2009年10月28日(水)、東京サロンオーケストラの月島第一幼稚園・小学校演奏会のため初めて月島を訪れました。演奏会は午前中のため午前8時現地集合でしたが、せっかく初めて行くところなので早めに着いてぶらぶらしたいと思い、午前7時ごろに到着。幼稚園と学校の場所を確認して前を走る広い清澄通りを眺めると、海側(学校のある側、南東側)には比較的新しい建物が並んでいるのに対して、陸側(北西側)に並んでいる建物の方が小さく古そうで、震災復興建築に見られる銅板葺きのファサードを残しているものもあります。おそらく清澄通りは海側へ拡幅されていて、古い建物は陸側にしか残っていないのではないかと想像されます。
<清澄通りの陸側にあった銅板葺きファサードの店。緑色に見えるのが銅板。関東大震災で被災した店を建て直すときに銅板が多く使われたという。すなわちこの店は大正12(1923)年の震災以前からここにあったものと考えられるわけで・・・え?「茶月」は大正時代にはなかった?(1969年に京都に開店した6店から始まっている。)そりゃそうだけど、だから昔は何か別の店だったんですよ、きっと。>
古めな建物に誘われるままに陸側へ歩いていくと、やがて長い商店街にぶつかりました。「月島西仲通り商店街」です。
まだ開店には早いのでみんなシャッターが閉まっていますが、アーケードの上の部分を見ていくと銅板葺きのファサードの一部やクラシックな雰囲気の看板もあり、やはり関東大震災以前に遡る歴史のある商店街らしきことが窺われます。お店の周りは掃除が行き届いていてほとんどの店が元気に営業中であろうと思われますし、商店街から脇へ入る路地も生活感満点。一番街(佃寄り)から四番街(勝どき寄り)までひととおり歩いてみました。
なお、これから紹介する建物たちは実際の並び順ではなく、順不同です。悪しからず。
10月28日(水)の午前、東京サロンオーケストラが中央区立月島第一幼稚園の園児と月島第一小学校の生徒および保護者の方々向けに演奏会を行い、私もコントラバスで参加しました。
月島第一小学校は明治39(1906)年の開校という歴史ある学校で、演奏会場の体育館にかかっていた校歌の額を見ると、作曲者は信時潔(のぶとき・きよし)でした。さすがですね。月島第一幼稚園は昭和28(1953)年の開園。今の校舎はこのふたつがつながっていて、学校の玄関を入ると右側が小学校、左側が幼稚園というつくりになっています(幼稚園の玄関は別にある)。今回演奏会を行った体育館は幼稚園側の3階にありました。また幼稚園にも小学校にも制服があり、幼稚園は裾の広がった明るい茶色のスモックで、自分のスモックを見分けるためか、襟の後ろにみんなそれぞれ絵柄の違うアップリケを付けています。小学校はグレーのブレザー。そういえば昨年演奏会を行った中央区立泰明小学校も紺色の制服がありました。公立の小学校で制服があるのは珍しいのでは。
<月島第一小学校の校章(百周年を記念して更新した現行のもの。詳しくは学校ホームページで)。>
集合時刻より1時間以上も早く着いて学校も開いてないし、この辺りに来たのも初めてなので、しばらく学校の周りを歩いてみました。少し離れたところにある月島西仲通り商店街がとてもおもしろかったが、そちらは別稿に譲ります。
<左の写真手前の高い建物が月島第一幼稚園、奥の低いほうが月島第一小学校。幼稚園の建物はさらに左に伸びていて、校庭をL字形に囲っています。>
<学校の前を清澄通りが通っています。正面は勝どき方向、左側に黒く写っている建物が幼稚園と学校。 佃・月島・勝どき界隈はウォーターフロント開発でマンションが建ち並び、建築中の物件も。>
<小学校の玄関脇にある椅子の彫刻『光、風、記憶』。座面の上には本が開かれていて座ることはできません。>
<学校から勝どき方面に進むと月島橋があります。橋の上から晴海トリトンスクエア方面を見た図。ぼんやりたたずんでいると、トリトンスクエアの方からオナガガモ♂が一羽、ゆっくりと泳いできました。>
おっと、肝心の演奏会の内容を書き忘れるところだった・・・
以前「パイこね変換とは」という記事をアップしたときに、「こねたらパイにならんじゃろ」とツッコミを入れときましたが、その後こねてもパイになることがわかりました。正しくは「こねる」のではなく「混ぜる」のですが、練りパイとか練り込みパイと言われるものがそれ。バターまたはショートニングを細かく切って小麦粉とよく混ぜ、水を合わせてまとめるもので、要するに折りたたんで層にするのを止めてみーんな混ぜちゃった、というパイ生地ですね。実際には練るというより混ぜて延ばす感じのようです。こねたり練ったりしてたら油脂が溶けて生地がだれるし、薄力粉とはいえグルテンが出て中途半端なパンみたいになってしまうのでは?
