「仮面舞踏会」の「ギャロップ」と組曲の全体構成
 どうやら「仮面舞踏会」組曲の終曲「ギャロップ」の正体が見えた、と思います。私の結論は、この曲は「舞踏会でのぶざまな息切れ」の音楽、テンポの速い踊りについて行けず、足がもつれ、息は上がり、次第に音楽から取り残されていきながら、それでも「あぁらアタクシってば、まだまだ踊れるザァマスことよ」と見栄を張り続けるロシア貴族・上流社会を皮肉った曲です。
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| 定演指揮者奮戦記! | 00:14 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
最近の演奏会:うたの花束〜なんでもオペラ〜
プログラム表紙 「木のバラード」の翌日、23日(土)の14時から、「つくば子ども劇場第109回例会 うたの花束〜なんでもオペラ〜」の本番がありました。「歌う呪文…」のコンサートです。このコンサートは「つくば子ども劇場」の会員向けコンサートですが、当日入会してお聞きいただいたお客さまもいらっしゃったそうで、ありがたいことです。
 出演は歌(ソプラノ)と司会が前日の「木のバラード」でも共演した亀田さん。ピアノは前日の「木のバラード」を見に来てくれた門脇さん。二人とも何回か一緒に演奏したことがあるものの、今回は数年ぶりの共演。とはいえ気心の知れた間柄なので、この日のコンサートは私自身もとても楽しみでした。


 プログラムは次のとおり盛りだくさん!

1. 日本歌曲 〜岩河智子編曲〜
 *あわて床屋(北原白秋/山田耕筰)
 *黄金虫(野口雨情/中山晋平)

2. ピアノ 〜ご存知の曲を集めて〜
 *エリーゼのために(ベートーヴェン)
 *アラベスク(ブルグミューラー)
 *ジムノペディ第1番−グノシェンヌ第1番−ジュ・トゥ・ヴ(サティー)
 *「ルーマニア民俗舞曲」より「棒踊り」「帯踊り」(バルトーク)
 *「動物の謝肉祭」より 「ぞう」(サン=サーンス)
 *乙女の祈り(バダジェフスカ)

3. 体験!
 *おおブレネリ
 *Believe(杉本竜一)

4. なんでもオペラ
 *歌劇「カルメン」序曲より(ビゼー)
 *歌劇「椿姫」より 「乾杯の歌」(ヴェルディ)
 *「忍たま乱太郎」より 「勇気100%」(松井五郎/馬飼野康二)
 *「ドラえもん」より 「ドラえもんのうた」(楠部工/ばばすすむ/菊池俊輔)
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| 自分が出演した演奏会 | 23:39 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
最近の演奏会:木のバラード at Capio
木のバラードチラシ 2月22日(金)の夜、「木のバラード at Capio いのちを見つめて」という公演に参加しました。当日のプログラムからこの公演の内容を紹介しますと、

 〜異分野で活躍する様々なアーティスト達が「いのちを見つめる」というテーマの下に集まり、即興で表現のコラボレーションをする実験的アート企画。文化、国、宗教の違うアーティスト達が一般の子供達、そして観客の皆さんといのちを感じ、考え、表現することを試みます。〜

ということですが、ごくかいつまんで言いますと、一枚の木の葉が芽生えてから命を終えて枯れ落ちるまでをナレーション、ダンス、写真、バンド、歌、木彫作品の組み合わせで表現しつつ、その葉っぱと他の葉っぱたちやアリ、チョウなど他の生き物たちとのやり取りを通して「いのちを見つめる」というもの。全体が四つのパート(誕生、成長、成人、旅立ち)に分かれ、途中に休憩兼木彫楽器体験をはさんで約1時間半の公演です。
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| 自分が出演した演奏会 | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ちょちょらな仕事
 最近「ちょちょら」という言葉の存在を知りました。ネットで見ると「ちょちょら」という言葉は新潟から群馬にかけて分布しているようですが、
新潟では「ちょちょらな(何々)/ちょちょらに(〜する)」と使って「適当な(に)、いいかげんな(に)」
群馬では「(誰々は)ちょちょらだ/ちょちょらな(人)」と使って「おっちょこちょいだ(な)」
というふうに、その意味・用法が微妙に違います。
 それでも「あまりよく考えないで何かをして、しかもその結果が好ましくない」という点は共通しています。

