アサガオの別名
 昨日、というか本日未明か?、風呂に入りながらNHKの「ラジオ深夜便」を聞いていたら、「アサガオは別名を牽牛(けんぎゅう)といいます」という話が流れてきて、「おや?」と思いました。それはひょっとして牽午(けんご)では?

 なぜ私がそう思ったかというと、アサガオの種子はケンゴシという生薬として使われるのを知っていたからで、ケンゴシの最後のシ(子)は「種子」という意味なので、ということは植物そのものは当然ケンゴであろうと思われ、さらにケンゴという音からすると、牽牛の牽はいいとして、ゴと読むなら「牛」(うし)ではなく「午」(うま)だろうと推測したからです。もし本当に「牽牛(けんぎゅう)」と呼ばれるとしても、それはもともとの「牽午」が織女牽牛の話と混同されて午が牛と誤られ「牽牛」と書かれるようになったせいなのではなかろうか、とも思いました下線部分はあくまでも私が立てた仮説で、検証された事実ではありません。ご注意ください。以前このテの仮説を知らないうちに赤の他人に剽窃されて Wikipedia に掲載されたのを発見し、Wikipedia に「それは私の仮説で事実ではありません」と削除依頼したことがあります。ひどい話だ。)
 そこで風呂から上がって早速手元の『新漢和辞典』(諸橋轍次他著 大修館書店)を引いてみたら・・・

 何と!「牽牛 ケンギュウ」ですよ(左)。これは「ラジオ深夜便」の先生(お名前は聞き漏らしました)の説のとおりです。いやいやそんなはずはない、中国はいざ知らず、昔の日本ではケンゴと呼ばれていただろうと、昔も昔、大昔の『倭名類聚鈔』(平安時代中期)を引いてみると・・・

 何と!「牽牛子」ですよ(右)。やっぱり午じゃなく牛です。割注に「和名阿佐加保(あさかほ)」とあるので人違いでもありません。しかもここには牽牛という名の由来も書いてあります。「陶隠居本草に牽牛子と云う。此田舎に出て凡人之を取る。牛を牽いて薬に易(か)う。故に以って之を名づく。」と読むことができ、「牛を牽いて薬に易(か)う(牽牛易薬)」とはこれで作った薬が牛一頭分に値したということで、そう言われると「ラジオ深夜便」の先生もそんな話をされていたようだったなあ・・・(汗)。出典とされている「陶隠居本草」は陶弘景(456-536)の「本草集注」のことで、本場中国でも最初から「牽牛(子)」であったことは間違いないようで、私の「もともとの牽午が織女牽牛に引かれて牽牛になった」仮説はあっさり崩れてしまいました(笑)。

 しかし、字は牽牛子であっても、少なくとも「ケンゴシ」という読みは間違いないはずだ。そうそう、奈良の明日香村に牽牛子塚(けんごしづか)古墳というのがあるが、あれをケンギュウシ塚古墳と呼ぶなんて聞いたことないし、そない呼んだら笑われるで。
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| ことばのこと | 23:02 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「賞品/商品」と「背景/拝啓」−アクセントのこと
 テレビやラジオで数年前から頻繁に耳につくようになりましたが、「賞品」と「背景」のアクセントは私が子どもの頃とはもうすっかり変わりましたね。以前はそれぞれ「しょうひん」「はいけい」と頭を低く第2音節から後を平らに高く言ったものですが、今では逆に頭を高く第2音節から低く言ってます。それでも少し前までは以前のアクセントで発音する人もいましたが、今はもう切り替えが完了したような感じです。私は「賞品」が「商品」に、「背景」が「拝啓」に聞こえて何とも妙な気分ですが、若い人はきっと全然違和感ないんでしょうね。

 「賞品」については、ひょっとすると言っている本人も素朴に「商品」と信じているのかな、と思われるフシもあります。どうせ賞品ったってどこかで買ってくるのでしょうから、もとを糺せば商品だったわけで。
 そういえば昔は夏休みのラジオ体操を毎日近くの公園なんかでやっていて、行くとカードにハンコ押してくれて、出席日数が多いと賞品がもらえたものですが、今はそんなことで賞品をもらう機会も減ったし、また世の中的にも賞品から賞金やギフト券等へのシフトが進んだりして、「賞品」という概念そのものの存在感が薄くなって「商品」と区別しなくなったのかも知れない、などとも思います。

