配達だより:05. 笑いころげたあれこれ思う秋の日

 ある日土浦市の八坂通りを走ってきて土浦一高の前の交差点で信号待ちをしていると、反対側の一高の方からセーラー服姿の中学生の女子が二人やってきて、やはり赤信号で立ち止まりました。そのうちの一人が全身で大きく手を振りながら、車の中まで聞こえる明るくよく通る大きな声で「◯◯くぅーん!」と呼びかけました。先に信号を渡って行った同級生か同じ部かの男の子がいたのでしょう。伸び上がったつま先からいっぱいに開いた手の先まで伸び伸びとしなやかに張り切って、今どきの子は手足が長いですね。その無邪気で溌剌としたさまに思わず見とれていると、もう一人がすかさず「一緒に帰りたいってー!」と混ぜ返し、最初の子は「言ってないよー!」と叫んで、あとは二人で笑い転げています。


 すると呼びかけられた◯◯くんらしい男子が、女子から大声で呼びかけられて照れくさかったのか、どことなくぎこちない動きで八坂通りを一高前の交差点まで戻ってきました。そして「ろっこく」(国道6号、水戸街道。しかし現在は土浦バイパスが国道6号で、一高前の旧・6号は国道125号になっている)をはさんで女子二人組に何か話しかけますが、残念ながら男子の低い声はよく通らないし、きっと彼もあまり声が出てないんじゃないかな、横断歩道の向こう側の女子の「えー、なにー、聞こえなーい」という声ばかりが聞こえてきます。やがて信号が変わり、女子二人は横断歩道を小走りに◯◯くんの側へ渡ってきましたが、私も車を出さなければならなかったので、その後この三人がどうなったかはわかりません。

 

 ♪ 青春はわすれもの 過ぎてから気がつく

(「思秋期」(作詞:阿久悠)より)

 

 中学生、青春してるなあ。

| 配達だより | 14:51 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
配達だより:04. 軽トラ

 軽トラックを運転してお弁当の宅配の仕事をしています。この軽トラック、荷台の形状が違うだけで基本的には農家や商店などで使われてるのと同じものです。

 

 私が最初に買った車はスバルのマレノという排気量550cc(当時の規格はこうだった)・5ナンバー・ECVT(電子制御無段変速)の軽で、5〜6年乗りました。非力だった(一人で乗っていてもちょっと急な坂を登るときはエアコン切った)とはいえそこは乗用車なので、シートポジションの調整等乗り心地にはある程度の配慮があり、ホイールベースを長くとって車室の広さと安定性を増すためにタイヤが車体のほぼ四隅いっぱいについていました。
 それに対して今乗っている軽トラは貨物車で荷物がお客様なので、運転手の乗り心地は二の次三の次。シートは固定だしサスも固いし、一応フロアシフトの3速(たぶん)オートマですが、惜しむらくはパワステじゃないので、ハンドル重いです。据え切り(停止したままハンドルだけ切る)なんて、軽だから不可能ではないがタイヤにも車にも良くないし、手首に負担かかるので、特に演奏会前はお勧めできません。据え切りでなくても交差点の左折右折のたびに腕だけでなく腹筋にも力入るし、直角以上の鋭角に曲がる時や最小半径で旋回する時(住宅地ではありがち)なんて、思わず坂本冬美さんふうにうなり入りで「♪ィよいしょと!」なんて口ずさんじゃいます(坂本冬美「祝い酒」)。

 

 しかし軽トラというのは機能的には大変すぐれたもので、車幅が狭くあぜ道みたいな道も通れるし(こちら)、同じ軽でも軽乗用車と違って運転席の真下あたりにタイヤがついていてホイールベースが短いので小さい半径で回れ、農家の前庭に頭から乗り入れても切り返さないでくるくる回って前向きで出てこられるし(荷室があってルームミラーでは後ろが見えないのでバックでは出たくない)、土浦市街の城下町特有の入り組んだ細い道も自由自在。スマートではないががっしり頑丈で、どんな仕事も黙ってしっかりこなす、まさにワークホース workhorse です。
 こういう性格の車だけに、強力なエアコンがオートで快適に効いたりシートポジションが自由に変えられたりハンドルが片手でくるくる回せたりすると、それはかえっておかしなものなんじゃないだろうか?(半分強がりか?)

| 配達だより | 18:39 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
配達だより:03. 転ぶ

 お弁当や食材を宅配する仕事では、誤配や遅配がないことも勿論ですが、お客様にお届けする商品の品質保持が最重要課題。特に今の時期は高温多湿のため、センターの冷蔵庫や冷凍庫から取り出した商品の保冷には特に気を使います。商品を車に積み込む際には冷凍した蓄冷剤やドライアイス(冷凍品の場合)を同梱して低温を保ち、またお客様にお届けする際にも、お客様の玄関先に車が止められてお客様もご在宅という場合ならともかく、原則としてお弁当や食材は小ぶりなダンボール箱くらいの発泡スチロール製の保冷箱に入れ、さらに蓄冷剤やドライアイスと断熱シートをセットして、商品が温まらないようにして車から玄関先まで運びます。つまり商品を入れた保冷箱を小脇に抱えるか両手で捧げ持つような体勢で車から玄関先までお伺いするわけで、お客様がご不在の場合はその保冷箱のまま封をして玄関先等ご指定の場所に置いてくるため、それに十分な量の蓄冷剤が入った保冷箱はそこそこの重さになります。

 

