朝に歩いて見えたもの
 実はここ3ヶ月ほど万歩計を着けて1日1万歩歩くようにしています。平日は車通勤で事務仕事なので、そのままではとても1万歩は歩きません。そこで帰宅してから1時間ほど歩くことになるわけですが、夏の間とは違って最近は帰宅するとすっかり暗くなっているので、歩きながらまわりの様子を観察することができなくなってしまいました。
 そこで今朝はひさしぶりの予定のない休みなのをよいことに、いつものコースからぐるりと大回りして1時間半ほどあたりを見ながら歩いてみて、虫やら花やらけっこういろいろなものに出会うことができました。ちなみに歩数は1万歩ちょっと。今日のノルマも早々と達成です。

オオクモヘリカメムシ オオクモヘリカメムシ。ススキの葉の上にいたのですが、見つけて立ち止まると気配を察して葉の裏側に回りこんで隠れました。仕方がないので葉を裏返して撮影。細いススキの葉からはみ出さないよう、触角をそろえて前に伸ばしているところがいじらしくもおもしろい。


キッチュなキノコ 私はキノコは全然わかりませんが、何気なく見た道端の切り株に何ともキッチュなキノコが出てました。形といい色といい、自然は人の計らいをほんとに軽々と超えますね。


キノコらしいキノコ とにかくキノコは全然わからないので名前は不明ですが、これは地味でキノコらしいキノコ。今朝わかったのですが、つくばを代表する研究所のひとつ独立行政法人産業技術総合研究所の、東大通り(ひがしおおどおり)側の歩道のへりの草むらは意外とキノコの宝庫ではないかと思います。キノコ素人の私が歩きながら見ただけでも、これを含む5種類の異なったキノコを見つけられましたから。


マルバアサガオ いつも暗いときに通るコースの途中に、お彼岸だというのにまだ朝顔が咲いていました。葉の形が普通に見る三裂ではなく丸いので、近縁種のマルバアサガオでしょう。涼しい色は今年の見納めになりそうです。葉の陰に二輪並んで咲いているところが相合傘のようです。

梅園公園のヒガンバナ
 ヒガンバナ。やはりお彼岸の花の本命はこれ。拙宅近くの梅園公園に咲いていました。もちろん色鮮やかな花弁もよいですが、赤く染まってぴいんと反った雄しべの花糸が、華やかで男勝りな娘だけど弱みを衝かれるとキッと睨んで涙がじわぁ、意外ともろく泣いちゃいそうな、強さと華奢を併せ持つ「おきゃん」という言葉を連想させて何とも魅力的。帰化植物なのに健気な下町の町娘のような雰囲気を漂わせている(と思っているのは私だけ?)ところが不思議です。
| 身近な自然 | 22:07 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
KEKあれこれ
 このすぐ前に投稿した「天然記念物 下横場の大グミ」についてネットで検索していたら、「KEK内外の旧跡」というページを見つけました。KEKとは「大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構」の略称です。ここはホームページをご覧いただくとおわかりのように、加速器と呼ばれる装置を使って高速に加速し高いエネルギーを持たせた電子や陽子などの粒子を使って研究を行う機関で、地域の史跡を研究するところではないので、このページは恐らく職員の方が個人的に作っていらっしゃるのだと思いますが、多くの資料に当たり写真や図面、地図等もふんだんに載せて、大変見応えのある仕上がりになっています。
 実は私は大学生の頃、この機関の前身である「高エネルギー物理学研究所」(高エネ研)でアルバイトをしていたことがあり、また卒業してからもここのすぐ近くの半導体会社に勤めていたことがあるので、KEKには何かとご縁があるようです。