エンゼルパイとかチョコパイというお菓子がありますね。マシュマロをビスケットやスポンジではさんでチョコレートをかけたものですが、源氏パイとか夜のお菓子うなぎパイと比べると見るからにパイらしくないのに、なぜあれがパイなのか?というわけでエンゼルパイのホームページを見てみたら、公式ブログに次のような記述を発見。
(以下引用、改行は変更しています)
ご存知の方も多いかもしれませんが、エンゼルパイの名前は 欧米でマシュマロが「エンゼルフード」と呼ばれることに由来します。
そして、パイとは「小麦粉を練ったもの」のことを言います。←日本では一般的に、生地とバターが交互に何層にも折りたたまれたサクサクのものを呼ぶことが多いですけどねd(^-^)
そんなわけで、“エンゼルパイ”と名付けられました。
(引用終わり)
およ〜、一般的な日本人であるワタクシも、パイといえば「生地とバターが(中略)サクサクのものを呼ぶ」と思っていましたよd(#^-^#)。ちなみに「エンゼル」の方はM永の製品だからだと思っていたが、それだけじゃないのね。
しかし「パイとは「小麦粉を練ったもの」のことを言います」はなかなかきっぱりしていてよろしいが、いくらなんでも大雑把過ぎやしませんか?それじゃうどんやパスタ、粉もん一般がみんなパイになってまうで(笑)。そこで「パイって何じゃろ?」と改めて調べてみたところ、実は層にならないパイもあることがわかったのでした。知らないって楽しい(笑)。
<写真はエンゼルパイ。同ホームページより>
ちなみに、アメリカにはエンゼルパイに酷似した「ムーンパイ」というお菓子があり…というか、歴史的には1917年生まれのムーンパイの方が大先輩なので、正しくはエンゼルパイの方がムーンパイに酷似してると言うべき。こういう先輩がいたからこそエンゼルパイも安心して「パイ」と名乗ったのでしょう。
しかしそれでも、例のアルゴリズムの名前の「パイこね変換」は不適切で、「パイ折り変換」であるべきだ、という私の主張は変わらないのだ(笑)。
突然始まっていつの間にか途絶えてしまった「食に関する本」カテゴリーですが、どっこいまだ終わっちゃいない…というか、また本買っちゃって(笑)。
子供のころから何となくドイツに親近感を覚えていたのに加えて、中学2年生で聞いたシューベルトの「冬の旅」でドイツ語の響きに魅せられてから、ますます私のドイツ好きに拍車がかかりました。もっともそれは「冬の旅」という作品そのものの魅力に加えて、そのとき聞いたフィッシャー=ディースカウの歌唱が、manche Stunde entfernt (何時間もかかるほど遠く隔たった:「冬の旅」第5曲「菩提樹」より) な東洋の片隅の日本国の中坊の心を揺さぶるくらいすごかったせいなのですが、しかしもしその後万葉集とか折口信夫に巡り合わなかったら、私はドイツ文学方面に進んでいたことでしょう。そんなわけで、評判になった林望の『イギリスはおいしい』は「うそだぁ」とか言って未だに読んでいないのに、こちらは書店で見かけるなり早速買ってしまいました。『ドイツ料理万歳!』(川口マーン恵美 2009 平凡社新書)です・・・あれ、平凡社新書の表紙って前は赤白だったけど変わったのね。
ところで、ドイツ料理といっても思い浮かぶのはジャガイモ、ソーセージ、骨付き肉を切り分けるアイスバインにザウアークラウトくらいで、一度だけドイツを訪れたときの経験でも何かがすごくおいしかったという印象がないので、最初はあまり期待しないでこの本を手に取ったのですが、まず冒頭の「まえがき」がとてもおもしろい。
