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DECCA SOUND MONO YEARS 1944-1956 を聞く 48. ヴェーグ四重奏団のスメタナ、コダーイ、シューベルト
 DECCA SOUND MONO YEARS 1944-1956 からのご紹介第48弾。Disc 51 はハンガリー生まれのヴァイオリニスト シャーンドル・ヴェーグが率いるヴェーグ弦楽四重奏団によるスメタナ、コダーイ、シューベルトの弦楽四重奏曲。
・スメタナ:弦楽四重奏曲第1番ホ短調「わが生涯より」 (r. 1953)
・コダーイ:弦楽四重奏曲第2番 Op.10 (r. 1953)
・シューベルト:弦楽四重奏曲第13番イ短調 D804 (r. 1952)
ヴェーグ弦楽四重奏団

<上はメインLPのスメタナ、右はサブLPのシューベルトのジャケット写真。>
 
 シャーンドル・ヴェーグ Sándor Végh は1912年にオーストリア=ハンガリー帝国トランシルヴァニアのコロジュヴァール(現在はルーマニアのクルジュ=ナポカ)に生れ、ブダペストのリスト音楽院で有名な大ヴァオリニスト イェーネ・フバイ Jenő Hubay にヴァイオリンを、コダーイに作曲を学び、卒業後はソリストとして活躍するとともに自ら三重奏団や四重奏団を結成して室内楽の分野でも活動しました。そうしたアンサンブルの一つがこの盤で演奏しているヴェーグ弦楽四重奏団で、1940年にブダペストで結成されヨーロッパ各地で活躍、1946年にはパリに拠点を移し、1980年に解散するまで40年間にわたって活動しました。

 スメタナ Bedřich Smetana は1824年チェコ(当時はオーストリア帝国)のリトミシュル生まれの作曲家で、地元ではよりインターナショナルな作風を持ち国際的に活躍したドヴォルザークよりも親しまれ敬愛されているそうで、交響詩「モルダウ」を含む連作交響詩「わが祖国」はプラハで開催される「プラハの春音楽祭」の冒頭に演奏され、彼の代表作ともなっています。この弦楽四重奏曲第1番は作曲者52歳の1876年に作曲され、その表題通り自身の生涯を振り返って自叙伝風に書かれた作品ですが完成後なかなか初演されず、約2年後の1879年3月になってようやく彼の友人宅で試演され、今では「新世界より」等の作曲者として有名なドヴォルザークがヴィオラを担当したそうです。公開の初演はその3日後にプラハで、試演とは違うメンバーで行われました(したがってドヴォルザークはこちらには参加していない)。スメタナは友人のヨーゼフ・スルバ宛の手紙の中でこの曲について「私の意図は私の生涯を音の絵画として描くことだ」と書き、四つの楽章はそれぞれ次のような内容を表しているとされています。
第一楽章:若い頃の芸術への志向、ロマンティックな雰囲気、憧れ、将来の不幸への予感
第二楽章:若い日々の幸福で楽しい思い出
第三楽章:初恋の幸せ、愛の讃歌
第四楽章;国民的芸術の真の理解に至る道のり、突然の耳鳴りと失聴
 彼は1873年に発症した耳疾のため作曲時には全く聴覚を失っていました。明るく快活に進んでいた第四楽章の後半、音楽が突然止まった後に耳鳴りの音を象徴する高いミの持続音が書き込まれ、その後音楽はそれまでの明るさから一転して悲痛なものとなり、希望と絶望の間をさまよいながら、最後は将来への希望を象徴するように長調の和音で静かに終わります。

 コダーイの弦楽四重奏曲第2番は作曲者34歳の1916年から1918年にかけて作曲され、二つの楽章という変則的な形で書かれていますが、第二楽章は前半が緩徐楽章、後半が民謡風の素材による快活な終曲の二つの部分にはっきり分かれているので、全体で三つの部分からできているとみることができます。コダーイの民謡収集の成果がよく表れた曲と言えます。なお上に書いたとおりリーダーのシャーンドル・ヴェーグはプラハ音楽院でコダーイの生徒でした。

 シューベルトの弦楽四重奏曲第13番はシューベルト27歳の1824年の作品で、この年には弦楽四重奏曲ニ短調「死と乙女」D810、八重奏曲ヘ長調 D803、アルペジオーネ・ソナタD821等といった器楽のための作品が多く書かれています。この曲の第二楽章には劇音楽「ロザムンデ」の間奏曲の主題が援用されているため、「ロザムンデ」と呼ばれることもあります。他の楽章にもシューベルトが以前書いた歌曲の旋律が採られているといわれ、シューベルトらしい旋律と転調の美しさが楽しめる曲です。

 私はこれらの作品を聞くのはこれが初めてなので他の演奏との比較はできませんが、ヴェーグ四重奏団の演奏は派手ではないが作品の特徴はよく伝えてくれているのではないかと思いました。たとえばスメタナの「わが生涯より」の第四楽章の耳鳴りの部分は、おそらくもっとドラマチックに芝居がかったり凄味をきかせたりすることができると思いますが、そうしたことにはあまりエネルギーをかけず、比較的あっさり淡々と進めている印象があります。いまどきのグループだともっと強弱の差を際立たせたり濃い表情を付けたりすることでしょうが、そういうスタイルの演奏ではありません。だからこのヴェーグ四重奏団の演奏で曲になじんでおいてからいまどきの演奏を聞くと「おっ、ここ、すごい!」とか「なるほど、そう来たか!」と新鮮な感動を覚えながら聞けるのではないでしょうか(・・・しかしそれって、この演奏を褒めてるんだかさして褒めてないんだかよくわかんねぇな(笑))
| DECCA SOUND MONO YEARS | 20:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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