曲目の変更以外にも、楽器その他の運搬、最寄り駅から会場へお客様のための送迎バスの手配、万一余震があった場合の準備、お世話になった方々を対象にしたレセプションの手配等々、普通なら経験しないさまざまな苦労をしながら実施した演奏会。残念ながらお客様の数は少なかった(見た目で200人前後?)が、参加した団員には忘れられない演奏会になったことでしょう。

茨城大学管弦楽団 第36回サマーコンサート
プログラム日時:2011年6月25日(土) 16:00開演
場所:小美玉市生涯学習センター コスモス 文化ホール(茨城県小美玉市:旧・玉里村)
曲目:歌劇「イーゴリ公」序曲(ボロディン/グラズノフ)
   交響曲第2番(ブラームス)
    アンコール曲
   エニグマ変奏曲より ニムロッド(エルガー)
指揮:小森康弘
<いつもは印刷会社に発注しているプログラムも今回はプリンタとコピー機とホチキスで手作り。広告も取れませんでした。>

客席ステージ<初めての会場。客席は535席と、普段使っている1004席の水戸市民会館の半分くらいのホール。小さいけれど水戸市民会館より低音をよく拾ってくれるようで、今回のコントラバスは4人と少なめだったのですが、客席にはよく聞こえていたらしい。>

調査済<一応調査して使用OKが出てますが、もし演奏中に大きな余震があったら危ないので、お客様は出口からロビーへ、演奏者は舞台裏から外へ・・・という打ち合わせもしていました。なお前の週に土浦交響楽団が公演を行ったノバホールでも同様の体制をとっていました。やはり被災県ですからね、準備は欠かせません。>

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| 自分が出演した演奏会 | 20:52 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
烏・野豌豆(からすのえんどう)
カラスノエンドウさや この時期、梅雨の晴れ間の炎天下に草むらのそばを歩いていると、ときどき「バチリ」「プチリ」という、炒ったゴマがはぜるような音が聞こえることがあります。これはカラスノエンドウが種を飛ばしている音です。
 この植物の標準和名はヤハズエンドウ(ヤハズは矢筈で、小葉の先が弓の矢筈のように凹んでいるからという)ですが、ふつうはカラスノエンドウで通っています。春に濃いピンク色でマメ科特有の蝶形花を咲かせ、小さいけれどえんどう豆に似た実(豆果)をつけます。
 この実は子供がおままごとに使うだけでなく、柔らかい茎や葉、花などとともにおひたしや天ぷらで食べることができるそうですが、実際に食べる人はあまり多くないと見え(私も食べたことはありません)、やがて実は黒く熟して硬くなり、晴れて乾いた日にさやが自然に裂けて激しくねじれ、その勢いで種子を弾き飛ばすので、そのさやの裂ける音がぱちり、ぷちりと聞こえてくるというわけです。音の聞こえてくるあたりを探してみて、もしまだはじけていない実があったら、そっとつまんでみましょう。完熟していればぶるるっと激しく身震いするようにさやがねじれて弾けます。
<写真はもう弾けてしまったカラスノエンドウのさや。真っ黒で硬く、よく見ると長崎名菓「よりより」みたいにねじれている。>

