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楽しみを先に延ばすこと
 私の大好きな詩人の尾崎喜八(おざき・きはち)の独身時代の詩に、東京から買ってきた本の包装をすぐには解かず、お茶を入れお菓子を用意し、晩飯のための水汲みまでして「新しい書物に手を触れる快心の楽しみを延ばす」という内容のものがあります(詩集『高層雲の下』に収める「静かな夏」)。これはつまり快心の楽しみを先に延ばすことによって、いざ味わったときのその楽しみをより大きくしているわけで、こういう気持ちは私にもわかります。しかし我が身を振り返ると、近頃はそのように物事を落ち着いて楽しむということをせず、せっかちにがつがつと、しかも次から次へと楽しみを消費しているのではないかと思われて、もっと丁寧に余裕を持って生活し物事を楽しみたいものだと思いました。
| 暮らしの中から | 23:13 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
まさしく、おっしゃるとおり。
例えばネットショッピングなんかですと、ワンクリックで手軽に頼んだ商品があっという間に届き、「お、来た」とポストから取り出すと、やおら段ボールをビリビリと開封して、歩きながら中身を取り出す…なんていう感じだものね。

物事の味わい方が、粗雑になっているのを反省させていただきましたm(__)m
ありがとうございます。
| OKAR | 2011/08/30 9:49 PM |
そうなんです、ひょっとしたら思わぬところで幸せを取りこぼしているかも知れませんからね。
| ほーほ | 2011/08/30 11:56 PM |
そうですねぇ。昔だけではなく、人間本来のスピードって現代スピードじゃない気がします。なんていうのか、情報処理にしても、理解にしても、認識にしてももっと時間がかかるもんで、どちらかというと、「語り」の速度に近いのではないかと感じています。楽しみをとっておく、という感覚は、それが小さなことでも楽しさがフルにあるような気がします。ほーほさんの記事もその意味で、ちらちら読むなら、読むのを後にして、あちこちの記事にもよりながらもっとじっくり読もうと思うわけです。おもしろいですからね。ちゃんと味わいたいもののひとつです。
| とらのすけ | 2011/08/31 7:21 PM |
なるほど、本当に情報を全部認識して処理していくには、きっともっと時間がかかりますよね。今の我々はそれを何か一つの指標に代替させて、「とりあえずこれがこうなっていれば後は全部OK(のはず)」というやり方をとっていることが多いと思います。
「語り」の速度というのは目の付け所がおもしろいと思います。語る、ということは自分の中で一度情報を処理してからその結果を外に出すわけですから、語る速度が情報処理のスピードを超えることは、何かのショートカットを使わなければあり得ないと考えられますから。
私の記事はですね、まあ適当にお付き合いください(^^;)
| ほーほ | 2011/08/31 7:58 PM |
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