 一方の「背景」が何故こういうことになったのかはちょっとわかりません。「はいけい」と後ろを張るより「いけい」と緩んじゃった方が楽なことは楽ですが。それにたとえば「賞品を差し上げます」「背景について」と後ろに語を続けてみると、後ろを上げる発音では「しょうひんをさしあげます」「はいけいについて」と続いた語も高くなりますが、今風の発音だと「しょうひんをさ(中高)しあげま(低)す」「いけいにつ(更に低)いて」という具合に全体のトーンが下がるので、こりゃ楽だわぁ・・・え、まさか、そのせいなのか?
| ことばのこと | 22:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ルクジューのこと
 沖縄に工房を構えて芭蕉布を織っている高校の同級生(こちらです、どうぞご贔屓に!)が、沖縄県立博物館で開催中(5月27日(日)まで)の沖縄復帰40周年記念「紅型BINGATA 琉球王朝のいろとかたち」展を見て大変感動した、とブログに書いていました。
 紅型(びんがた)が沖縄の染物であることだけは何となく知っていましたが、この機会に紅型についてもっときちんと知っておこうと調べているうちに、面白いものに出会いました。
 それは「ルクジュー」というもので、紅型の型紙を彫るときの下敷きに使うのですが、何と豆腐で作るのです。豆腐を陰干しまたは冷蔵庫で2ヶ月ほどかけて乾燥させた、10cm四方ほどの茶色い固い塊で、カンナで削って表面を平らにするというのですが・・・あれ?それって六条(ろくじょう)豆腐じゃないの?
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| ことばのこと | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
apo- と a-
 このブログに記事を上げるたびに、mixi と facebook に記事へのリンクを投稿しているのですが、先日「気になる外来語 その3」の facebook のリンクに、高校の同級生で医師のI氏から「アポトーシス(=アポプトーシス)。まにあっくです。」というコメントがつきました。
 うーむ、アポトーシスは聞いたことがあったけど、正しくはアポプトーシスとは知らなかった。このコメントにはとりあえず「おそらくアポプトーシスはアポ+プトーシスで、一般的にギリシャ語の語頭の pt の p は他の言語では落とされるのでしょうかね」などと答えたものの、実際のところはどうなのか確かめないと気がすまない。そこで Wikipedia をのぞいてみたら、やはりアポトーシスの綴りは apoptosis で、「apo-(離れて)」と「ptosis(下降)」に由来し、もともと「(枯れ葉などが木から)落ちる」という意味なのだそうな。なるほど、枯葉が木から落ちるねぇ、それはいかにもアポトーシスな感じが出ているし、季節的にもぴったりだわいと感心しました。
 さらにギリシャ語の語頭の pt ですが、初めて経緯線を持った地図を作ったといわれているプトレマイオスの英語名がトレミー(綴りは Ptolemy だが発音はト(タ)レミーで p は発音しない)であることから、やはり語頭の p は落とされるというか、無声音化される傾向があるようです。
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| ことばのこと | 19:09 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
気になる外来語 その3
 すぐにネタが尽きそうなのにもかかわらず、第1弾第2弾に続きまたもや「気になる外来語」発見。今回は同音・類似音が繰り返される場合の片方が脱落する「脱落編」です。

ナルシスト
 これを出してしまって、実は後悔してます。というのは、この語は英語から来ているのですが、さっき念のために調べてみたら、その肝心の英語でも最近は narcissist(ナーシシスト)だけでなく narcist(ナーシスト)もOKよ、みたいな感じなので、「ナルシストはナルシシストの2つ連続したシの片方が脱落した形である」と一概に決め付けるわけにいかなくなってしまいました。英語の方でこういう事態になってきたのは、narcissism(ナーシシズム)をドイツ語では Narzißmus((ナルツィシスムスではなく)ナルツィスムス)というので、その影響があるのかも知れないと思っております(ちなみに narcissist に相当するドイツ語は Narziß ナルツィス)。
 もともとは、昔々ナルキッソスという美少年が池に映った自分の姿に恋してそのまま水仙 narcissus の花になったので、水仙の花は今でも池に映った自分の姿をのぞき込むようにうつむいて咲くのである、というギリシャ神話にもとづく語で、-ist や -ism が付く語幹は narciss(ナルシス)です。谷山浩子も ♪あッたしはアリス、弟はナルシス♪ (「不思議なアリス」)と歌ってました。だから narciss-ist(ナルシス-ィスト)であり narciss-ism(ナルシス-ィズム)が本来の形だったのですね。しかしこの語の使用者自身が自己愛に耽るあまり(?)会ったこともない美少年のナルシス君のことなんかどうでもよくなって、その結果発音の面倒なシが片方脱落し、ナルシスト/ナルシズムになったものと思われます。