 ところでこのカラスノエンドウという名前ですが、私は子供の頃から、人間が食べるエンドウより小さいのでカラス(烏)が食べるエンドウ(豌豆)「烏の・豌豆」だと思っていました。しかしそうではなく、「ノ」は野生の「野」で「烏・野豌豆」のようです。ではそのカラスは何かというと、1)「実が熟して黒くなるのを黒いカラスに例えた」という説があり、一応頷けますが、私はカラスノエンドウとスズメノエンドウ、カラスウリとスズメウリ等の対比から、2)「似たもので大小があるときの大きい方」という意味なのではないかと思います。スズメノエンドウ(雀・野豌豆)はカラスノエンドウと似て春先に薄ピンクの小さい蝶形花を開き、やはり小さな豆果をつけます。ただしカラスノエンドウでは一つのさやに数個から十数個の種子が入っているのに対して、スズメノエンドウは2個で、さや自体も小さく、ちょっとトキリマメみたいな感じです(トキリマメが実をつけるのは秋なので、季節が全然違いますが)。
 さらにややこしいことに、スズメノエンドウに似て種子が4個入った豆果をつけるカスマグサという植物があります。この名前の意味は、何と「ラスノエンドウとズメノエンドウの間(ま)」なんだそうで、国立(くにたち=国分寺と立川の間なのでこの名になった)みたいな命名で親近感を覚えますが、少なからずいい加減っぽい命名のようにも思われます。ひょっとしたらこんな名前の付け方をされたカスマグサは怒っているかもしれないと思うと、なんだか顔を合わせたくないような気もして、実際今までそれと知って見たことはありません。カラスとスズメの間ならハトとかウズラとかつけてやればよかったのでは。
| 身近な自然 | 20:20 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
スマホ受難
 5月の連休にそれまでのケータイをスマホ化したことは以前書きましたが、このスマホが早くも入院という事態に(^^;)

代用機 ワイシャツの胸ポケットに入れていたのがいけませんでした。月曜日(6/20)の朝、会社で掃除をしていて何気なく屈んだ瞬間、スマホがいきなり床へダイブ!よほど打ち所が悪かったか意識が戻らず(電源が入らない)、その日の夕方にauショップで診てもらったところ即入院となりました。全治10日くらいらしいです。
 幸い同型(ただし色違い)の代替機を用意してもらえたので、電話やケータイメールのやり取りは問題ありません。ただ入院させたスマホは初期状態にリセットされて戻ってくる可能性が高く、メモリの内容は全部飛んでしまうようです。
 面倒くさがりの私はデータのバックアップなど当然のように取ってません。ケータイメールの中味は一時的な連絡ばかりで消えても全然問題ないし、PCメールやSNSはPCがメインなのでこれまた問題ありませんが、電話帳がなー、入力し直さなきゃならないのが面倒だぁ・・・あとアプリがね、ほとんど無料のばかりだけど、一部有料のもあったなぁ。くぅ〜・・・

 というわけで、皆様も万一に備えて、ケータイのバックアップはまめに取られた方がよろしいですよ。PCとかもね。そういえば以前PCのHDクラッシュのため、20年以上にわたって維持・管理してきた所蔵CDデータベースを飛ばしてしまったことがあります。これは昔々 Lotus Approach で組んだもので、曲目・演奏者・CDの3つのデータベースからなるスグレモノ(と自分では思っている)。バックアップはとってあると思っていたのですが見つからず、うーむ立ち直れない・・・おかげで今や所蔵CDは無政府状態で、よく見ると同じものが2枚買ってあったりします。いけませんなぁ。しかしまたデータベース設計から始めて、曲目1000曲分とかCD1000枚分のデータを入力する気力も時間もないですよ。退職したらボケ防止に取り組もうかな。
| 暮らしの中から | 19:47 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
自分が出た演奏会:土浦交響楽団第62回定期演奏会
土響62定プログラム 梅雨の晴れ間の日曜日の午後、つくばノバホールで土浦交響楽団第62回定期演奏会が行われました。
 茨城県内にはアマチュアオーケストラがいくつかありますが、水戸を本拠とする茨城交響楽団と茨城大学管弦楽団は、3月の震災の影響で水戸市内の演奏会場が使えなくなったため、演奏会そのものの中止(茨城交響楽団)や会場とプログラムの変更(茨城大学管弦楽団)を余儀なくされました。幸い県南のノバホールや土浦市民会館、また練習会場となっている公民館等にはそれほど大きな被害はなく、おかげさまで土響は練習を1回中止しただけで、予定通りの内容で今回の演奏会を行うことができました。関係各方面の方々にお礼申し上げますとともに、各地で被災された団体の皆様が一日も早く以前のように活動できますよう、心よりお祈り申し上げます。

