広瀬量平氏の訃報 〜「海はなかった」のこと〜
「海の詩」楽譜
 今朝(11月26日)の新聞で作曲家の広瀬量平氏のご逝去を知りました。広瀬量平氏といえば私の中では合唱組曲「海の詩」(岩間芳樹 作詩、1975年)、とりわけその第一曲の「海はなかった」の作曲者。「海はなかった」は高校のクラス対抗合唱大会*で優秀賞だか何だかを取り、その余勢を駆ってみんなで国立駅前のロータリーで歌った思い出の曲(当然アカペラ、ちなみに素面です、高校生だからね)・・・市民の皆様その節はご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。<写真は合唱の方にはおなじみ、カワイ出版合唱曲シリーズの「海の詩」。>

 写真の「海の詩」の楽譜の最初に載せられた広瀬氏の「「海の詩」のこと」という文章にもはっきりそうと書かれてはいませんが、「海はなかった」は公害の情景を扱ったものです。ところがたまたまネット上のある記事で、ちょっと前の高校生たち(質問は2004年10月ですが、回答者の方の経験はさらに数年前らしい)が、この歌を「戦争もの」あるいは「近未来の核戦争後の世界を描写した曲」と解釈していた / しようとしていたことを知りました。昔は真っ黒でところどころ赤かったり緑だったりする臭い川とか、なんだか色のついた煙がもくもく出てる煙突とか、いかにも体に悪そうな情景がわりと普通に見られたものですが、そうした経験を持たない1980年代も後半生まれと思しきこの人たちは、重い雲に閉ざされ渡り鳥たちが息絶えている世界のイメージを、何かで読んだりどこかで聞いたりしただけの「公害」という言葉と結びつけることがないようなのです。それはそうだね、当然だよねと思いながらも、私は30年前の高校生が「これは公害による汚染のことだ」とごく自然に理解した(よね?>同年代の元高校生たち!)その感覚が、今では通用しなくなっていることに、何と言うか、軽い眩暈(めまい)みたいなものを感じました。
 あれほど社会全体を震撼させ、いつまでも抜けない棘のように折に触れて粘着質の痛みと苦味を感じさせ続けたあの「公害」、あれはいつの間にか、もう過去のものになったんだ・・・って。
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| 暮らしの中から | 00:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
韓国みやげの飲み物二種
 当社の社員の韓国出張のお土産といえば韓国海苔が定番ですが、今回は目新しいアイテム登場。両方とも飲み物のようですが、「これ、何?」と聞いても「いや〜向こうの人がおいしいって言ったんで、中味はよくわからない」と頼りない答え。ふつう試飲するなり何なりしてある程度中味がわかったものを買ってこない?
飲料1
<こちらはスティックに入った粉末をお湯に溶かすタイプのもの。くるみ、アーモンド、松の実、ハトムギなどの絵がついている。>

ティーバッグ
<こちらはティーバッグ。ハングルが読めないので中味を推測する手がかりは Solomon's Seal Tea という英語の商品名のみ。>

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| 飲み食い、料理 | 09:12 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
開店休業・・・
水滴のついた巣

 数日前の霧の深い朝のこと、家の近くのジョロウグモの巣にも水滴がびっしりついて糸が丸見え。これではムシもよけるでしょう。
 せっかくきれいに網を張り、真ん中で律儀にお客さん(?)を待ってますが、今朝は開店休業だね。

水滴のついた巣2
| 身近な自然 | 08:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「貸借対照表」のナゾ
 一応本業は経理屋さんなので、たまには経理ネタを・・・
 経理屋さんが作る書類に「貸借対照表」というものがあります。資産、負債、純資産(昔は「資本」といった)に属する各勘定科目の残高をまとめたもので、よくあるのは図のように「資産の部」と「負債の部・純資産の部」を左右に分けて表示する「勘定式」というタイプのもの。経理屋さんの業界用語では左側を「借方(かりかた)」、右側を「貸方(かしかた)」と呼ぶ慣わしなので、すなわち「貸借対照表」とは対象となる勘定科目の方残・方残を対照させて示すなのであります。
貸借対照表

 ちなみに「貸借対照表」には上のように借方残・貸方残を左右に分けて示す「勘定式」の他に、各勘定科目の残高を単純に上から下へずらずらと連ねる「報告式」という作り方もありますが、これは借方も貸方も対照もへったくれもないので、「貸借対照表」という名の真面目を失ったものと言わざるを得ない。それじゃ単なる残高表 Balance Sheet*1 に過ぎませぬ。「貸借対照表」という以上は、やはり「勘定式」に止めを刺します。

 ところで、簿記の勉強を始めた人は必ず「なんで借方・貸方って言うの?どんな意味?」という疑問を持つのですが、誰に聞いても何を調べても「そういう決まりなので、意味も理由もない」という答えしか見つからないでしょう。おそらく自分と取引相手との間の貸し借りだけを記録していた頃には意味も理由もあったのでしょう*2が、現在の貸借対照表には複式簿記の原則とか価値の評価とかいろんな理屈が詰め込まれていて、貸し借りと全然関係ない科目がいっぱいある/の方が多いし、そもそも「付金」は方に、「入金」は方に出てくるし、もはや貸借対照表の内容と「借方・貸方」という呼び方とを結びつける単純な理屈は実質的にはありません。単純に「借方=左側、貸方=右側」です。「借方(かりかた)のりは左(ひだり)のり♪」と覚えましょう。*3