泡箱写真 ところで、一介の学部の学生、しかも日本民俗学専攻の私にアルバイトとはいえ高エネ研の仕事が務まったのかというと、いやこれがけっこう務まるものなんですね。というのもその仕事の内容が、泡箱実験の写真を見て他の粒子と衝突して分裂した粒子の飛跡の座標をデジタイザで記録するという、要はトラックボールでアイコンを動かして線をなぞってポイントを何箇所かクリックできれば誰にでもできる単純作業だったからです。泡箱というのは荷電粒子の飛跡を見るための装置ですが、興味のある方はネットで「泡箱(あわばこ)」で検索するといっぱいヒットしますから、私に聞かないで〜(汗)。
 その泡箱実験ではここに出したような写真が撮れます。並行する白い線は荷電粒子の飛跡で、この写真では左から右に向かって飛んでいますが、ときどき何かにぶつかって分裂し進路が変わったやつが写っていますから、この座標を記録するわけですね。周囲のくるくるしてるのに惑わされず、荷電粒子が他の粒子に衝突して分裂した分岐点と分岐していった飛跡を冷静に見極めてクリッククリック!
<写真は東北大学のプレゼンテーション資料www.awa.tohoku.ac.jp/~yamag/100-years/100-%96A%94%A0HOLO.pptからお借りしました。>
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| その他のできごとあれこれ | 15:33 | comments(0) | trackbacks(1) | pookmark |
天然記念物 下横場の大グミ
下横場の大グミ
 最近お昼休みの散歩コースを変えてみました。以前は会社の北側の畑の中の道を中心に歩いていましたが、今は会社の東側の住宅地のへりを歩いています。景色が変わって新鮮な気分で歩けます。
 その新しいコースの途中で、思いがけず天然記念物を発見しました。「下横場の大グミ」という樹齢約500年のグミの古木です。私などは天然記念物というとオオサンショウウオとかトキといった超レアな動物を思い浮かべますが、実は天然記念物は動物に限らず植物や鉱物でもかまわないのだそうで、しかもオオサンショウウオやトキなどの超レアものは天然記念物の中でも特に貴重なものとして指定された特別天然記念物で、特別のつかない天然記念物はもっと裾野が広いものらしい。とは言うものの樹齢500年ということは室町時代から生えているわけで、それは確かにすごいものですね。
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| 地域とくらし、旅 | 22:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
土浦市立博物館に行きました
土浦市立博物館正面 台風一過でさわやかに晴れ上がった白露の一日、といいたいところですが実は蒸し暑い猛暑日となった9月8日の土曜日、土浦市立博物館に行ってきました。
 土浦市立博物館は土浦の観光スポットである亀城公園(きじょうこうえん:土浦城址)に隣接し、土浦市街を通過する旧・国道6号線(現在は国道354号線)にも面していて以前から気にはなっていたのですが、これまで入館したことがなかったのです。しかし7月3日に改装・リニューアルオープンしたことと、定期購読している日本地図センターの月刊誌「地図中心」の最新号の特集「地域博物館と地図の活用」にこの博物館の展示改装が事例として詳しく取り上げられていたので、思い立って行ってみました。写真は正面玄関。外観は改装前と特に変わってはいないようです。

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| 地域とくらし、旅 | 00:52 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
「NHKみんなのうた」のDVD
みんなのうたBOX 先日ふとしたことから「NHKみんなのうた」DVD(12巻セット)の存在を知り、衝動的に買ってしまいました(→詳細はこちら)。放送開始の1961年(あ、私と同い年だったんだ!)から2002年までの40年間に放送された歌の中から168曲がオリジナルの音と映像で年代別に収録されています。
 第1集(1961〜1963)、第2集(1963〜1966)くらいまでは「おお牧場はみどり」とか「五匹のこぶたとチャールストン」「たのしいね」のように、歌そのものは知っているけれども映像やアレンジに覚えのないものばかりなので、自分が幼すぎたか番組を見ていなかったかのどちらかと思いますが、第3集(1962〜1969)からは懐かしい歌と映像のオンパレードで、もう時を忘れて見入ってしまいます。

みんなのうた全12巻 値段が張るのは難ですが(いやほんと、もっと安くならないかな〜)、改めて聴いてみると聞き覚えていたのと細部が違っていたり、あまり印象がなかった歌も今聞いてみるといい歌だなぁと思ったり、意外な人が歌っていたり、実写の映像の風景や人々の表情、しぐさが新鮮だったり、楽しみは尽きません。


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| 聞いて何か感じた曲、CD等 | 01:19 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
あれ?
<問題のCDケース=ブックレット表紙>
Pianos Concertos

