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「仮面舞踏会」の組曲としてのまとまり
 組曲「仮面舞踏会」について、原作の戯曲との関連でどうも座りが悪い気がするということを先日書きましたが、その後、原作から独立した組曲としてのまとまりを考えることができる気がしてきました。私の考えでは、この組曲をまとめる役割を果たしているのは、ワルツ・マズルカ・ロマンス・ギャロップの主題に共通点が見られることです。
 この組曲を何回か聞いていて気づいたのは、ワルツ・マズルカ・ギャロップの主題の形が似ていることです。いずれの曲の主題も「最初の動機を2回繰り返し、その後に動機を短縮した断片が3回繰り返される」という形をとっているのです。以下の譜例に赤枠と番号で示します(緑枠とA、Bは後で出てきますので、とりあえず今は無視してください)。

<第1曲「ワルツ」>
waltz1waltz2

<第3曲「マズルカ」>
mazurka1mazurka2

<第5曲「ギャロップ」>
galop1galop2

 またマズルカの中間部の主題も同じ形でできていますが、これはこの主題が主部の主題の転回形(音の上下の関係を置き換えた形、旋律を上下に線対称にしたような感じになる)であるからで、私はこれを主部の華やかさの陰に潜む寂しさ、弱さ、悲しみの表現と捉えています。

<第3曲「マズルカ」中間主題>
mazurkaB1mazurkaB2

 「動機2回+断片3回」というこの形は、断片3回の繰り返しによってテンポがすっと上がったような感じを受けるので、いずれも舞曲であるワルツ、マズルカ、ギャロップのいずれにもふさわしいと考えられますが、それだけの理由で3曲全てに同じ形を使うとは思われません。

 さらにもう一つ、主題の主要動機の旋律的なアウトラインも共通点として挙げられると思われます。上行−下降という山型です。先ほどの譜例には緑枠で、上行をA、下降をBで示しました(やっと緑枠の出番がやってきましたぁ〜)。
 旋律の作り方としてずっと上行し続けることはできないので、上がったらいつか降りてこなければならず、そういう意味では山型のアウトライン自体は至ってありふれたものですが、注目したいのはロマンスの主題の主要動機が山型であることです。

<第4曲「ロマンス」>
romance
 原作の戯曲ではこのロマンスは悲劇のヒロインであるニーナが最後の舞踏会で歌う曲になっており、そういう意味でこの組曲中では最もシリアスで重みのある曲。その曲を含めて全5曲中4曲の主要動機が同じアウトラインを持っているわけで、これも偶然とは思えません。

 というわけで、この組曲は原作の戯曲のストーリーの展開からは独立した曲として、「動機2回+断片3回」と「山型アウトライン」という主要動機の共通性によって組曲としての統一感が感じられる作りになっていると考えられます。
 最初は何となく薄暗くて得体の知れない曲という印象でしたが、だんだんと自分の中で座りがよくなってきました。
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