土浦交響楽団 第62回定期演奏会
日時:2011年6月19日(日) 14:00開演
場所:ノバホール(茨城県つくば市)
曲目:「カレリア」組曲(シベリウス)
   スペイン奇想曲(リムスキー=コルサコフ)
   交響曲第3番変ホ長調「ライン」(シューマン)
     アンコール曲
   ヴォカリーズ(ラフマニノフ)
指揮:田崎瑞博

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| 自分が出演した演奏会 | 23:51 | comments(14) | trackbacks(0) | pookmark |
近頃飲んだ酒:アルザスのピノ・ブラン
 アルザス地域はもともと神聖ローマ帝国(ドイツ)の一部でしたが、17世紀以来戦争の度にフランスとドイツの間で取ったり取られたりを繰り返した歴史を持っています。そのためフランスの中でも独自のアイデンティティを持った地域になっているらしいのですが、彼の地を訪れたことがない私でもその独自性を実感できるのが、アルザスのワイン。
 まず瓶の形が細身で背が高く、ドイツワインと似ているので、並み居るフランスワインの中でもすぐ見分けがつきます。またフランスワインはAOCに則って基本的に地域名・地区名を表示するのに対して、アルザスワインの多くはAOC(アルザスとアルザス・グラン・クリュがある)に加えて原料ブドウの品種を表示しており、その品種もリースリングやゲヴュルツトラミナーなどドイツ系の品種が多い。さらに白ワインの比率が圧倒的に高いのもアルザスワインの大きな特徴です。
 ・・・というと、何だ要するにフランス製のドイツワインじゃないかと言われそうですが、そこはやはりお国柄の違いというか、目指すワイン像の違いが歴然とあって、ドイツワインが基本的に糖度重視で、その甘さをぴーんと強い酸でバランスさせるので、フルーティーで輪郭線がくっきりしたワインになるのに対して、アルザスワインはもっと穏やかですっきりとした中辛口のワインに作ります。例えて言えば、ドイツワインがドビュッシーのピアノ曲のように、腕をうーんと広げた鍵盤の一番高い端(ピーン)と一番低い端(ゴーン)が同時に鳴ってるみたいなのに比べて、アルザスワインは鍵盤の中央部で、中音域も豊かな密集和音をポロロロロンとアルペジオで弾いてるみたいな感じかな・・・しかし相変わらずわかりにくい例えですみません(汗)。ドビュッシー、フランス人だし。

アルザスのピノ・ブラン 私はそんなアルザスワインが大好きなのですが、実は酒屋さんでも飲食店でもあまり置いてなくて、しかもあったとしても「お財布に優しい」よりちょっと上の価格帯のことが多いのが残念ですね〜。でも先日初めて行ったつくば市東新井のワインバー&デリカテッセン「クレオン・ル・プレジール」には今まで飲んだことがないアルザスワインがあったので、思い切って頼んでしまいました。
 それはピノ・ブランというフランスのブドウを使ったもの。アルザスワインは上述のとおりドイツ系の品種を使ってるものが多く、フランスのブドウを使ったものは私は初めてでした。ベーコンとシェーブル(チーズ)のサラダ、 ズッキーニのキッシュ、イベリコ豚のローストと一緒に頂きましたが、ワインは香りがよく、リースリングやゲヴュルツトラミナーより柔らかい感じでした。でもイベリコ豚にもよく合って、全然負けてませんでしたよ。ん〜、んめぇ〜(感動)。まぁ私の場合大抵のものは何を飲んでも食べてもおいしいんです(笑)。それは人生を多少なりとも幸せに生きようとするのなら大事なことだと思う。
<今回いただいたPierre FrickのPinot Blanc 2006 AOC Alsace>