 なお、これと同様の「シ脱落」により生まれた語に「マルキスト」があります。これはマルクシスト/マルキシスト Marxist のシ脱落形です。しかしこのマルキストという語が比較的広まった(と思う)のに対して、これに対応すべきマルキズム(Marxism のシ脱落形)という形はそれほど広まらず、「主義」はマルクシズムまたはマルキシズム、「主義者」はマルキストと、器用にあるいは無意識のうちに使い分ける論客が多かったように思います。言葉って不思議。

エステシャン
 これの原形はエステティシャン aesthetician です。aesthetic-ian ですね(英語的にはエスセティシャンの方が近い。th ですよ th )。テクニシャン technic-ian とかアカデミシアン academic-ian と同じ成り立ちの語です。しかし日本ではエステティックなんて長ったらしく言わずエステと略すのが一般的。ということは、「テティ」の部分が言いにくいというだけでなく、エステシャンだって「エステ」という語が完全に入ってるんだから間違ってないんじゃん?という推測が加わり、この形に落ち着くのは時間の問題かと。

 これ以外にもまた違った脱落系の語があるかもしれませんが、今見たところでは同音が連続反復する場合に片方が脱落する傾向があるようです。以前ちょっと触れた(クビキリ・キリギリス)→クビキリギリス→クビキリギスという流れとも似てる気がします。同音の連続・反復はともすると冗長に見えますが、だからといって無造作に整理してしまうと語としての意味や構成が失われることになる。そういう整理は悪い整理である、と私は思います。
 言いにくいかもしれないがナルシシストとかエステティシャンと言ったほうが意味も通るし、カロリーも消費でき、口の周りの筋肉も鍛えられて、やがてアナタは若々しく豊かな表情を得られることでしょう。これぞ名づけてオーラル・エステティーク!(笑)

もうひとりのアリス<本文中でたまたま谷山浩子さんの「不思議なアリス」に触れてしまったので同曲を含むアルバムの絵を出しただけで、よくある「写真は本文の内容とは関係ありません」というやつです(笑)。
「もうひとりのアリス」 私のはPONY CANON D32A0071(1985/4)、その後番号と価格を変えて再発されてます。オリジナルはLP PCCA-00259(1978/3)>


| ことばのこと | 21:25 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
気になる外来語 その2

 以前外来語の言い間違いについて「気になる外来語」という記事を書きましたが、気になってる外来語は他にもあるので、前回の「言い間違い編」に続いて、今回は「微妙に訛ってる編」を。

ビヒクル(ベヒクル)
 私が大学を卒業して最初に就職したのは印刷会社でした。印刷や出版は独特の用語が比較的多い業種ではないかと思いますが、その中に明らかに外国語なのだが元の語がちょっと思い浮かばない、という用語がいくつかあって、その代表がビヒクル(またはベヒクル)でした。これは印刷用インキの材料の一つである粘度のある液体のことで、樹脂と油と溶剤の混合物です。印刷インキは色料(色を持った粉)とビヒクル・補助剤からできているのですが、色料は多くの場合インキ中に「溶けている」のではなく粉体のまま分散しているのであって、ビヒクルまたはベヒクルは、この色のついた粉である色料を紙などの被印刷体の表面に付着させ固定させる役割を果たします。つまり色料を印刷機から被印刷体へ運ぶもの、と考えると・・・正解は vehicle(車、車両)でした。
 vehicle という語は今ではクルマのタイプの SUV (Sport Utility Vehicle:スポーツ用多目的車)等でおなじみで、一般にビークルと書かれ発音されていますが、おそらく明治の昔に西洋の印刷術を学んだ先覚者たちは、外国人技術者からではなく欧米の書物や文献を通して知識や技能を習得していった者が多かったために、実際の発音を知らないまま字面どおりにビヒクルまたはベヒクルと言い、書いていたのではないでしょうか。もしそうなら、ビヒクルまたはベヒクルは色料だけでなく明治の香りも乗せて運んでいるってことですかね。
 これ以外にも、ゲラ/ゲラ刷り(=galley proof:校正刷り。原稿を印刷にしたばかりのもので、これに校正を加えて出版のための最終稿になる)とか、ヤレ/ヤレ紙(これは外来語ではなく「破れ」の古語から。印刷機の調整時や印刷に失敗して出る、印刷物としては使えないロス紙のこと)とか、「え何ですかそれ」っていう用語はけっこうありました。

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| ことばのこと | 22:44 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
気になる外来語

 わりとよく聞く外来語の中で、元の語と音が微妙に違っていて気になるものがいくつかあります。要するに言い間違いの類なのですが、この間違い方にもいくつかパターンがあって、それぞれの中に英語を始めとする外国語に対する日本人の受け止め方が透けて見えるようで、ちょっとおもしろいと思います。