 この「ちょちょら」という言葉、語感がいかにも「ちょちょっと小手先でいい加減に片付ける」という感じで頭に残りやすく、私も先日オケの練習で「そこはちょちょらに弾かないで!」などと口走ってしまいました。言いたいことは何となく伝わる感じがするんですね〜。

高岡奈央「ちょちょら」 ところで、高岡奈央(たかおか・なお)さんという新潟出身の歌手が、その名もずばり「ちょちょら」という曲を出していたことを最近知って、さっそく聞いてみました。「ちょちょら」はこの曲では「つまらんバイトだ ちょちょらな仕事だ」というふうに「とるに足りない、つまらない、ナンセンスな」というくらいの意味合いで使われていますが、これを聞いてから「ちょちょらな仕事」という言い方が妙に引っかかっています。ただしこの歌で言われてるつまらない、取るに足りない仕事という意味ではなく、うわべだけ繕って実はいい加減に済ませた仕事、その場しのぎのやっつけ仕事、そういう意味での「ちょちょらな仕事」。そういうつもりじゃなくても、振り返ってみると自分もやってるよなぁ、ちょちょらな仕事…。

 「いい加減な仕事」と言うとけっこう非難がましいフンイキですが、「ちょちょらな仕事」というとちょっと愛嬌があって、反省もすなおにできそうです。気をつけようちょちょらな仕事。
| ことばのこと | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
2月16日の練習日誌
 アップが遅れ気味ですが、2月16日の練習日誌です。この日の練習曲目は前半が「マイスタージンガー」、後半が「仮面舞踏会」でした。

 「マイスタージンガー」は一回通した後、後から返していき、結果的に練習番号Eから後をやりました。もともとはこの曲にあまり力を入れるつもりではなかったのですが、スコアを見れば見るほど各パートがしっかりと書き込まれているし、楽劇の前奏曲らしい芝居っ気も欲しい…とだんだん欲が出てきてしまいます。特に100小節からは三連符の連続を切らないこと、練習番号Gからは木管に出る杓子定規な動機と弦に出る情熱的な動機の表情の違いを表現すること、139、141、143の各小節の Vn に出る sf 付きの tr の強調、149小節からの木管の十六分音符を興奮した表情で演奏してほしいこと、練習番号Jは指定どおり p から始めること、練習番号Mからの sehr gewichtig = molto pesante の指示を生かす結果としてテンポが落ちること、201小節から204小節にかけてテンポを取り戻すことなどを伝えました。

 「仮面舞踏会」は私が振るのは始めてでしたが、「マイスタージンガー」より対位法的でない分演奏しやすいようで、音も出ていたしあまり違和感なく演奏できました。「ここはつかまえよう!」ともくろんでいた第2曲「ノクターン」の頻繁な転調もフォローできていたし、次回からは曲の内容に沿った表現に踏み込んでいけそうで、今回の曲目の中では一番早く形になると思います。
 今回の練習で行った具体的な指示は、第1曲「ワルツ」の練習番号F(=4)からの Tp と Hn の掛け合いによる鐘のような効果の表現、第3曲「マズルカ」の中間部、練習番号E(=5)からの 2Vn, Va の後打ちを少し柔らかくすること、第4曲「ロマンス」の練習番号D(=4)からF(=6)までの間で主旋律を持っているパートの確認、練習番号H(=8)からの poco acceler. の確認などでした。

