リコーダーの右手小指が音孔を押さえるのは、楽器の最低音(C管ならC、F管ならF)と、ダブルホールになっているその半音上(C#/F#)、最高音の半音下(C#/F#)、またバロック式なら最低音の4度上(F/B♭)の3つないし4つの音だけなので、リコーダーの標準的な音域である2オクターブ+1音の音階をさらっと吹いてみると、右手小指を使うのは27音中3音(バロック式なら4音)に過ぎません。つまり演奏中この指はほとんど遊んでいるのですよ。
<ちょっとわざとらしく指を上げてポーズしてますが(笑)、小指に注目してください。>
一方、フルートの右手小指のEsキーは演奏中ほとんど押さえっぱなしになります。このキーは「押すと音孔が開く」ようにできているので、Esより上の音に対しては常にこのキーを押さえて音孔を開けておかなければならないからです。ところがフルートに慣れてしまうと、右手小指を長い間空中に保持する筋肉が衰えたり、演奏中右手小指が常に何かに触れていないと不安を感じる(笑)等の症状が出てきます。そしてこのような症状を抱えたフルート吹きがリコーダーを吹こうとすると、キーはないし、指穴を押さえるわけにもいかないので、とりあえず右手小指は管体の音孔のない部分につけておくことになります。そして最初はただ不安を鎮めるために(笑)管体につけていたこの指が、実は楽器を安定させるのにも役立っていたことに気づくのです。少なくとも私の場合は、そうでした。
<フルートのキーシステムは木管楽器の中で最もシンプルで、キーの数も一番少ない(あっそうだピッコロには負けるわ)のです。そんな中で3つのキーを操る右手小指の一角は一番キーが混んでる箇所。Esキーはいつもはバネの力で閉じていて、図の赤矢印の部分を押すと青矢印のキーが開きます。>