<< DECCA SOUND MONO YEARS 1944-1956 を聞く 49. ウィーン八重奏団のモーツァルト | main | 最近読んだ本:『現代政治学の名著』(佐々木 毅編 1989 中公新書918) >>
DECCA SOUND MONO YEARS 1944-1956 を聞く 50. ウィーン八重奏団のメンデルスゾーンとブラームス
 DECCA SOUND MONO YEARS 1944-1956 からのご紹介第50弾。Disc 53 はウィーン八重奏団によるメンデルスゾーンの八重奏曲とブラームスのクラリネット五重奏曲。
・メンデルスゾーン:八重奏曲変ホ長調 Op.20 (r. 1953)
・ブラームス:クラリネット五重奏曲ロ短調 Op.115 (r. 1953)
ウィーン八重奏団のメンバー

<上はメインLPのメンデルスゾーン、右はサブLPのブラームスのジャケット写真。>
 
 このセットの Disc 52 でもご紹介したとおり、ウィーン八重奏団 Wiener Oktett はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を中心とするアンサンブルで、演奏する曲の編成により、また活動時期(年代)によりメンバーに入れ替わりがあります。この盤で演奏しているメンバーは次のとおり。

メンデルスゾーン
ヴァイオリン
 ウィリー・ボスコフスキー Willi Boskovsky フィリップ・マタイス Philipp Matheis
 グスタフ・スウォボダ Gustav Svoboda フリッツ・ライターマイアー Fritz Leitermeier
ヴィオラ
 ギュンター・ブライテンバッハ Günther Breitenbach フェルディナント・シュトラングラー Ferdinand Strangler
チェロ
 ニコラウス・ヒューブナー Nikolaus Hübner リヒャルト・ハラント Richard Harand

ブラームス
ヴァイオリン:ウィリー・ボスコフスキー、フィリップ・マタイス
ヴィオラ:ギュンター・ブライテンバッハ
チェロ:ニコラウス・ヒューブナー
クラリネット:アルフレート・ボスコフスキー Alfred Boskovsky

 ブラームスでクラリネットを吹いているアルフレート・ボスコフスキーはヴァイオリンのウィリー・ボスコフスキーの弟です。ウィーン・フィルの首席を務めた名クラリネット奏者レオポルト・ウラッハ Lopold Wlach にクラリネットを学びウィーン・フィルに入団、後に師のウラッハの後を受けてウィーン・フィルの首席奏者となりました。兄弟でウィーン・フィルの首席を張るなんて、すごい!

 メンデルスゾーンの八重奏曲(通称めんぱっちん)は20という若い作品番号が付いていることから推測されるとおり、作曲者が16歳の1825年に書かれました。16歳でこんな曲が書けるとは驚きですが、メンデルスゾーンは翌年の1826年にあの「真夏の夜の夢」の序曲を書いており、しかもその序曲はそれから17年後に「真夏の夜の夢」のために書いた他の劇音楽(たとえば「結婚行進曲」など)と一緒になっても全く違和感がない!天才には書けるのです。
 この曲は演奏メンバーからわかるとおり、弦楽四重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラとチェロ各1)のちょうど倍の編成で演奏されます。古典派の交響曲と同じ急−緩−スケルツォ−急の四楽章構成をとり演奏に30分を要する堂々たる作品で、明るく爽やかな初期ロマン派の雰囲気と若き天才の瑞々しい感性に彩られた名曲です。
 ウィーン八重奏団の演奏は母体(ウィーン・フィル)を同じくするメンバーによる演奏ということもあるのでしょう、きっちり作り上げた精密感よりも余裕と慈しみを感じさせる秀演。モーツァルトもそうですが、こういう gemütlich (くつろいで居心地のよい)な音楽はこの団体の十八番ですね。

 一方ブラームスのクラリネット五重奏曲は、既に功成り名遂げた大作曲家ブラームス晩年の1891年の作品。ブラームスはその10年ほど前からマイニンゲン宮廷楽団の首席クラリネット奏者を務めていたリヒャルト・ミュールフェルト Richard Mühlfeld と見知っていましたが、協奏曲などで彼の独奏を聞いて触発され、58歳の夏にこの曲とクラリネット三重奏曲を書きました。短調作品ゆえの寂しさとともに豊かさと凝縮された内容を持ち、様々な音楽を経巡った後の終楽章の最後の最後に第一楽章の冒頭が再帰して大きな循環を完成させ、余韻を残して終わります。
 ウィーン八重奏団の演奏はこちらも親密感にあふれ、録音の具合もあるのか音楽が全体に柔らかい印象で、勿論こういうのを好む方もいらっしゃいましょうが、私はこの曲に関してはちょっともの足りません。聞いているうちに思い出しましたが、私は昔このLP(を復刻した廉価版のLP)持ってましたね。でも父が持っていたイギリスのクラリネット奏者ジャック・ブライマー Jack Brymer が吹いたLPの方が断然好きでした。今は YouTube でブライマーの演奏が聞けますが、今聞いてもブライマーの方が好きです・・・しかしライスターとかプリンツとかシュミードルとか他に選択肢がいくらもあったろうに、なぜブライマーだったのか。父は息子にとっていつまでも謎なのなのか?・・・。ボスコフスキーの師であるウラッハがウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団と入れたLPも持ってはいますが、比較的遅く買ったLPなのであまり聞かないうちにCDに移行してしまったし、ものすごく感動したという記憶もありません。
| DECCA SOUND MONO YEARS | 20:28 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://hoch.jugem.jp/trackback/799
トラックバック

CALENDAR

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

SELECTED ENTRIES

CATEGORIES

ARCHIVES

RECENT COMMENT

RECENT TRACKBACK

MOBILE

qrcode

LINKS

PROFILE

SEARCH