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| 飲酒日誌 | 22:11 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
オーセンティシティレベル50を狙ったバッハ演奏
 ケータイをスマホ化したら海外のFM放送が楽しいよ、という話を以前書きました。昨夜もそのようにして楽しんでいたら、「おっこれは!」とちょっと驚いた演奏がありました。
 ドイツのバイエルン放送協会(Bayerischer Rundfunk)が放送している BR-KLASSIK というクラシック専門チャンネルを聞いていたら、バッハのチェンバロ協奏曲ト短調 BWV1058(ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 BWV1041を編曲したもの)をピアノで弾いた演奏が流れてきました。チェンバロが普及する以前は、バッハのチェンバロ協奏曲は「ピアノ協奏曲」としてピアノで演奏されるのが一般的で、私も1950年代の録音を一つ持ってます。その後チェンバロが普及し、さらに当時の演奏様式やピリオド楽器の研究が進んで「古楽」というジャンルというか精神というか現象というか・・・が確立してくると、「バッハのピアノ協奏曲」は折衷的・過渡的な形態として、特に先端的な好楽家からは省みられなくなった、と私は理解しておりました。

 ところがですね、昨夜のバッハのピアノ協奏曲は違っていました。何がかと言うと、バックを務めるリチャード・トネッティ Richard Tognetti 指揮のオーストラリア室内管弦楽団 Australian Chamber Orchestra がヴィブラートなしで音の線を際立たせる、いわゆる古楽弾きだったのですよ。1950年代の折衷的・過渡的な演奏とは明らかに違って、バッハのチェンバロ協奏曲を古楽のアプローチで、でもピアノで弾いてる(ピアニストはアンジェラ・ヒューイット Angela Hewitt)。
 やられた、と思いました。「虚を衝かれる」ってこういうことなのだろうかなぁと。現代オケに古楽弾きさせる試みはアーノンクールやジンマンのおかげでもうおなじみになりましたが、これはもうひとつ突き抜けてますね。だって彼らの試みは「現代オケなのに古楽弾き」ですが、こちらは「バッハなのにピアノなのに古楽弾き」って、「なのに」が二つ入っちゃうんですから。
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| オーケストラ活動と音楽のこと | 23:44 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
飯田へ行ったつもりの紙上旅行 後半(伊那市〜新宿)
 飯田へ行ったつもりの紙上旅行、後半は伊那市から飯田線に乗ります(前半はこちら)。今回も地図を用意しました。飯田線はいわゆる旗竿記号で表示されていますが、細くてちょっと見にくいのでご注意ください。また例によって文中に出る地名を緑の楕円で囲みました。ただし南北に長い伊那平のこととて地図もタテに細長いので、1回のクリックで十分拡大されなければもう一度クリックして、上下にスクロールしてご覧下さいね。

伊那市から飯田へ さて、高遠を出たバスで広く開けた伊那平の風景を満喫しながら伊那市駅に着いたら、飯田線に乗り換えて飯田へ向かいます。前半に書いたとおり伊那平は伊那谷とも呼ばれますが、ここからの文章は地形の話になるので「伊那谷」の方を使おうと思います。「伊那平」というと私の中では人の暮らしが絡んだ人文的な表現のような気がするのです。伊那平という名前を長野県歌「信濃の国」で覚えたせいか?私は長野県人であったことはないけれど、以前長野県上水内郡(かみみのちぐん)三水(さみず)村(現・上水内郡飯綱町)に演奏旅行に行った時に覚えて、その頃は暗譜で歌えましたよ「信濃の国」。
♪しっなっのーのく・に・はー じーーっしゅうにー さーかいつらぬる くーににしてー そーびゆるやーまはいやたーかくー なーがるるかーわはいやとーおしー まーーつもといぃなぁさく ぜーんこーおーじーー、よーっつのたーいらは ひよくーのち うーみこそなーけれ ものさーわに よーろずたーらーわぬ こーとおぞーなぁき♪(歌ったつもり)
翻訳:信濃の国は十州に 境連ぬる国にして 聳ゆる山はいや高く 流るる川はいや遠し
   松本・伊那・佐久・善光寺 四つの平は肥沃の地 海こそなけれ物多(さわ)に
   よろず足らわぬ 事ぞなき
・・・ほらほら出たでしょ、伊那平。
 閑話休題、飯田線のこの区間のポイントは伊那谷に発達した田切(たぎり)地形です。伊那谷は天竜川に沿っておおむね南北方向に長く展開していますが、西側から天竜川に流入する太田切川、中田切川、与田切川、片切松川、松川等の東西方向の支流が地面を侵食し、西から東へ次第に深くなる谷を刻み、その両岸が急斜面や断崖になっています。これが田切地形で、伊那谷は東西方向のこの田切地形のために分断され、南北方向の道路や鉄道はそのつど比高の低い上流側=西側へ迂回して支流を渡っています。そのため飯田線の線路も蛇行を繰り返して進んで行くので、そのようすをしっかり体験しなくては。

