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天然記念物 下横場の大グミ
下横場の大グミ
 最近お昼休みの散歩コースを変えてみました。以前は会社の北側の畑の中の道を中心に歩いていましたが、今は会社の東側の住宅地のへりを歩いています。景色が変わって新鮮な気分で歩けます。
 その新しいコースの途中で、思いがけず天然記念物を発見しました。「下横場の大グミ」という樹齢約500年のグミの古木です。私などは天然記念物というとオオサンショウウオとかトキといった超レアな動物を思い浮かべますが、実は天然記念物は動物に限らず植物や鉱物でもかまわないのだそうで、しかもオオサンショウウオやトキなどの超レアものは天然記念物の中でも特に貴重なものとして指定された特別天然記念物で、特別のつかない天然記念物はもっと裾野が広いものらしい。とは言うものの樹齢500年ということは室町時代から生えているわけで、それは確かにすごいものですね。
 この写真には写っていませんが、近くに茨城県教育委員会とつくば市教育委員会が平成元年に立てた説明板があります。その文面を写しておきます。原文も横書きです。

県指定文化財/天然記念物 下横場の大グミ
指定年月日 昭和39年3月31日

 グミ科の植物でナツグミに属し、樹高(じゅこう)約7メートル、幹の根元回りは2.3メートルあります。地上より0.2メートルのところから枝分かれしている幹の回りは、それぞれ1.08メートルと1.78メートルの太さです。
 樹齢(じゅれい)はおよそ500年です。室町時代に菩提樹(ぼだいじゅ)として植えられたものと推定され、現在も樹勢(じゅせい)は盛んです。
 4月から5月にかけて淡黄色(たんおうしょく)で筒形、先端が四裂(しれつ)した花が下垂して咲きます。6月には長さ1.5センチ程の広(こう)だ円形の果実が枝いっぱいになります。
 かつては個人所有の林の中にありましたが、昭和45年筑波研究学園都市建設計画により、高野台緑地公園として整備されて以来、公園のシンボルとなっています。

 平成元年10月     茨城県教育委員会
            つくば市教育委員会

 なお、”/”で分けた部分は原文では小字で二段書き、( )で囲んだ部分は原文では振り仮名として漢字の上に振られています。また原文では第2段落の「樹齢はおよそ500年です室町時代に…」の句点(。)が落ちており、補いました(しっかりしてね教育委員会さん)。
 樹齢500年の今も樹勢は盛んで枝いっぱいに実をつけるなんて何ともすてき。ぜひその実を味わってみたいものです。室町時代の味がするのでしょうか。

観世音ところで菩提樹というと、釈迦がその下で悟りを開いた木だったり、シューベルトの歌曲に「泉に沿いて茂る菩提樹…」と歌われたり、いずれにしても特定の樹種をさすことがほとんどですが、この説明板でいう菩提樹は「(誰かの)菩提を弔うために植えられる木」という意味です。またこの木から少し離れて、「…□観世音」(…□は不明な字を表す)と刻んだ写真の石碑が建っています。この□に当たる字は「頭」のように見え、そうだとするとこれは近世において馬が斃れた場所近くに立てられることが多いという「馬頭観世音」である可能性が高く、この大グミと石碑のある一画は古くから「弔い」の雰囲気が支配する特別な空間だったのではないかと疑われます。
 今この一画は、説明板にあるとおり「高野台(こうやだい)緑地公園」として木製のベンチとテーブルが置かれているのですが、なぜか雰囲気が暗くて「あそこで弁当食べて昼寝しよ」という気になれないのは、今なお「弔い空間」の気が漂っているせいかも知れません。この木が500年間切られず、この一画が500年間建物も建たず田畑にもならずに残り続けたのには、それなりの理由があったのでしょう。
| 地域とくらし、旅 | 22:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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