 来週は「田園」。特に前半(第一、第二楽章)を重点的にやりたいので、トランペットさんには来週の出番は8時過ぎになることを伝えました。

| 定演指揮者奮戦記! | 22:31 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
レンタル譜の書き込みがおもしろい
 オーケストラの演奏には各パート用のパート譜が必要で、たいていは出版されているパート譜を買うのですが、曲によってはパート譜が販売されていなくて、出版社からのレンタル(貸し譜)になっていることがあります。
 オケの各奏者は自分のパート譜にいろいろな書き込みをするもので、弦楽器奏者なら必ずポウイングを書き込みますし、指揮者の注意を書き込んだり、しぱらく休みが続いた後どこで出ればよいかいちいち数えなくもわかるように目印になるパートを書き込んだりします。パート譜が買取のものなら、そうした書き込みが自分のオケの外に出ることはまずありませんが、レンタル譜の場合はある団体から返却された後にまた別の団体へ貸し出されるので、書き込みを消さないまま返却すると、その書き込みがすっかり次の団体の目に触れることになるのです。
 実は5月に土浦交響楽団で演奏するシベリウスの交響曲第1番のパート譜はBreitkopf & Härtelのレンタル譜なのです。そして今回借りたセットに残っていた前の団体の書き込みの中に、ぜひ記録しておきたい秀逸な書き込みがありました。

 ひとつは2nd Vn.のパート譜の最後の最後、第四楽章の一番最後に書かれた一言。いわく、
   人生終わり
 おそらく指揮者が練習のときに「人生終わり…、って感じでお願いしまーすッ」って言ったんでしょうね。でもたった一人だけその言葉を書き留めたあなた、そんなあなたの心の中のシベリウスを聞いてみたい気がします(実はノリで書いたのかも)。

 もうひとつは、ハープの第二楽章の15小節から16小節にかけての書き込み。いわく、
   もーいーくつ ねるー?
 しばらく意味がわからなかったのですが、第二楽章の15・16小節の旋律を聞くとわかります。第二楽章の冒頭、ハープはまったく同じ単純な音型を25小節にわたって繰り返すので、どこをやっているかわからなくならないように書き込んだものに違いありません。しかし普通は五線は引かないまでも音符で書くことが多いので、「歌詞」で書いたのは極めて珍しい。しかもその「音楽が聞こえてくる」書き方は、南伸坊の『ハリガミ考現学』で紹介された「ミネラールむぎ茶」に匹敵するすばらしさ。最後の「?」がキマってます。
| オーケストラ活動と音楽のこと | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
観音様と「しもつかれ」
 昨年の初秋の頃にアップした「天然記念物 下横場の大グミ」で紹介した馬頭観世音とおぼしき観音様の前を今日ひさしぶりに通りかかったら、碑の前に20cmほどの真新しい御幣が立っていました。近寄ってみると、その付近には節分の豆らしき大豆や、人参と大根を粗くおろしたものが点々とこぼれて、おりからの寒風にカラカラに干からびています。どうやらご近所の方が初午(はつうま)の日(今年は2月12日)に「しもつかれ」をお供えしたものと見えます。

 「しもつかれ」はこの辺ではしみつかれ、すみつかりなどとも呼ばれ、栃木・茨城など北関東一円で作られる初午の日の行事食です。名前の語感から下野(しもつけ)=栃木が本場だという人もいますが、語源には諸説ありはっきりしません。私は北関東のネイティブではないので食べたことがありませんが、「鬼おろし」とか「がりがりおろし」などと呼ぶ竹製の大きなおろし器で粗くおろした大根と人参、塩鮭の頭、節分のいり豆の残りなどを酒粕と煮たもので、初午の日に作って神様に供え人も食べます。学生の頃にこの辺のお年寄りに年中行事の聞き書きをしていて、初午としもつかれの話になり、「おいしいんですか?」と聞いてみたら「ん〜、まあ、何とも言わんねぇなぁ」とか「いやーうめえもんじゃねぇよ」という答えが多かったようでしたが、謙遜なのか本音なのか、さて、どんなものなんでしょうか。