第30回リハ並木祭 東京サロンオーケストラ恒例コンサート
日時:2009年10月17日(土) 15:00〜16:00
場所:国立障害者リハビリテーションセンター(所沢市) 講堂
曲目:
〜オーケストラ演奏〜
歌劇「カルメン」より 前奏曲(ビゼー)
ワルツィング・キャット(ルロイ・アンダーソン)
タイスの瞑想曲(マスネー) Vn.独奏:喜多村 弾
〜指揮者体験コーナー〜
ハンガリー舞曲第5番より(ブラームス)
〜再びオーケストラ演奏〜
喜歌劇「ジプシー男爵」序曲(J.シュトラウスII世)
〜生オケコーナー〜
秋桜(作詞・作曲:さだまさし)
島唄(作詞・作曲:宮沢和史)
明日咲く花(作詞・作曲:奥華子)
〜みんなで歌うコーナー〜
崖の上のポニョ(作詞:近藤勝也、宮崎駿 作曲:久石譲)
赤とんぼ(作詞:三木露風 作曲:山田耕筰)
〜最後にオーケストラ演奏〜
行進曲「威風堂々」第1番(エルガー)
アンコールとして ハンガリー舞曲第5番(ブラームス)
指揮と司会は私が務めました。
(左)路上に「落ちていた」トノサマバッタのカップル。大きいほうがメス、小さいほうがオス。まあこの人たちはいつまでもこのままじっとしていたいのかも知れないね・・・。
(右)先日ツチイナゴの子どもたちを紹介しましたが、こちらは立派に翅が伸びた成虫。やっぱりクズの葉にいました。
それと、バッタの飛び方を見ていると、特にどこかに目標を定めてそこにばっちり着地する、というふうには見えません。路面に落ちて勢い余ってひっくり返ったりしてます。何かに似てると思ったら、セミも大慌てで飛び出して、アパートの壁面なんかに止まりそこなって落っこってきたりしてますね。トンボやハチも高速で飛びますが、ああいうぶざまなことはしません。ムシにもいろんなヤツがいるね。
赤い実はヒヨドリジョウゴ。ナス科のつる性の植物で、8月から9月ごろに白い小さな花を咲かせるそうですが、赤い実がなって初めて存在に気づきました。赤くて柔らかくて美味しそうですが、ジャガイモの芽で有名なソラニンを含んでいて食べられないそうだ。さすがはナス科。
昔仲間と上高地に行く途中に立ち寄ったどこか(忘れた ^^;)で、赤くて美味しそうな実があったので食べてみたら、特に美味くも不味くもなく、しかも「あっちの赤い実食べた」と仲間に言ったら、「えぇ〜あれ食ったの!? あれは○○(これも忘れた ^^;)で、毒だよ!」と言われてけっこうショックだったので、それからは赤い実を見ても無闇に食べないようにしてます・・・あ、普通そうですか?(汗)・・・ちなみにその時は特に何の症状も出ませんでした。よかったよかった。
(左)青い実はヤブミョウガ。夏には輪生した白い花が段々を作るように咲き、その姿がなかなかきれい。当然のことながら実も段々に着き、熟すと濃い青紫色で金属みたいな光沢があり、これもなかなかきれい。
(右)黄色い実はカラスウリ。カラスウリの未熟果は緑に白〜黄色の縦じまで、やがて全体が黄色、さらに鮮やかな朱赤色になります。黄色く熟すキカラスウリというやつもありますが、これは赤くなる直前のカラスウリです。
カラスウリがあればスズメウリというのもあるそうで、スズメだけに実はもっと小さくて白くなるらしいが、私はそれと知って見たことはありません。探してみようかな。