シュミレーション
 元の語は simulation で、そのままカタカナにするならシミュレーションですが、どちらかというとシュミレーションの方が多数派なのではないでしょうか。おそらく「ミュ」という音が発音しにくいのと、さらにシュミ(趣味)という音になじみがあるので、たとえシミュレーションと書いてあっても、なんとなく「シュミ・・・」の方に引っ張られちゃうのでは。
 もっともシュミレーションという音自体も何となく英語っぽく聞こえるので、これが正しいと信じている方も多いような気がします。何気なく「シミュレーション」と書いたり言ったりすると「シュミレーションね」と冷静に直されたりして。

フューチャリング
 音楽関係で、普段活動しているユニットが特別に外から目玉になるようなアーティストを迎えて演奏するときに「何々 featuring 誰それ」という言い方をします。この featuring、素直にカタカナ化すればフィーチャリングですが、これもフューチャリングの方が広く通用してるんじゃないか。「何々が誰それを feature したアルバム」という風に動詞に使うときは「フィーチャーした」と言われるんですが、アルバムのタイトルになった途端にフューチャリングの方が多数派になってしまうのが不思議。
 思うにfuture(未来)の方が feature より断然なじみがある単語なのでそっちに引っ張られちゃうのでしょう。「フィーチャーする」という動詞を使う人なら当然アルバムタイトルもフィーチャリングと発音するでしょうが、そういう訳知りでコアなファンは相対的に少数で、なかなか大勢を変えるに至らないと考えられます。

エンターティナー
 原語は entertainer。原音に近いカタカナはエンターテイナーですが、しばしばティナーと詰めて読まれ書かれます。これは多分「テ」より「ティ」の方が英語の発音っぽいんじゃないかという、まんざら間違いとばかりは言えない推測の結果の誤読であろうと思います。しかもうまい具合に直後にイの字があるし、これはティに違いないと。我が茨城県でよく用いられる(らしい)「テーシャツ(Tシャツ)」等のケースではこの推測は正しいのですが、entertain + -er という成り立ちのこの語では正しくない
 このパターンのヴァリエーションとしてディスクトップパソコンが挙げられます。これはデスクトップ desk top(机上の)が正しい。以前はデスクトップに対してラップトップ lap top(膝の上の)という言い方があって対照的でわかりやすかったんですが、ラップトップがノート型と呼ばれるようになって対照が崩れた上に、モノがパソコンだけにフロッピーディスク(古!)やハードディスク等からの連想もあるでしょう。
 これらはテ(デ)をティ(ディ)に訂正するという意識的な操作、いわば過度の英語ナイズの結果なので、既知の言葉に何となく引っ張られちゃった風のシュミレーションやフューチャリングとはちょっと毛色が違いますね。

ウオッカ(ウォッカ)
 馬ではなくてお酒の名前の方。ウオツカとツを大きく書く表記と小さく促音に書く表記があります。私はロシア語を全く解しないので英語ベースの話ですが、英語の vodka の発音はヴァドゥカまたはヴァトゥカに近く、したがって「ツ」を子音に発音するウオツカの方が近いです。もっとも t/d 音は発音されずに飲み込まれる傾向があるので(たとえば often のように)、実際にはウォッカに近く聞こえるかも知れません。それはそれとして、私はこれ、ウオツカという字面を見て「「ツ」は「ッ」の方が正しいんじゃないか」と意識的に読み替えてウオッカ(ウォッカ)になった可能性もあるんじゃないかと思っています。そういう意味ではちょっと上のエンターティナーのケースと似てるんじゃないかと。
 これと似たケースとして、人名ですが、パウル・クレツキ Paul Kletzki というポーランドの指揮者の名前の読み方も、綴りから明らかにクレツキであるはずなのに、クレッキーと表記されていることがあります。ウィッキーさんみたい(^^; これも過度の英語ナイズというか、外国語ナイズの結果なのではないか。
 もっともツをッに読み替えるのは、旧仮名遣いに促音表記がなく戦後しばらくの間新仮名遣いにおいても促音表記があったりなかったり流動的だったことや、今でも銀行の口座名義のフリガナに促音・拗音の表記がないことなど、「ッもツと書かれることがあるから、ツをそのまま信じるとアブナイぞ」という意識が手伝ってのことかも知れません。

