2008.10.30 Thursday
いまこそ旅をおもう
先週あたりから怒涛の勢いでブログを更新してますが、とにかく何か書きたくてうずうずして仕方がない。これは何かの欲求が満たされていないのではなかろうかとわが身を省みると、最近「旅分(たびぶん)」が不足しているような気がします。そうだ車の移動ばかりで「テツ分」も足りんのだ!
元テツで地図好き写真好きの私は本来旅が大好きですが、最近何かと忙しいのとお金がないのとで旅に出てません。仕方なく合唱組曲「旅」(詞:田中清光/山之井慎 曲:佐藤眞)を聞きながら「行(ゆ)け 旅に いまこそ!」という歌詞に「そうだ、そうだ」と一人頷いたりしています。ホントいい曲なんだ、これ。
(ちなみにこの文章のタイトルもこの組曲の終曲「行こうふたたび」の歌詞から採ってます。)
1962年に作曲されたこの曲で歌われるのはちょっと昔っぽい一人旅。普通列車や路線バスくらいは使うのでしょうが、基本的には歩くのを苦にせず、峠を越え渚を歩み村を抜け、ときどきは村のじさま(爺さま)と話もするが、好んで心を開く相手はお地蔵さんだったり青空だったり海だったりそば畑だったりという、まことにつつましい旅なのです。1970年に始まった国鉄(当時)の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンから個人旅行が大衆化しますが、これはそれ以前の旅の姿だったのでしょう。
思えば、かくいう私自身が旅をし始めたのもまさにその「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンとSLブームがきっかけだったので、リョコウのタイシューカ云々について大きな口を叩くつもりも資格もないんですが、私の旅スタイルはその頃から今まで普通列車や路線バスと歩きがメインの一人旅なので、既に当時からちっとばかし世間の流行に乗り遅れていたのかなぁ。
今でも思い出してぞくぞくする旅の景色があって、それがいつだったか、どこへ何をしに行ったのか思い出せないのですが、もうその日のうちに東京方面行きの列車に乗らないと周遊券の有効期間が切れてしまうという旅の最終日に、どうせなら一番遠くで上りの最終列車に乗ってやれと、大糸線だか信越線だかあのあたりの普通列車に乗って北へ向かっていたときのことです。
乗客をほとんど降ろしてがらんとした列車が駅を出ると、窓の外は一面の畑らしく、それがとっぷりと暮れ果てて真っ暗な中、はるか遠くにぽつりぽつりと窓に灯りのついた家々が一列に固まって、それがゆっくりと後ろへ流れていきます。あのひとつひとつの窓の向こうにはひとつひとつそれぞれ違った暮らしがあって、人々が笑ったり話したり怒ったり泣いたりしているのだろうなと考えると、たいへん寂しく何だか泣きたくなるようで、旅とはこういうことなんだと思ったものでした。
ああいう旅、寂しい旅、人の暮らしがゆかしく懐かしくなる旅をまたしたい。
※絵はイメージです(笑)。
元テツで地図好き写真好きの私は本来旅が大好きですが、最近何かと忙しいのとお金がないのとで旅に出てません。仕方なく合唱組曲「旅」(詞:田中清光/山之井慎 曲:佐藤眞)を聞きながら「行(ゆ)け 旅に いまこそ!」という歌詞に「そうだ、そうだ」と一人頷いたりしています。ホントいい曲なんだ、これ。
(ちなみにこの文章のタイトルもこの組曲の終曲「行こうふたたび」の歌詞から採ってます。)
1962年に作曲されたこの曲で歌われるのはちょっと昔っぽい一人旅。普通列車や路線バスくらいは使うのでしょうが、基本的には歩くのを苦にせず、峠を越え渚を歩み村を抜け、ときどきは村のじさま(爺さま)と話もするが、好んで心を開く相手はお地蔵さんだったり青空だったり海だったりそば畑だったりという、まことにつつましい旅なのです。1970年に始まった国鉄(当時)の「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンから個人旅行が大衆化しますが、これはそれ以前の旅の姿だったのでしょう。
思えば、かくいう私自身が旅をし始めたのもまさにその「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンとSLブームがきっかけだったので、リョコウのタイシューカ云々について大きな口を叩くつもりも資格もないんですが、私の旅スタイルはその頃から今まで普通列車や路線バスと歩きがメインの一人旅なので、既に当時からちっとばかし世間の流行に乗り遅れていたのかなぁ。
今でも思い出してぞくぞくする旅の景色があって、それがいつだったか、どこへ何をしに行ったのか思い出せないのですが、もうその日のうちに東京方面行きの列車に乗らないと周遊券の有効期間が切れてしまうという旅の最終日に、どうせなら一番遠くで上りの最終列車に乗ってやれと、大糸線だか信越線だかあのあたりの普通列車に乗って北へ向かっていたときのことです。
乗客をほとんど降ろしてがらんとした列車が駅を出ると、窓の外は一面の畑らしく、それがとっぷりと暮れ果てて真っ暗な中、はるか遠くにぽつりぽつりと窓に灯りのついた家々が一列に固まって、それがゆっくりと後ろへ流れていきます。あのひとつひとつの窓の向こうにはひとつひとつそれぞれ違った暮らしがあって、人々が笑ったり話したり怒ったり泣いたりしているのだろうなと考えると、たいへん寂しく何だか泣きたくなるようで、旅とはこういうことなんだと思ったものでした。
ああいう旅、寂しい旅、人の暮らしがゆかしく懐かしくなる旅をまたしたい。
※絵はイメージです(笑)。