<< 最近の演奏会:うくば学園都市オーケストラ第41回定期演奏会 | main | 4月26日・27日の練習日誌 >>
「田園」って難しい!
 私が指揮をする東京サロンオーケストラの演奏会までもう一ヶ月を切り、これからは日曜練習も含めて最後の追い込みに入ります。
 ところで今回の曲目の中で一番難しいのはベートーヴェンの「田園」。ワーグナーの「マイスタージンガー」はとにかく隙なく書かれていて、譜面どおり鳴らせばもうそれでだいじょうぶな音楽だし、ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」も譜面から音楽の表情が読み取れ、そこに盛り込みたい内容も私の中ではっきりしているので、あとは練習で慣れてぎこちなさがなくなればだいじょうぶ。この2曲はやるべきことが譜面にしっかりと書き込まれているのです。
 しかし「田園」は上の2曲に比べると譜面がかなり素っ気なく、曲の表情については強弱と sf やアクセント以外はほとんど書かれていませんし、「英雄」や第5、第7などとも違ってエキサイティングな展開がないので、譜面をただ弾いても漠然としてつかみどころがないまま終わってしまいます。かといってやたらに譜面を変えたり、書いてないことをおおっぴらにやったりするわけにもいきません。そこで演奏者は譜面に書かれていることの意味内容を掘り起こし、それを表現するためにパート間のバランスをとったり、あるフレーズをレガートにあるいはマルカートにしたり、フレーズの間を空けたり頭にアクセントをつけて浮き出させたり、場合によっては最小限譜面をいじったり(ベートーヴェンさんには内緒です)等々、自分の努力と責任で音楽を作っていかなければならないのです。

 それに加えて「田園」の第五楽章にはさらに別の難しさがある、と感じています。低弦の動きがトゥっティの和音の中に埋もれてしまわないようにバランスを調整すべき箇所はありますが、それ以外に何か特別に手を加えて強調すべきところは見当たらず、譜面を信じてそのとおりに演奏する以外に手の出しようがないとしか思えないのです。全てベートーヴェン様にお任せで一見楽そうですが、これがすごく不安です。
 この楽章は標準的なソナタ形式ではなくロンドソナタという形式をとるため、第一主題がほぼ原型のまま頻繁に再現します。そのため比較的単純な第一主題ばかりが果てしなく繰り返されているように聞こえ、何かしないと途中で聞き飽きてしまわれないかと心配になってしまうのですが、何せ手を出せるところが見つからないので、自分からは事実上何もできない。そのためこの解決できない不安が限りなく膨れ上がっていくのです。
 もうこうなればこの美しい音楽が飽きられるなどということはないのだと、ベートーヴェンが書いた音楽を信じるしかありません。あと一ヶ月足らずのうちにそのことが確信できるように、そして美しい音楽を美しく演奏できる(してもらえる)Iように、とにかく一生懸命努めましょう。
| 定演指揮者奮戦記! | 19:52 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://hoch.jugem.jp/trackback/165
トラックバック

CALENDAR

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>

SELECTED ENTRIES

CATEGORIES

ARCHIVES

RECENT COMMENT

RECENT TRACKBACK

MOBILE

qrcode

LINKS

PROFILE

SEARCH