 ずいぶん昔のことになりますが、ヴィルヘルム・ケンプとヴィルヘルム・バックハウスというドイツの二人のピアニストが人気を分け合った時期がありました。私はバックハウスが好きでしたが、ケンプが1953年にパウル・ファン・ケンペン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と組んだこのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の録音は、LP時代から好んで聴いていました。一世を風靡したケンプのピアノももちろん悪かろうはずはありませんが、私にとってのこの録音の魅力は、筋肉増強剤飲みながらエステ行ってましたぁ!みたいなカラヤン時代のそれとは明らかに違う、この時期のベルリン・フィルの独特なサウンド、特にごうごう鳴るコントラバスとオーレル・ニコレのフルートが堪能できる点にあります。録音が古いため肝心のオケの音が多少ほこりっぽいのが残念ですが、オランダの指揮者ケンペンは直球で真っ向勝負の剛毅な指揮ぶり、ケンプも多少のミスタッチは気にせずに集中して弾ききっていて好演です。ケンプは後にフェルディナント・ライトナー指揮のベルリン・フィルとベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲をステレオで録音し直していますが、私はそちらは未聴。この古い方で満足です。
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| ことばのこと | 19:38 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ベートーヴェンの「田園」第二楽章
 ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」の第二楽章というと、「いや〜途中で眠くなっちゃって…」という方がけっこう多いのです。聞き手だけでなく、第三楽章あるいは第四楽章にようやく出番が回ってくるトランペット、トロンボーン、ティンパニの各奏者の中には、出番のない第一、第二楽章の間はステージ上で目を開けたまま眠るという高度なテクニックを駆使する猛者(もさ)もいるとかいないとか…。確かにこの第二楽章は編成も小さく大きなクライマックスも持たないし、「小川のほとりの情景」という表題のとおりほぼ一定のテンポで小川の流れが間断なく続くので、ついうとうと…となるのも、まあ無理はありません。
 しかしこの第二楽章はオーケストラの各パート間の絡み合いや受け渡しが細やかに書かれていて、本当は寝てしまうにはもったいない音楽なのです。最近この第二楽章でちょっとおもしろい仕掛けがある箇所に気づいたのでご紹介してみます。それは第二楽章がはじまってすぐ、最初のテーマ(第一主題)の提示が一段落し、続いてこれを展開しながら第二主題(33小節〜)の準備を始める、その間にはさまれた小さなエピソードです。

田園第二楽章スコア
 スコアを見ながら、物語風にこの仕掛けを説明してみましょう。
 まず緑の枠で囲んだ音型(1)、これは鳴き声に特徴がある虫、「デンエン虫」の鳴き声だと思ってください。
 するとそれを耳ざとく聞きつけた子供が家族に「デンエン虫だ」と言います(赤枠の音型(2))。
 またデンエン虫が鳴きます(緑枠の音型(3))。
 子供は今度はみんなの注意を惹こうとして「ほら、デンエン虫でしょ?」と言います(赤枠の音型(4))。
 ところが子供の兄弟が「デンエン虫だったかぁ?」と、ちょっと疑いを挟みます(青枠の音型(5))。
 そこへもう一人の兄弟が「デンエン虫だよね」と助け舟を出します(黄色枠の音型(6))。
 そこでお父さんが「デンエン虫だったね」と言って一件落着となります(紫枠の音型(7))。一家のこうした様子を見ていたベートーヴェンは、ここで我に返ってまた小川に沿って散歩を続けていくのです。

 個々の音型をもう少し詳しく見てみます。音型(1)と(3)はここで初めて出てくる、特徴のある音型です。
 先ほどの説明で子供の役を割り当てた音型(2)は単なるIの和音のアルペジオ(分散和音)のようにも見えますが、V(ドミナント)−I(トニカ)という動きが含まれています。これを私は「Es ist 〜」(あれは〜だ)と聞きました。
 (3)を受けての(4)も和声的には(2)と全く同じですが、聞く人の注意を惹くように最初の音に装飾が付き、最後が上行して念押しするように終わります。つまり「ほら、〜でしょ?」という表情が加わるわけです。
 (5)、(6)、(7)は同じ音型((1)、(3)とも同じ)のためひとつながりに聞こえますが、和声的には(5)がI(トニカ)−V(ドミナント)で「〜?」という疑問文的な動き、(6)はV(ドミナント)−I(トニカ)ですが主音ではなく第三音で終わっているので、はっきりとした断定というよりも同意を求めるような感じがします。
 最後の(7)はV(ドミナント)−I(トニカ)の根音で、いささかの迷いもなく解決します。さすがはお父さん、みんなも納得というところです。

 もちろんここはもともと虫の音を聞くお父さんと子供を描写した音楽ではありませんし、音楽通の方々からは「交響曲におかしなストーリーを当てはめるなんて…」と馬鹿にされそうですが、漫然と聞きまた演奏してしまえば何事もなく通り過ぎてしまうところでも、ちょっと注意すればこんなに親密で生き生きとした、室内楽的なやり取りを聞き取ることができるのがこの第二楽章なので、繰り返しになりますが寝てしまうのは本当にもったいないのです。いつもここで寝てしまう方、そして寝そうになってしまう方、次回この曲を聞くときはぜひ楽器同士の対話、音でのやり取りに注意して聴いてみてはいかがでしょうか。ちなみに私がこれまで聞いた中では、アーノンクール指揮のヨーロッパ室内管弦楽団(テルデック)が、この部分を始め対話的な動きを印象的に演奏しています。

| オーケストラ活動と音楽のこと | 21:56 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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