 「観音様にしもつかれ上げっぺ」と御幣を立ててお供えしてくださる方がいらっしゃることを知って、何だかほっとしました。
| 地域とくらし、旅 | 21:31 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
歌う呪文…
うたの花束チラシ 今月の23日に子ども向けのコンサートで歌を歌うことになりました。曲はヴェルディの歌劇「椿姫」の「乾杯の歌」。原曲はソプラノとテノールのソロに合唱と管弦楽ですが、今回はピアノ伴奏で私とソプラノのデュエットになります。
 この曲は声域的にも全然問題なく大変歌いやすいのですが、一つ重大な問題が…それは「歌詞」。相方の亀田さんはオペラ歌手で暗譜で歌うので、バランス上私も暗譜で歌うのですが、「乾杯の歌」の歌詞はイタリア語。とりあえず発音だけはそれらしくできたとしても、いかんせん歌詞の意味がわからない。動詞の活用などの文法もわからないので辞書も引けない。すなわち私にとっては一種の呪文で、これが全然アタマに入りません。イタリア語の呪文に悩まされるなんて、高校のときに受けた音楽の授業の試験で「カロ・ミオ・ベン」とか「恋とはどんなものかしら(「フィガロの結婚」の中のケルビーノのアリア)」を歌って以来約30年ぶり、いやはや…

<チラシではコントラバスだけやるみたいですが、実は歌って笛も吹くのだ。>
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| オーケストラ活動と音楽のこと | 23:36 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
2月9日の練習日誌
 先週の土曜日(2月9日)、ひさしぶりに東京サロンオーケストラの練習に参加しました。この日の練習は「田園」。参加者があまり多くなかったのは残念でしたが、前半は第一楽章、後半は第五楽章をやりました。

 第一楽章の練習内容は
- 61・63小節の1Vn. の四分音符を八分音符に変更
- 第二主題は(分散和音でなく)67〜74小節にVc. に出る旋律であることの確認
- 練習番号Bからは f なのに対して100〜103小節は ff
- 練習番号DからのVn. のボウイング
- 練習番号Dからの長い cresc. の目安(8小節ないし4小節ごとに一段階ずつ上げる)
- 422〜425小節の表情(決然と)
- 428小節からの三連符のかみ合わせ 等

 第五楽章の練習内容は
- 71小節で cresc. した1Vn. は72小節で一度 p に落として再度 cresc. (テーマが2Vn. に移るので)
- 78〜79小節のダッシュのついた音符の長さ・表情の確認
- 237〜244小節の弦は cresc. のある241小節以外はノン・ヴィブラート⇒「野の祈り」 等

 この他にもいくつかありましたが、指揮者・オケともにまだまだですなぁ…特に第五楽章は私の方が少々準備不足で、練習が終わってからスコアを読み間違えていたところを発見したりしたので、次回改めてしっかりやります。
また「田園」は楽器の使い方にムラがあり、Tp, Tbn, Timp. は使われる楽章が限られているので、今後これらのパートについては事前に出番のある/なしをご連絡しておかないといけませんね。
| 定演指揮者奮戦記! | 21:45 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
足立区梅田の無理心中事件に思う
 11日の夕方に発生したと報道された東京都足立区梅田の一家4人死傷の無理心中事件、いつも新しいものを追いかけて止まないマスコミ的にはこの事件はおおむね片付いてしまったかのようで、今日(12日)午後7時のNHKニュースではこの事件に関する報道はありませんでしたが、私にはこの事件はこたえました。というのもこの事件があった足立区梅田というところは私の母の実家のすぐ隣町にして私が卒業した中学校のすぐ隣町でもあり、つまり私にとっては多少土地勘のある場所なのです。
 足立は母の実家でしたが、私の家族は父の仕事の関係で2〜3年おきに引越しを余儀なくされていて、ここに住んだことはありません。私がこの近くの中学校を卒業したのは、家族から離れて親戚に預けられたからでした。小学校2つ、中学校は3つ経験し、どこへ行っても「転校生」でよそ者だった私の、ちょっと冷めた目から見ると、この辺は中学校同士の喧嘩なんかもあってやや荒んだ感じもありましたが、昔から住んでいるご近所同士のお付き合いはべたべたせずにつかず離れず適度にあったので、報道されたような追い込まれた果てのカタストロフィックな事件が起きるとはちょっと信じられませんでした。
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| その他のできごとあれこれ | 23:33 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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