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食に関する本 その2:「クックブックに見るアメリカ食の謎」(東理夫)
  1989年から12年間ほどカリフォルニアに親会社がある外資系企業Overlandで働いてました。いいこともよくないこともいろいろありましたが、アメリカの文物にじかに触れることができたのはよかったと、今でも思っています。もっとも私が直接知っているのは「9.11」以前の、しかもカリフォルニア北部サンフランシスコ周辺の狭い地域に過ぎませんが。

 アメリカに関して私が特に興味を抱いたもののひとつは西部への移住者たちが大陸を横断したトレイル(オレゴン・トレイル、カリフォルニア・トレイル等)で、もうひとつは食・・・まあ、食の方はアメリカに限らんが(笑)。トレイルの方は150年前の車の轍や道の跡が今日まで残っていることに感激して写真集まで買ったりして、いずれその一部なりとも実際に歩いてみたいと思ってます。
<カリフォルニア移民のトレイルの写真集「Overland」(Greg McGregor, 1996, University of New Mexico Press) 解説と写真が見開きに収められ、ところどころに移民の日記や墓碑銘も引用されており、感動。>

クックブックに見るアメリカ食 おっと肝心の「食」について書かなくちゃ。以前にもちょっと書きましたが、私がたびたび訪れていたのはカリフォルニア州のシリコンバレーと呼ばれる地区にあるミルピタスで、ここからサンフランシスコ、サンノゼ、また少し離れたナパバレーも訪ねました。カリフォルニアの料理というとカニかまとアボカドを裏巻き(海苔を内側に巻く)にしたカリフォルニアロールが有名ですが、みんながみんなあればかり食べているわけではもちろんなく(笑)、地元で豊富に採れる魚介や野菜の新鮮さを生かしたカリフォルニア・キュイジーヌ California cuisine あり、お隣のメキシコを始め移民たちが持ち込んだ各国の料理のレストランもあり、もちろんすしバーや日本料理の店もあり、ワインは本場だしビールはマイクロブルワリーでいろいろなタイプを飲み比べられるし、スーパーには見慣れない食材もいっぱい並んでいるし、要は「何でもアリフォルニア」。それほどお金をかけなくてもそこそこおいしいものを腹いっぱい飲み食いできて、欲しいものは何でも買えて、気候も穏やかで、まあなんていい所かと思いました。実際にはそういう生活スタイルは他の国や地域、また地球環境の犠牲の上に成り立っているわけですが、あれは確かに一種中毒的な魅力がありますね。京都議定書なんて参加しないわけだ・・・

 そんなわけで、アメリカの食についてもっと知ろう!と思って、集中的に本を買っていた時期がありました。そんな「アメリカ本」の中でまず紹介したいのが『クックブックに見るアメリカ食の謎』(東理夫(ひがし・みちお)著 2000年 東京創元社)。アメリカの食を紹介する本はたくさんありますが、「クックブックに見る」という目の付け所が面白い。さらに「あとがき」に「この本は、アメリカの食の時代的な変容と、その拡がりをとらえてみたいという試論のようなものだ。」と書かれているとおり、次のような章立てでアメリカの食生活史を概観できるようになっているのです。

第1章:アメリカ、食の原風景〜インディアン、ナニ磨く?
第2章:アメリカ料理の誕生〜殖民と移民の食
第3章:平原の食卓〜バックポーチ・シェフたちの系譜
第4章:庶民と大統領の食〜消えゆく食たち
第5章:変容するアメリカの食〜実験食学の試み

 実はこの本のすごいところは、「食」を切り口にアメリカの歴史や生活文化を縦横に論じ、ついには文化と文明の相克にまで説き及ぶ内容の豊かさにあります。しかもその語り口に思わず巻き込まれ、いつしか「巻(かん)措く能わず」状態になってしまうのですね。知的な楽しみにあふれた本と言いましょうか。
 本書に写真入りで紹介されているクックブックだけでもざっと20冊、参考文献には45冊のクックブックが挙げられています。私もその中から何冊か買って読みましたが、実用書とはいえ英語だし、実際には前書きとめぼしいレシピだけは読んで、あとは写真見て「ほぉ」とか言ってる程度・・・ま、それはそれでおもしろいんだけどね〜(負け惜しみ?)。ちなみに本書にもレシピの訳がいくつか載ってます。有志の方はお試しあれ。

 焦点は食に合わされているものの、おそろしく話題の広い本なので、私としてはぜひ索引が欲しかったですが、残念ながらそれはついていません。仕方なく付箋入れながら読んでいたその付箋が、まだいくつか残っています。アメリカの食文化に興味がある方には「押すすめ」(押しつけがましく薦めること)。

おいしいアメリカ見つけた<『クックブックに見る・・・』ほどディープでなく、でもアメリカの食全般についてざっとしたイメージを持ちたい向きに『おいしいアメリカ見つけた。』(松本紘宇(まつもと・ひろたか)著 1998 筑摩書房)はお薦め。こちらは「パストラミ & コンビーフ pastrami & corn beef デリカテッセンを巡る歴史」とか「クリームチーズ・ケーキ cream cheese cake NYで食べるチーズケーキにはハズレがない」というふうに、食材や料理ごとに29の見出しを立てて、歴史や食べられ方が軽快なタッチで書かれ、素直に「食べてみたい!」という気持ちにさせてくれます。見出しもそうですが、文中の主要な単語には英語が付き、カリフォルニア料理(カリフォルニア・キュイジーヌのことね)への言及もある。何より気軽に楽しく読めるのがよいです。>

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