 ところで今はそういう簿記の話はさっぱり忘れて、もういちど図を虚心に見てください。何か変じゃありませんか?そう、タイトルは左から「対照表」なのに、表そのものは左側が「方」右側が「方」なので、タイトルと借方貸方の並びが逆というか、ねじれているのです。タイトルが「対照表」だったら表の並びとそろうのに、何で逆なの?というのが、簿記初心者の頃の私のギモンでした。しかしこんな簿記の本質とまったく無関係なギモンを持つあたり、ハナから適性がないやね(笑)。

貸借対照表(ねじれてる)
<タイトルの「貸」「借」と表の「借方」「貸方」の位置関係がねじれてるではないか!>
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| ことばのこと | 22:31 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
自分が出た演奏会:第23回国民文化祭いばらき2008「オーケストラの祭典」
オーケストラの祭典プログラム表紙 11月の1日(土)から9日(日)にかけて茨城県を開催地として「第23回国民文化祭いばらき2008」が開催され、私も最終日の9日(日)に水戸市の茨城県立県民文化センターで行われた「オーケストラの祭典」に演奏者として参加しました。
 国民文化祭(国文祭)は国民体育大会(国体)と同様に毎年各県持ち回りで開催されているのですが、戦後まもなく始まった大先輩の国体からははるかに遅れて1986(昭和61)年から始まり、まだ全国47都道府県の半分も回っていないので、知名度では国体にはとても及びません。私も茨城での国文祭の開催準備のために土浦交響楽団にもお呼びがかかった昨年に初めてその存在を知りました。

 音楽や美術、演劇、舞踊、伝統芸能など様々な分野の様々な催しが県内各地で行われる中、私が参加した「オーケストラの祭典」は、ジュニアの部(〜高校生まで)・大学生の部・一般の部の三部に分かれてそれぞれ全国各地からのアマチュア奏者によるオーケストラを編成し、演奏を行うというもので、そのプログラムは次のとおり。

第23回国民文化祭・いばらき2008「オーケストラの祭典」
2008年11月9日(日)13:30〜17:00

開会式
ジュニアのステージ
 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕の前奏曲(ワーグナー)
 「カルメン」組曲第1番(ビゼー)
 管弦楽のためのラプソディ(外山雄三)
  指揮:羽部真紀子

一般のステージ
 幻想交響曲(ベルリオーズ)
  指揮:山下一史

大学生のステージ
 組曲「惑星}(ホルスト)
  指揮:松尾葉子
閉会式
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| 自分が出演した演奏会 | 23:24 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
新しい指揮者!
 11月に入っていきなりの三連休は1日(土)が東京サロンオーケストラ、2日(日)が土浦交響楽団、3日(月・祝)が国民文化祭いばらき2008臨時編成オケと、練習三昧の三日間。あんまり休んだ気がしない三連休でした。

 このうち初日の東京サロンオーケストラの練習は、11月29日(土)のチャリティコンサートと来年の定演の指揮をお願いする野宮敏明氏との初顔合わせ。一年間だけとはいえいちおう自分が預かったオーケストラをプロの指揮者が振って、いったいどんな感想を持たれるか、私としてはお白洲に引き出されてお裁きを待つ気分です。かん高い声とオーバーアクションで空回りするタイプの私とは違って、野宮氏の指導は落ち着いて丁寧かつ明快なもので、団員にとって新鮮だったのではないでしょうか。練習後の近くの中華での小宴にも想定外の人数が参加して盛況でした。

 いっぽうお白洲でお裁きを待っていた私はというと、初めてのオケに対する野宮氏の指摘の中で
・フレーズの終わりがいいかげん
・曲の変わり目であわてる
という二点にドキッ。あ〜それ、心当たりある・・・これは一年間このオケを預かった私の責任。ちゃんとフレーズを納める前に音楽をせっかちに先へ先へと進めてしまう私のせい、テンポの変わり目をきっちり指揮できない私のせいです。あぁやっぱり悪いところ、できないところはてきめんに結果で返ってくるんだ、恐ろしいことだ・・・と一人反省しておりました(でも中華ではいつものようにはしゃいでました<どこが反省しとるんぢゃ!)。

 その後改めて反省してみると、この二つは私にとっては同じことを言われている、というか、フレーズの終わりをきちんと処理できればテンポの変化にも対応できるはず。そのためには拍の取り方から細かい音価の裏拍を意識して「いち、にぃ、さん、しぃ」に取ることが必要だな。特に小節の最後の拍がいい加減になりやすいのかな。向上するヒントをいただけたわけですから、きちんとした音楽ができるようにもう一度やり直してみよう。

 ところで私が住んでいるつくば市に筑波研究学園都市吹奏楽団(都市ブラス)という団体があり、私もかなり前ですが一度トラに呼ばれたことがあり(最初に行った練習で、うっかりB♭でチューニングしてあわわになっていた粗忽者の弦バスは私です・・・瞑)、野宮氏はここの指揮者もなさっていることを知りました。ひょっとしたら一度お世話になっているかも知れません。うっかりB♭で(以下同文・・・)。

 野宮氏の今後のご指導に大いに期待しています。
| オーケストラ活動と音楽のこと | 17:32 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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