 以上、思いつくままに。

| ことばのこと | 17:49 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
柳腰
 おそらく今日は日本全国津々浦々の百万人がこの件でネットに何らかの書き込みをしてるんじゃないだろうか(笑)。仙谷由人(せんごく・よしと)官房長官が、10月12日の予算委員会で興味深い発言をしました。中国漁船衝突問題に関して、自民党の石原伸晃(いしはら・のぶてる)議員が「弱腰外交、軟弱外交」と批判したのに答えて、次のように切り返したというのです。以下は日本経済新聞10月13日朝刊の「寸言」欄から引用しますが、これはたまたま私が購読しているのが日経だからで、他意はありません。

===引用開始===
柳腰内閣
「弱腰だ、弱腰だと言うが、『柳腰』というしたたかで強い腰の入れ方もある。しなやかに、したたかに中国に対応していく」(仙谷由人官房長官が衆議院予算委員会で、今後の日中関係について)
===引用終了===

 この仙谷氏の「柳腰」の使い方、言うまでもなく意味も用法も間違ってますね。
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| ことばのこと | 23:41 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
タニマチという呼称は「壇越」(だんおつ)から来たのでは?

 新弟子暴行死事件や薬物問題から維持員席問題や野球賭博事件まで、このところ不祥事続きの日本相撲協会。私は数十年来の相撲ファンですが、残念ながら私の求める相撲は今の協会にはありません。私の求める相撲とは・・・と始めると長くなってしまうのでそれはおいといて、ここでは相撲界で不祥事があるたびに囁かれる「タニマチ」という言葉の由来について、いささか臆説を述べようと思います。

 タニマチの語源については諸説ありますが、大阪の谷町(たにまち;大阪市中央区谷町)の医師なり素封家なりに由来するとする説が最も流布しているようです。私はこの言葉がいつ頃からあったかとか、それがどのように使われていたかとかは全く調べたことがありませんが、実はかなり前から別の説を持っております。それは、タニマチは「壇越(だんおつ)」に関係してできた言葉なのではないか、というもの。まあ調査などもしてないし今のところ確証もないので、臆説の域を出ませんが。
 壇越は仏教用語で、「お布施をする人」を意味するサンスクリットだかパーリ語だかのダナパティの音写。なお「お布施」そのものはダーナといい、日本ではこちらの音写の「檀那、旦那」の方が「気前のいい人」というような意味でごく一般的に使われるのに対し、壇越(だんおつ、だんのつ)は今では仏教用語としてしか使われていませんね。

 ちなみにこの「ダーナ」は「寄付する」という意味の英語 donate とも関連があるらしい。なるほど、だから「印欧語族」なんていうくくりができるわけだ。

 脱線ついでにもうひとつ、「旦那」というコトバの普及に少なからず貢献した(?)「エノケンのダイナ」(「ねぇダンナ、飲ませてちょうダイナ〜♪」というやつ。元歌はハリー・アクスト作曲、三根耕一(=ディック・ミネ)作詞、ディック・ミネ歌の「ダイナ」で、そちらは「おおダイナ、私の恋人♪」と格調高くロマンチック)の作詞は、あのサトウハチローなんだって!サトウさんといえばこの間は中根橋小学校でお会いしました(校歌の作詞者)が、一方でこんな仕事もしてたんですか!

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| ことばのこと | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
やっぱり漢字文化圏(反切のこと)
  ハングルを勉強なさっている方には「何を今さら」と思われるでしょうが、感動したので書きとめておきます。
 ハングルの字は子音を表す字母と母音を表す字母の組み合わせからできていて、それをまとめた表があるということを最近初めて知りました。感動したのはこの表の名前で、「反切表(パンジョルピョ)」というのです。こんなのです。
 「反切(ハンセツ)」は中国語で未知の字の音を表すために古くから用いられている方法で、問題の字に対して既知の漢字A,Bの2字を使い「AB反」と注します。Aの子音とBの母音を組み合わせた音がその漢字の音になるのです。手元の「新漢和辞典」四訂版(大修館書店 昭和52年 うーんこりゃ中学に入学するときに買ってもらったんだっけ・・・)には
「(前略)たとえば、反(fan)の音韻は、甫遠反(切ともいう)といい、甫(fu)のfと遠(yuan)のanとからfanを導き出す類。(後略)」
という例が載っています。

 ハングルは日本語のかなのような表音文字で、それぞれの字に意味がある表意文字の漢字とは違いますが、字の構成方法やそれぞれの字の音を表す方法として、中国語起源の反切を流用していたのですね。今は漢字を(ほとんど)使わないとはいえ、日本とはちょっと違ったふうに漢字文化を受け継ぎ使いこなしていたことに感動しました。

| ことばのこと | 06:36 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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