 やがて列車は目指す飯田駅に到着。今日はここで泊まり、明日は飯田市美術博物館と柳田國男館を見学して、帰りは中央高速を通る高速バスで新宿へ戻ろうと思います。中央高速は田切地形の影響を受けない伊那谷の西の縁を走っているので、車窓から伊那谷を分断する田切の様子を俯瞰できるのではないでしょうか。地図では青い線で表示されているのが中央高速。伊那谷の中をジグザグに走っている国道(赤い線)や飯田線と比べてみてください。

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| 地域とくらし、旅 | 23:40 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
飯田へ行ったつもりの紙上旅行 前半(茅野〜高遠)
 またぞろ旅の虫が動き始めて、どこか行きたくなってきました。あいにく今週の土曜日は出勤、日曜日と来週土曜日はそれぞれ土浦交響楽団と茨城大学管弦楽団の本番で、今月中は動きがとれません。そういうときに限ってどこかへ行きたくなるのは何でしょうかね。演奏会とその後の打ち上げは楽しみなのだから逃避ではなさそうだが・・・そういえば高校生ぐらいから、試験が近づくと全然関係ない本が読みたくなってた、あれは逃避だったかも知れないな。
 仕方なくうだうだとネットを見ていたら、長野県飯田市の飯田市美術博物館の関連施設の柳田國男館というのが目に止まりました。ホームページの施設紹介によると、

柳田國男館「柳田國男館は、日本民俗学の創始者 柳田國男(1875〜1962)の書屋を、東京都世田谷区成城から飯田市に移築し、平成元年(1989)に飯田市美術博物館の付属施設として開館しました。柳田の人と業績等を紹介する「展示室」と、柳田の著書他が並ぶ大書斎「柳田國男記念室」、さらに民間の研究団体「柳田國男記念伊那民俗学研究所」の活動拠点がおかれています。「民俗の宝庫」―伊那谷の「生きた学び舎」としての活用をねがうものです。」

とのこと。なぜ兵庫県出身の柳田國男の書屋を長野県の飯田に持ってきたかというと、もともと松岡家に生まれた國男が旧・飯田藩士の柳田家の養嗣子となった、その縁によるもののようです。

 柳田國男の書屋も興味がありますが、私は何より飯田という場所に惹かれました。飯田市のある伊那平(いなだいら:伊那谷ともいう)は長野県歌「信濃の国」に「松本・伊那・佐久・善光寺、四つの平(たいら)は肥沃の地」と歌い込まれている四つの盆地のひとつで、天竜川沿いに南北に長く伸びており、伊那谷とも呼ばれます。飯田市はこの伊那平の南端近くにあるのです。
 伊那といえば今から30年ほど前の学生時代、私は「古文書実習」でこの伊那平の北部にある上伊那郡南箕輪(みなみみのわ)村に数日滞在し、その風土のほんの一端ですが触れることができました。また社会人になってからは豊橋から辰野まで飯田線を完乗し、天竜川がえぐった狭い谷から広く開けた伊那平の南端に躍り出たとき、ここからそれまでの山中と全く違う暮らしが展開するのだな、と実感しました。飯田線にはいくつも見所がありますが、天竜峡から飯田の間のこの風景の転換は、豊橋側から乗る場合のひとつのクライマックスじゃないでしょうかね。

 いいね飯田、行ってみたい!しかしどんなに行ってみたくなっても来月まではどうしたってお預けなのだし、来月になっても諸般の事情がそれを許さないかも知れないし・・・じゃあいいや、地図と記憶と想像力を頼りに紙上旅行といくか。

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| 地域とくらし、旅 | 22:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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