最近始めた「今日飲んだ酒」ですが、書き始めた途端に公私共に何かと忙しくなってしまい、しばらく途切れてしまいました。さらに自らを省みるに、飲んだその日のうちにその酒について何事かを書いてアップするという律儀な性格では到底なく、ということは常にタイトルを偽らざるを得ないわけで、それなら「今日飲んだ」じゃなくて「最近」とか「このごろ」とかゆるくした方がより真実で気持ちも楽だ、ということに思い至り、「今日飲んだ酒」改め「近頃飲んだ酒」とすることにいたしました。
というわけで、12月中旬編はさっそく3連続でいきますよ。
近頃飲んだ酒-1:「出羽桜 桜花吟醸酒誕生三十周年記念酒」 家飲み用に買った山形のお酒。ふだんはもっぱら値段の張らない普通酒ばかりなのに珍しく吟醸なんて買ったのは、「出羽桜」にはちょっとした思い出があるからで、私が初めて飲んだ吟醸酒が「出羽桜」なのです。
もう20年以上前になりますか、大学の同期で卒業後は故郷の山形に戻って高校の先生をしている友人のY君から結婚披露宴に招かれ、山形を訪れました。その披露宴の二次会で出たのが地元の酒「出羽桜」の吟醸酒。当時は今ほど吟醸酒が一般的ではありませんでしたから、私はここで初めて吟醸酒を飲み、そのフルーティな香りとさわやかな味わいに圧倒されました。本当に「何じゃこりゃぁ!」って感じでしたね。
ところでなぜかY君は数年後に離婚してしまい、多分そのせいで私も彼の結婚関連の記憶をそれとなく封印してしまったらしく、季節がいつだったとか会場が山形のどこだったとかいうことは全然思い出せないのですが、「出羽桜」吟醸酒のあの衝撃はあまりに強烈で今も忘れません。Y君もその後再婚して、今では幸せな家庭を築いています。めでたしめでたし。
この記念酒は限定発売で(そりゃそうだ来年になったら三十周年じゃなくなっちゃうもの)、通常の「桜花吟醸酒」よりお買い得なお値段になってます。ありがたや。
裏ラベルにこの酒の説明書きがあり、当時の酒蔵の志のあるところを示したよい文章と思うので、ここに書いておきます。
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三十年前のこと、吟醸酒は鑑評会用に作られ、一般に売り出されていなかった。桜花吟醸酒は、その吟醸酒を誰でも手の届く一般の酒にした。
「日本酒のすばらしさを伝えたい」
「手造りの技の凄さに触れていただきたい」
その想い、執念から・・・。一粒の米から、この芳香と淡麗な味わいが生まれるとは、誰も想像できなかった。
原料米は、高価な酒造専用米を使わず、山形の地米を半分まで磨いた。高価な特殊瓶ではなく一升瓶に詰め、一般酒の価格にコーヒー一杯分を上乗せした求めやすい価格に抑えた。山形県の酒造技能士第一号取得者、名杜氏、故「富樫広太」の柔軟な発想、卓越した技が桜花吟醸酒を生み出した。世に吟醸ブームを起こしたと後に伝わる。
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裏ラベルによるとこの三十周年記念酒の原料米は「国産米100%使用」となっていて、麹に「出羽燦々」(1997年に品種登録された山形県産の酒造好適米)を使っている通常の「桜花」とは区別して作られています。三十年前の吟醸酒の復刻版ということになるのでしょうか。私があの日山形で初めて飲んだ吟醸酒も、これと同じものだったのかな・・・うーん、おいしい!よーしY君の思い出と幸せのために、もう一杯いっちゃえ〜!(酔)
あとの2本はワインです。