ゴールデンウィークが明けて、新緑の美しい時期になりました。会社の昼休みに散歩を兼ねて近くのパン屋さんまでお昼を買いに行くと、道端にいろいろな花が咲いています。4月中はさまざまなスミレ(白、薄紫、濃い紫、葉っぱの丸いの、長いの…)や地面に落ちた星のようなハナニラが盛りでしたが、4月下旬あたりから顔ぶれが変わってきて、季節の移り変わりを感じます。
そんな会社のまわりの旬な花たちをいくつか紹介します。
1.マツバウンラン(松葉海蘭:ゴマノハグサ科)
北アメリカ原産の帰化植物。30cm以上もある細くてまっすぐな茎を伸ばし、写真では白っぽく写ってしまいますが、実際にはやさしい青紫色の小さな唇形花を咲かせています。数十本まとまっているところに風が吹くと青紫のシグナル灯のような花がゆらゆら揺れて幻想的でもあります。背が高いわりに葉はごく小さくまばらで、ほとんど茎と花だけの、ちょっと浮世離れした姿ですが、そのせいで1cm程度の小さな花でも引き立ってゴージャスな感じがします。
マツバウンランの花は唇形花という独特な形をしています。花の後側には距(きょ)と呼ばれる、袋状に長く突き出した部分があります。
ゆらゆら動きやすいこの小さな花に、コンパクトタイプのデジカメのオートフォーカスでピントを合わせるのは至難の業(というかほとんど無理)で、まず間違いなく背景にピントがいってしまうのですが、花の直後にハンカチをかざしてそこにピントを合わせ、撮影直前にハンカチを除いてやって、ようやく撮ることができました。
2.ナガミヒナゲシ(長実雛罌粟:ケシ科)
地中海地方原産の帰化植物。つくばの中心部では、なぜか大通り沿いの植え込みや中央分離帯に群れて咲くのですが、こうした分布は種のばら撒き方によるのだと思われます。風に乗せて飛ばすわけでもなく、鳥や獣に運んでもらうわけでもなく、文字通り芥子粒状の小さい種が転がったり雨に流されたりしながら、道沿いに広がっていくのでしょうね。
乾いた感じのオレンジ色がいかにも地中海です。うつむいたつぼみや紙より薄い花びらなど見た目は可憐ですが、排気ガスにもめげず咲いているところを見るとけっこう性の強いやつかも知れません。でも数年前に自宅の玄関の脇に移植してみたらいつの間にかなくなってしまいました。日当たりがもうひとつだったのかな?きっとこいつはオーソレミオな花なのでしょう。なんたって地中海生まれですから。
3.ブタナ(豚菜:キク科)
これも帰化植物で、ヨーロッパ原産。なんでもフランス語では「豚のサラダ」と呼ばれているらしいのですが、そのおかげでついた和名が「豚菜」。ぶたぁ?…ドイツ語とかイタリア語とかスペイン語とかで、日本語にしてもう少しなんとかなりそうな名前で呼ばれてはいなかったのでしょうか。
でもブタナちゃんはなんと呼ばれようとまるで気にするようすもなく元気そのもの。花はタンポポに似ますがタンポポよりもっとこってりとした濃い黄色で周りも明るくなるようです。しかもタンポポと違って花茎が途中で分かれて高く伸びるので、その明るい花がいやが上にも目立ちます。「えぇえぇあたしゃブタナでけっこうよ〜」とか言いながら、虫がたかろうがなんだろうがケセラセラ、明るく強くたくましく笑って生きるブタナちゃんです。
<ブタナちゃん大好き〜>
4. 種を飛ばす気満々のタンポポたち(西洋蒲公英:キク科)
ブタナよりも花期が早いタンポポはもうほとんど花が終わっています。種をできるだけ遠くまで飛ばせるように、タンポポの茎は花が終わってからどんどん伸びます。
今日は朝からよい天気になったので、タンポポたちはもう飛ばす気満々。なんだか運動会で出番を待ってる子供たちみたいではありませんか?