 ところで、先日この保冷箱を両手で捧げ持つ体勢で階段を上っていたところ、最後の一段でつまづいて前向きに倒れてしまいました。さらにその何件か後のお客様の玄関先でも段差につまづいて再び転倒。酔っ払っていて転んだことは数回ありましたが(恥)、白昼に素面で、しかも一日に二回というのは初めてです。その上両手がふさがっていたのでまともに膝を打ってしまって痛かった・・・。
 年をとると筋力の低下等により自分で思っているよりもつま先が上がらなくなり、つまづいて転びやすくなるという話を聞いたことがありますが、いよいよ自分もそういう年になってきたのかなあ。しかもつまづくだけでなく、バランスを崩しても何とか持ちこたえて体勢を立て直す「粘り」みたいなものもきかなくなっていて、手もなく転びます。いかんいかん。皆様も足元にはお気をつけて。

| 配達だより | 12:06 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
配達だより:02. ハス田

 週に3〜4日、夕食用の弁当やおかず、食材等を宅配するパートに出ています。センターに出勤してお弁当や食材を積み込んだら、私が担当するコースはまず土浦市の北東、霞ヶ浦湖畔の台地上の集落へ向かいます。土浦市近辺の霞ヶ浦湖畔には標高3〜4メートルの沖積低地が霞ヶ浦を縁取り、その背後に関東ローム層を載せた標高25〜30メートルほどの洪積台地が広がります。低地と台地の境は比高約20メートルの段丘をなしていて、台地上へ登る道はけっこうな急坂です。湖畔の低地は湿潤で水田に適し、一方背後の台地は多くは畑ないし森林ですが、台地の間を刻む谷には水田も見られます。それが本シリーズの「01. キジ」の舞台にもなった「谷津田」です。

 

<今回扱う区域の概略図。左下に青い楕円で囲ったのがJR常磐線の土浦駅。右側の大きい赤い四角で囲ったのが今回前半で扱う霞ヶ浦湖畔の沖積低地とその背後の洪積台地。左側の小さい赤い四角で囲ったのは後半で扱う土浦市街の北側の住宅地。>
 

 この霞ヶ浦湖畔の湿潤な沖積低地は古くから水田として利用されてきたであろうと思われますが、現在ではレンコンを栽培するハス田が一面に広がり、土浦は日本一のレンコン生産地とされています。常陸国風土記の香島郡の条には「其(=香島の大神)の社の南、郡家の北に沼尾池(ぬまのをのいけ)あり。古老の曰へらく、神世に天より流れ来し水沼(みぬま)なりと。生(お)へる蓮根(はちす)、味気(あぢはひ)太(いと)異(こと)に、甘美(うま)きこと、他所(よそ)のものに絶(すぐ)れたり。病める者、此の沼の蓮(はちす)を食へば、早く差(い)えて験あり。」(『風土記』武田祐吉編 1937 岩波文庫による。なお字体は現行の字体に変えました)とあり、レンコンが古代から食されていたことがわかりますが、土浦近辺の霞ヶ浦湖畔での栽培は昭和45(1970)年から始まった政府によるコメの生産調整に伴う転作事業によって飛躍的に伸びたようです。そしてこの霞ヶ浦湖畔に広がるハス田が、今ちょうど花の時期なのです。

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| 配達だより | 08:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
配達だより:01. キジ

 しばらく前から、お客様のお宅に夕食用の食材やお弁当等を配達するパートを始めました。朝10時にセンターに出勤して食材やお弁当、保冷剤等を軽トラックの貨物車に積み込み、いくつかのルートに別れてそれぞれのルートで一日に40〜50軒程度のお宅に配達して回ります。
 私が担当しているルートは霞ヶ浦湖畔や土浦市北部の農村地帯から新興住宅地、土浦の郊外から中心市街地までいろんなところを通ります。その中で気づいたこと、出会ったことをぽつぽつと書いていこうと思います。

 

 6月下旬の晴れて暑い日のこと。土浦市郊外の板谷の谷津田(台地の間に谷状に入り込んだ低地を利用した水田)に接する斜面に展開する住宅地でキジを見ました。茨城ではキジは別に珍しい鳥ではなく、5月にはあちこちで声が聞かれますし、今はわかりませんが20年くらい前にはJAXAの筑波宇宙センター構内にいるのを何度か目撃しました。しかし奈良のシカじゃあるまいし、戸建てが密集する住宅地の目と鼻の先に出るというのは茨城でもちょっと珍しいと思います。

 

<以下の拙文だけではよくイメージできないと思うので、参考までに付近の地形図を示します。この図の下辺から赤い道が2本V字型に伸びていますが、左上へ走るのが国道125号で、一番左上の緑色のくりりんとしたのは常磐自動車道の土浦北インターチェンジ。一方右上へ走るのが国道6号(土浦バイパス)。その右に縦に走る黄色い道は旧国道6号(茨城でロッコクという)で、地図の下が土浦・東京方面、地図の上が水戸・いわき方面です。地図の中央を東西にほぼまっすぐ流れている川に沿って、南北を少し高い台地に挟まれながら伸びている水田が谷津田、四角い赤枠で囲ったのが問題の細道。>

 

 今回の現場ですが、上の地形図に見られるとおり、この谷津田はほぼ東西方向に伸びており、谷津田の北側の台地、つまり谷津田への斜面が南向きで日当たりがよい方は比較的早くから(遅くても1970年代から)住宅地として開発されていました。一方谷津田の南側の台地の斜面には、北向きで日当たりが悪いためでしょう、宅地は全く見られず、現在に至るまで雑木やクズなどからなるヤブが残されており(特に地図の「都和(四)」という字のあたり)、自然度高いです。この日もホトトギスやウグイスの声が賑やかで、谷津田にはコサギかアマサギか、小型のサギが降り立って餌を漁っていました。昔はホタルがたくさん見られたそうです。

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| 配達だより | 20:57 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |

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