「オランジェット」という、オレンジピールにチョコレートをかぶせたお菓子がありますが、私はこれが大好きで、たまたま立ち寄ったお菓子屋さんにこれがあるとつい買ってしまうこともしばしば。「何々はどこそこのでなくちゃ」とか「どこそこのが一番」という方も多いようですが、私はたいていいつでも「今食べてるこれ、おいしい!」と素直に思える得な性分なので、今まで食べたオランジェットはみんなそれぞれおいしかった。飾り気もなく単純に見えますが、オレンジピールの質感や甘味と苦味のバランス、香りの高さ、チョコレートの甘さ具合や口どけ、オレンジピールとチョコレートの割合等々、お店によって違いがあって、その違いがまた楽しい。
傾向としてはオレンジピールはたっぷり甘く柔らかく、それに対してチョコレートはきりっと苦く、割合としてはオレンジが多めで香り高いのが私好みで、味わいも香りもテクスチャーもオレンジピールとチョコレートの対照がはっきりしてる方が好きです。
食べたことはないけど、オレンジのコンフィを輪切りやくし形に切ってチョコレートをかけたものもあるみたいで、そうなると果肉部分の味わいやテクスチャーが果皮とは当然違うはず。ふふぅ、どんな感じなのかなぁ、食べてみたい!
<写真は参考画像でございます。>
「市民パイ」という名前、インパクトありますね。表面のラベルをよくよく見ると「牛久」と「市民」の間にカッパが描かれています。どうやら牛久沼のカッパは牛久市民らしい。そう言われてみると、パイの形もカッパの掌形。 話題にもなり、何よりさくさくしておいしい。茨城県南の気軽なお土産好適品発見!
<右写真は裏ラベル(食べてから思い出して写真撮ったので破れちゃってる ^^;)。市民のパイは着色料とか着香料とか保存料とかは使ってません。どうか安心してお召し上がりくださいね。>
例年このコンサートでは、センターの利用者の方数名にご希望の曲を生オケの伴奏で歌っていただいているのですが、実はここ数年、若い方の希望曲を指揮者(つまり私)やオケのメンバーが知らない!という事態が起こっています。昨年は宇多田ヒカルの「First Love」、そして今年は奥華子の「明日咲く花」がそれ。
オーケストラだけの曲なら最悪「とりあえず譜面どおりに」で何とかなるかも知れませんが、歌の伴奏となるとそうはいかない。歌う方は当然その曲をよく知っていますから、たとえアレンジは違っていても、テンポや雰囲気は歌う方が知っているそれに合ってないといけません。というわけで、iTunes Storeで曲をダウンロードして一生懸命聞くことになりました。
この「明日咲く花」という曲はけっこう大掛かりで長めの曲ですが、聞いてみると構造が分析しやすくて私はとても助かりました。たとえば歌は4小節の楽節が基本単位で、A(「風に誘われてゆく〜」の部分)は[4小節|(4+0.5)小節]、これに[4小節|(3+2)小節]のB(「きれいだね 君に見せよう〜」)が続き、さらに[4小節|(4+0.5)小節]のリフレイン(「輝ける場所へ いつか行けるのなら〜」)が続くという構成。一見4小節の基本単位からしょっちゅう逸脱しているように見えますが、実はA・B・リフレインのいずれも基本構造は[4小節|4小節]で、それぞれの後半の4小節にちょっとずつ「色」が着いているのです。
またAでは旋律が狭い音程の中をぶつぶつ切れながらレチタティーヴォふうに動き、やがて5度とか6度とかいった音程の大きな跳躍が現れ、しかもそれがA→B→リフレインと曲が進むにつれて頻繁に使われ、メロディラインを大きく盛り上げていますし、長いコーダの頭(「広い空の下で〜」)に現れるハ長調から変ホ長調へのロマン派ふうの三度の転調による広がり感の演出(ちょうどここで歌詞の世界もぐっと広がる)など、しっかり構成されきっちり作り込まれた曲だということがわかります。