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無事に終わりました
プログラム表紙 5月の初めに会社の引越しがあったり、私の部署で退職者が出たりと、とにかく本業の方が忙しくブログの更新もできずにばたばたしていてふと気づいたら、本番が近い!5月10日(土)の夜と翌11日(日)の午後が最後の練習。10日は「マイスタージンガー」と「仮面舞踏会」、11日は全曲の通しを中心にやりました。この段階で「田園」の第二、第五楽章が難物であることを改めて痛感。誰かが走ったり遅れたりしたら普通は棒で直せるのに、この2つの楽章に関してはそれがうまくできません。修正の必要のない奏者まで棒に反応して全体がガタガタしてしまうので、ほとんど手が出せないのです。それだけ棒をよく見てくれているとも言えますが、それくらい流れが安定せず危なっかしい状態でここまで来てしまったということですね。それに直してほしい人は往々にして棒なんか見ちゃいない(苦笑)。あまりおっかないので、練習の最後に第二楽章だけもう一度通しました。最後の練習なのに少々さえない終わり方になってしまったのは残念でした。一度始まったらあとは rit.a tempocresc.dim. も、ちょっとしたアゴーギグまで何もかもオートマチックで進んでいくようにはしたくなかった(それじゃ指揮者は要らない)から、その点はよかったけれど、あとは何か起きたら本番の集中力で乗り切ってもらうしかないかな〜・・・指揮者としての力不足、経験不足は否めません。

 それからの約一週間というものは腕立てと腹筋などやって体力をつけ、その副産物として体重も1.5kg減り(もっとも打ち上げでしっかり取り戻した上にお釣りまできてしまったが)、「田園」では第五楽章で管楽器への要求をひとつ(ある音符をマルカートにしてもらう)追加することにしました。
 こうした要求が小出しに出てくるのは本当はよくないことなのでしょう。自分としては最初の練習の前にイメージをしっかり作ったつもりでしたが、生身のオケ、それも個々の奏者の技術もバックグラウンドもばらばらなアマチュアのオーケストラと一対一でぶつかってみて初めてわかることが多くありました。その中で最初のイメージの修正・変更が必要になった箇所もあり、またイメージを音にしてもらうための具体的な指示の仕方や内容が、試行錯誤の中からようやく見つかってきたところもあり、また練習期間が約4ヶ月という比較的長期にわたったこと、さらに「田園」に関してはいずれにしても譜面そのままを弾いても意味がない原典版(ベーレンライター版)を使ったこと等もあって、変更や要求の追加が増えることになってしまいました。

 というわけで、本番当日になりました。午前中のリハーサルでは「マイスタージンガー」と「仮面舞踏会」は確認程度にとどめ、その分「田園」のイメージをもう一回しっかり持ってもらいます。
第一楽章:大きな広がりの中を歩いていくベートーヴェン。絵としてはロングで撮っている感じ。
第二楽章:一転していろいろなものをクローズアップしていくと、それぞれ親密な対話を交わしている。
第三楽章:田舎の人々の楽しい集い。
第四楽章:嵐。
第五楽章:感謝と祈り。第四楽章のような力づくのffはもうない。
 こうして字にして改めて見直すと、あまりドラマ性がない、いかにも地味〜な「田園」になりそうですね。その分、特に第二楽章は密度の高いアンサンブルが必要です。

 本番でアガって頭真っ白になったりしないだろうか、という心配は全然しませんでしたが、途中で集中が切れてしまわないかどうか、という点は不安でした。それで一曲ごとに自分なりにリフレッシュできるよう、ちょっと小道具の助けを借りてみました。それはポケットチーフ。最初の「マイスタージンガー」は純白のチーフをスクエアに折って、2曲目の「仮面舞踏会」は気分を変えるためワインレッドのチーフをスリーピークスで。指揮台に上がってからオケに向かって「ほれほれほれ」とチーフをぴらぴらさせて見せたら、わかった人はわかったようで、途中休憩のときに「田園は緑ですかぁ?」との質問が。正解は「田園」はチーフなし。そんな気取った音楽にはしません、ということで。

 予想通り本番では全然アガりませんでしたが、汗はかきました。棒を持っている右手の掌に汗をかいているのがわかって「あぁ棒投げちゃったらまずいなぁ」なんてちらっと思いました。2曲目の「仮面舞踏会」になったらもう全然意識しませんでしたが。
 全体を通して自分自身は大変冷静で、我を忘れて音楽にのめり込むということには全然なりませんでした。どこかに「いつ壊れるかわからない」という不安があったのかも知れません。ただ、「もう止めなくて済む」というのがすごくうれしかった。もう間違い探しなんかしない、ただ音楽を、音楽がそれ自身で生成し瞬間を充実させるさまだけを見つめて、必要なところで助けてやればいい、1月半ばにオーケストラを前にしてこれらの曲たちと向き合ってから4ヶ月、今日初めてオケとも曲とも一緒になって「演奏」することができる、という思いがありました。と言っても、たいしたことができたわけではありませんが。

 客席に聞こえた音楽はいったいどんなものだったのか、それはそのうち当日のCDなりDVDなりを見て/聞いて反省することにして、打ち上げではみんな笑顔だったので、少なくとも団員にとってはあまり悪くはなかったのかな、と一安心。かくして私の定期演奏会指揮者デビューは天に昇るほどの興奮も地の底まで墜ちるような後悔もなく、あたかも自分の中の「田園」のように、静かに平安に終わりましたとさ。おしまい。
| 定演指揮者奮戦記! | 22:09 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
ぱちぱちぱち!
平安に終われた事、ほんとうにおめでとうございました。

ほーほさん、やっぱり筋力トレーニングは必要だったデスか。

それにしても、ずっと練習を指導してきて本番っていうとき、指揮者はそういう心境なのですね。

あ〜
聴きたかったでっす!
| OKAR | 2008/05/21 11:50 PM |
実は当日の録音などをまだ聞いていないので、実際にどういう音楽が聞こえていたのかがわからず、自分の中ではまだ決着していないのですよ。聞いてみたらあまりにも中途半端でがっかりするかもしれませんが、今はとにかく結果を確認したい、という気持ちです。

筋トレはですね、途中で集中が切れるのではないかという不安への対策という意味合いでした。おかげで翌日の筋肉痛も予防でき、よかったです、はい。

とりあえず今は音楽についてはちょっとお腹いっぱいかな〜みたいな気分で、でも今週末は土浦交響楽団の本番なので、あーどーしよ。OKAR様におかれましてもモーツァルトのレクイエムですよね。お互いよい演奏会ができるようしっかりやりましょう。
| ほーほ | 2008/05/23 10:15 PM |
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