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食に関する本 その6: "The Great Hot Sauce Book" (Jennifer Trainer Thompson)
 以前外資系に勤めていた頃、カリフォルニア州ミルピタスに何回か出張してわかったのは、あちらの人は辛いもの好きだということ。ショッピングセンター Valley Fair にはニンニクとトウガラシ製品の専門店らしき店があったし、スーパーに行けばトウガラシの辛いソースが何種類も置いてあり、タバスコとせいぜいハラペーニョの緑色のやつがあるくらいの日本のスーパーとは大違いです。私もあちらのベトナム料理店で使われていた Huy Fong Sriracha Hot Chili Sauce というのが気に入って、しかし当時日本では見たことがなかったので、自分用に買いました。辛いソースもタバスコだけじゃなくていろいろな種類があるのだな、と実感。

 というわけで今回の本は"The Great Hot Sauce Book" (Jennifer Trainer Thompson著 2004 Ten Speed Press)。英語の本ですが主役は300種以上のソースの写真で、その横に材料やメーカーの説明、エピソードなどが書かれています。トイレでぱらぱらめくって見るのにいいかな〜と思って買ったのですが(なんて失礼な奴・・・)、これが意外におもしろかった。

※ちなみに中味の一部がこちらで見られます。

 <著者が本書執筆の3年前に作った「ホットソースポスター」の一部が表紙になってます。著者のパントリーの棚を写したものだそうです。>
 著者によると世界のホットソース(辛いソース)の数は万に上るのことで、本書には著者のコレクションから厳選した三百数十種のソースを次のように分類して紹介、さらに22種類のレシピも載せています。
カリビアンソース カリブ海地域に特徴的な、ハバネロやスコッチボネットといった非常に辛いトウガラシと熱帯のフルーツ、野菜、マスタード、スパイス等をブレンドしたタイプのソース。
ルイジアナソース カイエンヌやタバスコ種のトウガラシと塩を混ぜて1年から3年ほど熟成させた後に酢と混ぜるクラシックなルイジアナタイプのソース(タバスコはこのタイプ)と、そのヴァリエーション。
メキシコと合衆国南西部のソース チポトレやピキンなどのトウガラシを単独で使い、しばしば美しいレンガ色を呈するという、中米諸国や合衆国南西部で作られるタイプのソース。
その他の国々 アジア、アフリカ、ヨーロッパ等のそれぞれの地域に特徴的なソース。
るつぼ 地域の縛りを超えてあちこちの伝統的な製法を取り入れた、全地球区のソース。
死と破滅 ここからは名前やラベルの面白さに注目した分類。「核爆発」や「臨終の秘蹟」といった、死をイメージさせるオソロシゲ〜な名前を持った製品たち。
宗教的経験 天国、地獄、悪魔といった宗教的な名前を持つ製品たち。
政治的に不適切 この politically incorrect というジャンル名は politically correct(差別・偏見がないこと、PCと略される)をもじったもの。politically correct はアメリカの公的な立場にある人が公的な発言をする場合などには必ず従わなければならない言葉遣いで、たとえば「でぶ」なんていう不適切な言葉を「異なったボディイメージを持った人」と言い換える類。一般に日本の差別用語の言い換えより大掛かりで、笑い話のネタになることも。ここはその反対 incorrect で、いわゆる過激な名前(「死刑」、「ビーチのあばずれ女」など)やラベル(ビキニのトップの片方がずれてオッパイ丸見え〜など)のついた製品たち。
叫ぶ人々 あまりの辛さに叫んでいる製品名(「アチチチ!」「燃える舌」など)やラベル(叫んでいる表情がラベルになっている)をもつ製品たち。
アンタッチャブル トウガラシの辛味成分カプサイシンそのものを添加した製品たち。この種の製品は1991年に初めて登場したらしい。

 対象、内容ともにアメリカならではの本。しかしどんな物でもコレクターはいるものですね…

  ところで私たち普通の日本人は、トウガラシといえば鷹の爪とかシシトウ、パプリカにハラペーニョ、激辛のハバネロぐらいしかなじみがないですが、上記の本にはいろいろな種類のトウガラシが出てくるし、「スコヴィル」という辛さの単位も出てきますので、この際トウガラシについて総合的に勉強してみよう!という方にお勧めなのが『トウガラシの文化誌』(アマール・ナージ著 林真理・奥田祐子・山本紀夫訳 1997 晶文社)。トウガラシそのものについてだけでなくトウガラシと人間の様々な関わりについて書かれています。普段あまり気にしたことのないトウガラシが何だかとてもおいしそうに思われてきて、「うん、ひとつ辛いもので暑さを乗り切ろう!」という気になりますよ。

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